貸本漫画時代とは? わかりやすく解説

貸本漫画時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 22:57 UTC 版)

つげ義春」の記事における「貸本漫画時代」の解説

つげが貸本漫画を描くようになったのは1955年昭和30年)からで、急激に貸本屋増え始め関西発祥東京でも1960年頃に急成長遂げチェーン展開をする「ネオ書房」の看板散見されるうになる。つげが住んでいた下町でも小さな貸本屋女店員3-4人を抱えるほどであった当時はまだ下町には喫茶店がなく、しるこ屋や氷屋若者溜まり場であったが、若い女店員擁する貸本屋もまた若者溜まり場となっていた。つげもまたひそかに女店員目的作者として出入りしていたが、女店員らは本を出版物ではなく玩具等しいものくらいとしか見ておらず、作者対す関心尊厳もなく、全くもてなかった。そのうち下町にも喫茶店普及し始めると、ウェイトレス若い女性花形産業となり、貸本屋から転職していった。と、同時につげもまた喫茶店入り浸るようになった貸本漫画家の妻に元ウェイトレスが多いのは、そういう事情であるとつげは語っている。貸本ブーム最盛期でも、つげの生活は全く向上せず、ひどいものであった当初は1冊分(128ページ買取3万円貸本漫画数多く執筆していた。この頃永島慎二遠藤政治親交を持つようになる新漫画党集まりにも度々参加する人見知り激しくトキワ荘系の漫画家とはそれほど交流を持つことはなかったが、トキワ荘引っ越す前の赤塚不二夫とだけは、赤塚部屋出入りして漫画論を交わした泊まったりしていた。手塚治虫影響強く受けた生きていた幽霊』(1956年)やトリック推理ものである『罪と罰』を契機として江戸川乱歩的なデカダンス風の推理ドラマをはじめ、『四つ犯罪』(1957年6月)では初め作者温泉への憧憬うかがわれる自身は『生きていた幽霊と『四つ犯罪』は当時としては斬新だったと思います。」「白土三平さんも、この頃から僕のを注目していたと思うんですよね。『迷路』なんかも保存しているんですからね。」「辰巳さんなんかも、『生きていた幽霊』や『四つ犯罪』あたりから僕を注目し出したって」としているとおり、貸本漫画家の中では人目を引く存在であり一目置かれていた。つげ自身自覚している通り生来短編作家であり、この2作とも短編連作である。探偵もの『七つ墓場』(1957年8月)や『うぐいす鳴く夜』(1959年5月)、『おばけ煙突』(1958年11月)、『ある一夜』(1958年12月)(『どろぼう少年』(1957年9月)の改作)なども描かれた。これらの作品は、ストーリーとしては完成度が高いもので、『ガロ』時代の旅ものを思わせるユーモア片鱗をも随所ちりばめられていた。しかしながら不思議な手紙』(1959年2月)などの暗いタッチ主流占め当時貸本マンガの主要読者層だった小学校高学年中学生からは不評を買うこととなり、出版社からももっと明る作風要求された。翌1956年には早くも創作行き詰まり岡田晟の手伝いをするようになり、クラシック音楽コーヒー傾倒するうになるJ.S.バッハ以前音楽愛好し、特に宗教曲ルネサンス音楽には造詣深く、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}現在[いつ?]に至ってモンテヴェルディドラランドシャルパンティエタヴァーナーなどをよく聴く。この当時池袋の「小山」、高田馬場の「らんぶる」などの名曲喫茶へしばしば通っていた。一方で作品音楽登場する場面意外に少なくその後の作品含めても『四つ犯罪』、『やなぎや主人』、『散歩の日々』くらいである。 漫画家になって以降赤面恐怖症はさらに悪化家族とも顔を合わせるのが苦痛部屋仕切ったり、押入れにこもりじっとしたりしていた。通信療法も試すが効果はなかった。「女を知れば度胸が出るかもしれない」と考え自転車赤線赴く3つ年上の女親切にされ外へ出ると急に勇気出たように思え嬉しさで涙を流しながら中川土手自転車走らせたが、数日して彼女に会いに行く別の客が付いており、胸が張り裂けそうな思いをする。その後赤線へ行くことはなかった。やがて、家を出て高田馬場下宿する1957年錦糸町下宿転居女子美大生との交際喫茶店ブルボン」への出入りの中で仕事怠けるようになり困窮血液銀行通って売血経験するこうした中、大阪から上京した劇画家の辰巳ヨシヒロ知り合う1958年8月までは『痛快ブック』をはじめ『少女』、『漫画王』、『ぼくら』、『日の丸』という大手雑誌続けて作品発表しながら、若木書房から単行本幕末太陽伝』(1958年6月)を発表大手雑誌には後1年間沈黙置いて2000年権藤晋によって再発見された『墓をほる』(31頁)を『痛快ブック』(芳文社1959年12月号に発表

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