鹵獲兵器の運用とは? わかりやすく解説

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鹵獲兵器の運用

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 16:53 UTC 版)

鹵獲」の記事における「鹵獲兵器の運用」の解説

鹵獲兵器そのまま自軍装備として転用したとしても、弾薬爆弾ミサイルなどの武装類や、エンジン機器など補修部品規格自軍異なっていることが多く消耗品更新難しいことから必ずしも有効な戦力として活用できるわけではない。この場合稼働率維持のために共食い整備を行わざるを得なくなった挙句結局廃棄処分余儀なくされるともあれば、武装エンジン機器など自軍規格適合するものに換装したり、別の用途転用するための大改造を行うこともある。 第二次世界大戦期には大々的鹵獲兵器運用され、特に連合国軍比較し生産力兵站に劣る枢軸国軍では盛んに鹵獲行為が行われた。ドイツ軍は完全に準備整わないうちに第二次大戦突入し兵器の生産部隊規模の拡大損耗補充追い付かなかったため、鹵獲した各種兵器有効活用に特に熱心であった西方戦役において鹵獲されたフランス軍オチキス H35ソミュア S35などの戦車は、一部ドイツ軍仕様司令塔装備し、二線級戦線投入され治安維持任務などに終戦まで使用された。また、独ソ戦以降は重装甲を誇るソ連赤軍戦車対抗する必要上、鹵獲したKV-1T-34などをそのまま運用したり、鹵獲ソ連野砲占領併合したフランスチェコ戦車車体などを流用した対戦車自走砲多種製造した。その他、米・英軍の鹵獲車両多数運用されたが、友軍誤射を防ぐため国籍マーク大きく多数描いているのが特徴となっている。 フィンランド軍は、冬戦争継続戦争において、諸外国からの兵器援助限定的なものであり兵器国産能力低かったため、輸入兵器ともども鹵獲兵器積極的に活用した日本軍においても、日中戦争支那事変)の頃から第一線では高性能ブルーノ ZB26軽機関銃マウザー C96自動式拳銃鹵獲接収し大規模に運用しており、太平洋戦争大東亜戦争)では、特にアメリカ軍自動小銃であるM1ガーランドM1カービン積極的に鹵獲運用されていた。組織的な運用としては、空挺部隊である陸軍第1挺進団対しシンガポールの戦い鹵獲されたトンプソン機関短銃パレンバン空挺作戦後に600挺が供給されている。また、日本軍において鹵獲航空機主な戦闘機爆撃機ホーカー ハリケーン・ブルースター バッファロー・カーチス P-40トマホーク)・ノースアメリカン P-51ボーイング B-17ロッキード ハドソンなど)は、ドイツなどからの輸入ともども陸軍航空審査部(旧・飛行実験部実験隊)が主に調査研究目的運用していた。 また、緒戦南方作戦鹵獲したハリケーン・バッファロー・P-40B-17などは羽田飛行場戦意高揚のための展示会一般公開されたほか、B-171942年公開映画『翼の凱歌』にて、バッファローP-40ハドソンは、1943年公開映画『愛機南へ飛ぶ』1944年公開映画『加藤隼戦闘隊』において、ともに一式戦闘機 隼などと対峙する敵機役として大々的に「出演」させている。戦地における鹵獲装備実戦部隊としては、P-40のみによる飛行隊ビルマ戦線編成され爆撃機迎撃用に投入されたものの、同士撃ち消耗部品供給問題があったため短期間解散している。 第二次大戦後の冷戦下対立する陣営は大抵、アメリカ西側諸国)とソ連東側諸国)の軍事支援により兵器潤沢供給されることが多いため、敵軍偽装して敵地潜入する特殊作戦以外で鹵獲兵器を軍の制式兵器として大々的使用する例はほとんどないが、例外的にイスラエル軍周辺敵性国家囲まれており、欧米諸国からの武器供給決し安定しているわけではないため、鹵獲兵器(主に東側製)を有効活用するための改造自国導入した旧式兵器(主に西側製)の近代化改修同様に重視しており(T-54/55改修したチランアチザリットなど)、そこで蓄積されノウハウ活用した外国兵器近代化改修請け負っている。また数度にわたる中東戦争鹵獲したソ連製戦闘機戦車を、開発研究を行うアメリカ軍引き渡している。 ただし、ベトナム戦争後インドシナ半島では、統一ベトナムが旧南ベトナム保有した米国装備中越戦争ベトナム・カンボジア戦争活用している(これに対しカンボジアではクメール・ルージュロン・ノル政権以前米国装備を「反革命的」としてことごとく破壊したといわれている)。 フォークランド紛争では、展開したイギリス軍ヘリコプター輸送能力不足していたため、現地鹵獲したアルゼンチン軍ヘリコプター一時的に運用していた。 レバノン内戦では、レバノン国軍及び治安部隊装備が、各宗派民兵組織及びパレスチナ人組織鹵獲もしくは横流しされる事象頻発した内戦終結後、これらの多くレバノン国軍及び駐留シリア軍によって回収されている。 湾岸戦争イラン中立保っていたため直接戦闘には参加していなかったが、イラク空軍航空機大量に逃げ込んできたため「イラン・イラク戦争賠償」としてこれらを自軍組み入れたイラク戦争では、イラク占領したアメリカ軍が、現地鹵獲したPPSh-41短機関銃)を一時的に使用していた。 2014年ISILイラク侵攻しモースルイラク治安部隊交戦した際には、士気低かったイラク側が武器放棄して撤退アメリカ供給したハンヴィーだけでも2,300台がISIL側に渡り混乱が長引く要因一つとなった2021年アフガニスタンからアメリカ軍の撤退開始されるターリバーン反攻2021年ターリバーン攻勢 参照)が本格化士気低下していた政府軍次々と投降して、アメリカ供与し小火器ハンヴィーなどの車両ほかUH-60 ブラックホークまでもが鹵獲されることとなった

※この「鹵獲兵器の運用」の解説は、「鹵獲」の解説の一部です。
「鹵獲兵器の運用」を含む「鹵獲」の記事については、「鹵獲」の概要を参照ください。

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