規制緩和による再生とは? わかりやすく解説

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規制緩和による再生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 04:29 UTC 版)

アメリカ合衆国の鉄道史」の記事における「規制緩和による再生」の解説

鉄道業界で利益上げられるのが、ほんの一握り大規模な鉄道会社だけになってしまったという現状受けて合衆国議会1980年スタガーズ鉄道法可決したそれまで鉄道運賃州際通商委員会監督受けており、事前認可無ければ変更することができなかった。スタガーズ鉄道法では、依然として州際通商委員会監督自体残したもの運賃設定大幅に自由化し、大口の荷主に対して割引提供したり、逆に経費割り込んでいる輸送に対して一方的に運賃の値上げをしたりできるようになったそれまで公表され運賃表に基づく輸送しかできなかったのが、荷主との個別契約基づいて輸送請け負うことができるようになったのである。これにより、空車返却回送時に格安輸送請け負ったり、長期安定契約獲得したりするようになった提供される輸送サービスの質高まり荷主にとってもおおむね満足であるとの調査結果出ている。スタガーズ鉄道法鉄道業界の再生につながる最初法律であったロナルド・レーガン政権アムトラックに対して厳しく補助金頼らず鉄道自立すべきであるとしていた。議会も、少なくともアムトラック費用半額運賃収入賄えなければならないとしていた。1986会計年度予算案では、当時運輸長官エリザベス・ドールアムトラックへの補助金全額削減表明した結果議会内外大論争巻き起こしたこうした補助金削減提案再三繰り返されたが、議会世論影響もあって結局補助金投入続けられた。さらにアムトラック自助努力続けた結果1992年には経費占め運賃収入割合79パーセント達した。これは世界中旅客鉄道中でもかなり良好な部類である。 しかし1990年代に入ると再びアムトラック経営状況悪化し利益の上がらない列車の運行中止や、毎日運行であった列車曜日限定運行への変更などが行われた。1982年には、ペン・セントラル鉄道から引き継いだメトロライナー当初電車編成から電気機関車牽引アムフリート客車置き換えたトイレからの汚物垂れ流し対す環境規制強められたことや、東部運行されていた客車老朽化限界達したこともあり、東部運行できる新型客車としてビューライナー導入進められた。 一方コンレールに関しては、労働条件について組合説得し、また石炭穀物インターモーダル輸送経営資源集中させることで、1983年末には利益出せる状態まで経営回復したノーフォーク・サザン鉄道コンレール買収しよう交渉したが、コンレール経営陣組合ライバルCSXトランスポーテーションなどに反対され、結局1987年株式公開売却された。1990年代には再びコンレール経営状況悪くなり、ノーフォーク・サザン鉄道CSXトランスポーテーションコンレール巡って争い始めた結局政府陸上交通委員会英語版)と両社1997年に、コンレール分割して両社吸収することで合意したCSXトランスポーテーションが旧ニューヨーク・セントラル鉄道路線中心にノーフォーク・サザン鉄道が旧ペンシルバニア鉄道路線中心に継承することになり、1999年6月1日分割吸収実施された。 他の鉄道会社についても、1995年にはバーリントン・ノーザン鉄道アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道合併してバーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道となり、後に社名変更してBNSF鉄道となった1996年にはユニオン・パシフィック鉄道サザン・パシフィック鉄道合併したイリノイ・セントラル鉄道1999年カナディアン・ナショナル鉄道買収され、こうしてアメリカ合衆国規模大きな鉄道会社である一級鉄道は、ユニオン・パシフィック鉄道BNSF鉄道CSXトランスポーテーションノーフォーク・サザン鉄道カンザス・シティ・サザン鉄道と、カナディアン・ナショナル鉄道およびカナダ太平洋鉄道アメリカにおける子会社だけとなった一方1887年以来鉄道規制する組織として続いてきた州際通商委員会は、1980年スタガーズ鉄道法によって実質的に規制権限を骨抜きにされた状態となっていたが、1995年廃止法制定により廃止となり、翌1996年から陸上交通委員会鉄道規制を担うことになったこうした大規模な合併規制緩和、そして技術革新により、アメリカの鉄道は他の輸送手段奪われ貨物を再び取り返してきている。かつてのような輸送における独占状態はもう存在しないが、特にばら積み貨物特定の2地点間で輸送するためには今でも鉄道最適な手段である。さらにコンテナ2段積みにして輸送するダブルスタックトレインが、アジアからの輸入物資西海岸の港で揚陸して東部都市まで運ぶために、大陸横断鉄道運行されるようになっている北米自由貿易協定 (NAFTA) の締結によりカナダメキシコとの貿易盛んになり、南北方向での輸送増加している。 技術的には、転がり軸受装備した貨車がほとんどになったことで軸焼け問題がほとんど発生しなくなり列車末尾連結したカブース車掌制動手乗務しながら貨車の状態を監視している必要がなくなったこのため1980年代にはフラッシング・リア・エンド・デバイス導入されて、列車末尾であることを示す灯火貨車取り付けるだけになり、アメリカの鉄道特徴1つであったカブース連結はほとんど廃止された。車掌代わりに機関車機関士一緒に乗務するようになった。また1990年代になるとブレーキ電子制御式自動空気ブレーキ置き換えられるようになり、電気信号すべての貨車ブレーキ同時に操作できるようになったことから、先頭末尾でのブレーキ作用する時間差をなくすことができ、停車までの距離も大きく短縮することができるようになった1999年春にメトロライナー代わる高速鉄道として北東回廊投入されるアセラ・エクスプレス発表された。アセラ・エクスプレスTGVベースにしたボンバルディア・トランスポーテーション製の車両使用して最高速度150マイル毎時 (240 km/h) でボストンニューヨークを約3時間で、ニューヨークワシントンD.C.を約2時間45分で結び、航空機から旅客奪還することを目指し投入された。アセラ・エクスプレス2000年12月11日営業運行開始された。アセラ・エクスプレスメトロライナー次第置き換えていき、2006年10月27日限りメトロライナー運行終了したバラク・オバマ政権の下、2009年2009年アメリカ復興・再投資法制定され、これに基づいて高速鉄道へ投資をする方針決定された。連邦鉄道局では、全米各地での高速鉄道建設に関する戦略計画提案している。

※この「規制緩和による再生」の解説は、「アメリカ合衆国の鉄道史」の解説の一部です。
「規制緩和による再生」を含む「アメリカ合衆国の鉄道史」の記事については、「アメリカ合衆国の鉄道史」の概要を参照ください。

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