雷獣の姿とは? わかりやすく解説

雷獣の姿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 14:02 UTC 版)

雷獣」の記事における「雷獣の姿」の解説

雷獣外見的特徴をごく簡単にまとめると、体長2尺前後(約60センチメートル)の仔犬、またはタヌキ似て、尾が7,8寸(約21から24センチメートル)、鋭い爪を有する動物といわれるが、詳細な姿形特徴は、文献伝承によって様々に語られている。 曲亭馬琴著書玄同放言』では、形はオオカミのようで前脚が2本、後脚が4本あるとされ、尻尾二股分かれた姿で描かれている(画像参照)。 天保時代地誌『駿国雑誌によれば駿河国益頭郡花沢村高草山(現・静岡県藤枝市)に住んでいた雷獣は、全長2尺(約60センチメートル)あまりで、イタチ類するものとされ、ネコのようでもあったという。全身に薄赤く黒味がかった体毛が乱生し、髪は薄黒に栗色の毛が交じり真黒の班があって長く、眼は円形で、耳は小さくネズミ似ており、指は前足に4本、後足に1本ずつあって水かきもあり、爪は鋭く内側曲がり、尾はかなり長かったという。激しい雷雨の日に雲に乗って空を飛び誤って墜落するときは激し勢いで木を裂き、人を害したという。 江戸時代辞書和訓栞』に記述のある信州(現・長野県)の雷獣灰色の子のようなで、頭が長くキツネより太い尾とワシのように鋭い爪を持っていたという。長野雷獣天保時代古書『信濃奇勝録』にも記述があり、同書によれば立科山(長野蓼科山)は雷獣が住むので雷岳ともいい、その雷獣子犬のような姿で、ムジナ似た体毛ワシのように鋭い5本の爪を持ち、冬は穴を穿って土中に入るために千年鼹(せんねんもぐら)ともいうとある。 江戸時代随筆『北窻瑣談』では、下野国烏山(現・栃木県那須烏山市)の雷獣イタチより大きなネズミのようで、4本脚の爪はとても鋭いとある。夏の時期、山のあちこち自然にあいた穴から雷獣が首を出して空を見ており、自分乗れを見つけるとたちまち飛び移るが、そのときは必ず雷が鳴るという。 江戸中期越後国(現・新潟県)についての百科全書越後名寄によれば安永時代松城という武家落雷とともに落ちたので捕獲すると、形・大きさ共にネコのようで、体毛は艶のある灰色で、日中には黄茶色で金色輝き腹部逆向きに毛が生え、毛の先は二岐に分かれていた。天気良い日は眠るらしく頭を下げ逆に風雨の日は元気になった。捕らえることができたのは、天から落ちたときに足を痛めたためであり、傷が治癒してから解放したという。 江戸時代随筆閑田耕筆』にある雷獣は、タヌキ類するものとされている。『古史伝でも、秋田にいたという雷獣タヌキほどの大きさとあり、体毛タヌキよりも長くて黒かったとある。また相洲(現・神奈川県)大山雷獣が、明和2年1765年10月25日という日付書かれた画に残されているが、これもタヌキのような姿をしている。 江戸時代国学者山岡浚明による事典類聚名物考によれば江戸鮫ヶ橋和泉屋五郎という者が雷獣網の籠で飼っていたという。全体モグラムジナ鼻先イノシシ、腹はイタチ似ており、ヘビケラカエルクモ食べたという。 享和元年1801年7月21日奥州会津古井戸落ちてきたという雷獣は、鋭い牙と水かきのある4本脚を持つ姿で描かれた画が残されており、体長1尺5,6寸(約46センチメートル)と記されている。享和2年1802年)に琵琶湖竹生島近く落ちてきたという雷獣も、同様に鋭い牙と水かきのある4本脚を持つ画が残されており、体長2尺5寸(約75センチメートル)とある。文化3年1806年6月播州(現・兵庫県赤穂城下落下した雷獣は1尺3寸(約40センチメートル)といい、画では同様に牙と水かきのある脚を持つものの、上半身しか描かれておらず、下半身省略したのか、それとも最初から上半身だけの姿だったのかは判明していない。 明治以降いくつかの雷獣の話があり、明治42年1909年)に富山県東礪波郡蓑谷村(現・南砺市)で雷獣捕獲されたと『北陸タイムス』(北日本新聞前身)で報道されている。姿はネコ似ており、鼠色体毛持ち前脚広げる脇下コウモリ状の飛膜広がって50間以上を飛行でき、尻尾大きく反り返って顔にかかっているのが特徴的で、前後の脚の鋭い爪で木に登ることもでき、卵を常食したという。 昭和2年1927年)には、神奈川県伊勢原市雨乞いの神と崇められる大山落雷があった際、奇妙な動物目撃された。アライグマ似ていたが種の特定はできず、雷鳴のたびに奇妙な行動を示すことから、雷獣ではないかと囁かれたという。 以上のように東日本の雷獣の姿は哺乳類類する記述、および哺乳類思わせる画が残されているが、西日本にはこれらとまった異な雷獣、特に芸州(現・広島県西部)には非常に奇怪な姿の雷獣伝わっている。享和元年1801年)に芸州五日市(現・広島県佐伯区)に落ちたとされる雷獣の画はカニまたはクモを思わせ、四肢表面鱗状のもので覆われその先端は大きなハサミ状で、体長3尺7寸5分(約95センチメートル)、体重7貫900目(約30キログラム)あまりだったという。弘化時代の『奇怪集』にも、享和元年5月10日芸州九日市塩竈落下したという同様の雷獣死体のことが記載されており(画像参照)、「五日市」と「九日市」など多少違いがあるものの、同一情報と見なされている。さらに、享和元年5月13日記され雷獣の画もあり、やはり覆われ四肢先端ハサミを持つもので、絵だけでは判別できない特徴として「面如額有旋毛四足生有釣爪如」と解説文が添えられている。 また因州(現・鳥取県)には、寛政3年1791年5月明け方城下落下してきたというの画が残されている。体長8尺(約2.4メートル)もの大きさで、鋭い牙と爪を持つ姿で描かれており、タツノオトシゴ思わせる体型から雷獣ならぬ「雷龍」と名づけられている(画像参照)。 これらのような事例から、雷獣とはのときに落ちてきた幻獣を指す総称であり、姿形一定していないとの見方もある。

※この「雷獣の姿」の解説は、「雷獣」の解説の一部です。
「雷獣の姿」を含む「雷獣」の記事については、「雷獣」の概要を参照ください。

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