開発・製造経緯とは? わかりやすく解説

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開発・製造経緯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 15:14 UTC 版)

東京都交通局5500形電車 (軌道)」の記事における「開発・製造経緯」の解説

太平洋戦争後の混乱期から復興期にかけての時期首都東京市民の日常の足を担った東京都電では乗客激増対し新たに設計され6000形大量生産加え既存30004000・4100・4200形といった木造車群の車体6000形準同型設計製作した鋼製車体に載せ替える2代目30004000形への鋼体化改造工事推進によって対応していた。 これらの新車改造車全国軌道事業者にそのデザイン模倣されるなど、戦後日本の路面電車設計において一つ規範となったものであった。だが、その技術水準1930年代レベルまでようやく回復した過ぎず世界的な目で見れば明らかに時代遅れ設計踏襲したものに過ぎなかった。 日本アメリカとの戦争行っていた時期アメリカではモータリゼーションによる自動車台頭危機感覚えた電鉄経営者たちによってPCCカー呼ばれるさまざまな新技術採用した高性能路面電車開発され1936年以降全米各地路面電車などに採用されていた。 本形式日本の電車技術水準向上を目指し、そのPCCカー製造ライセンス購入当時アメリカ最新技術を採り入れて製造した車両である。 PCCカー都電への導入については当初1953年昭和28年初頭段階ではアメリカでPCCカーの用主要機器製造していたウェスティングハウス・エレクトリック社(WH)とゼネラル・エレクトリック社(GE)の2社で製造され機器搭載したPCCカーを1両ずつ完成車として輸入する計画であった。だが、当時日本工業界の復興状況調査訪れたアメリカ人技術者からPCCカー国産は可能であるとの助言得られたため、この計画主導していた東京都交通局交通技術研究所計画変更してその国産化決断した。こうして、東京都交通局中心に同局製品納入していた車両機器メーカー各社、それにPCCカー重大な関心抱いていた運輸省参加してPCCカー国産化のための委員会結成され当時PCCカー関連技術ライセンス供与行っていたアメリカTransit Research Corp.(TRC社:PCCカー開発委員会後身)と日本国内車両機器メーカー各社との間で技術ライセンス契約締結されることとなった。このPCCカー国産化計画においては委員会メンバー戦前よりWH社ライセンシーであった三菱電機参加していたこともあり、WH社仕様機器搭載する車両日本国内製造することとされた。 こうして、交通技術研究所主導PCCカー正規ライセンス契約に基づく国産化計画推進されていたのと同時期に、これとは別に東京都交通局内で都電車両運用実務担っていた車両課でも、PCCカー相当する防音台車と無装駆動装置研究が行われていた。同課研究成果である試作機器の機能確認するため、テストベッドとなる車両製造を自らの予算裁量権枠内で行うこととした。そこで、1952年度予算50両の製造計画承認されていた6000形最終号車(6291)のための製造予算流用して三菱電機製電装品住友金属工業製の台車日本車輌製造東京支店工場)製の車体という構成で各メーカーに1両分機器車体発注した。 だが、交通技術研究所PCCカー国産化計画は、当時日本一般に用いられいた電技術とはあまりに隔絶した高度技術産物であるPCCカー機器ライセンス生産手間取り対す車両課による6000形ベース試作車電装品台車早期完成していたにもかかわらず車体の製作が遅延するという状況に陥り、いずれも車両としての完成就役開始当初の計画より大きく遅れる見通しとなった。 これは東京都交通局自身広報活動により画期的な新型電車投入事前に告知され都民期待高まっていた中での遅延であり、1953年度内に新型車が投入できないこと都民失望を招くと判断された。 そこで、東京都交通局PCCカー国産化委員会メンバーであったナニワ工機国産PCCカー車体と同様式車体を1両分別途製造させ、これに車体待ちであった車両課試作車機器組み合わせることで、以下の通り1953年中の新型投入実施した。 5502 1953年11月21日竣工ナニワ工機同車は本形式最初に竣工したが、正規国産PCCカー製造進められる中で暫定的に先行完成した車両であったことから、トップナンバーを正規PCCカー譲って5502と付番されている。本車都電初、日本でも国鉄キハ44000形(1952年直角カルダン)、東武鉄道モハ5720形1953年3月直角カルダン)、京阪電気鉄道1800型(1953年7月中空軸平行カルダンおよびWNドライブ)に次いで4形式目のカルダン駆動車 である。 この5502に遅れること約半年、ようやく国産PCCカー完成した。 5501 1954年5月29日竣工ナニワ工機製 本形式形式全体PCCカー呼ばれることもあり、さらに同時代高性能車は大阪市電3001形通称無音電車)や名古屋市電1820形土佐電鉄500形都電6000形同様の車体持った純国産高性能車)などの路面電車のみならず極端な場合京阪1800系などの高速電車に至るまでPCCカー呼ばれることすらあったが、日本国内における純正PCCカーはこの5501のみである。 しかし、5501はその先進的な機器祟って故障多く、また足踏みペダル操作など特殊な操作方法求められたために乗務員からも不評買った。そのため、本形式増備車はPCCカーライセンス使用せず、5502を改良したものとすることとなり、以下の5両が製造された。 5503・5504 1955年11月竣工ナニワ工機製 5505 - 5507 1955年12月竣工ナニワ工機

※この「開発・製造経緯」の解説は、「東京都交通局5500形電車 (軌道)」の解説の一部です。
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