目的と主題とは? わかりやすく解説

目的と主題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 17:17 UTC 版)

彫刻」の記事における「目的と主題」の解説

彫刻の最も普遍的な目的1つは、宗教何らかの形で関わりを持つことにある。偶像多く文化一般的だが、オリンピアのゼウス像みたいな巨像ではないことも多い。エジプト神殿最奥部にある聖域偶像何一つ現存していないが、最大神殿でも(偶像大きさは)明らかにかなり小型である。同じことはヒンドゥー教にもしばしば当てはまり、非常に単純な形状をした古代リンガシヴァ神を表す、男性生殖器象徴した円柱像)が最も一般的である。仏教宗教的人物の彫刻東アジアもたらし以前ここには同様の伝統がなかったと思われるが、恐らく古代中国の璧や琮のような単純な形状には宗教的意義があったとされている。 個人的な所有物としての小型彫刻先史時代芸術最初期まで遡りパブリックアートとして使われる非常に大型彫刻見た人達に支配者権力を特に印象づけるもの)は少なくとも約4500年前ギザの大スフィンクスまで遡る考古学美術史では、文化における大型彫刻モニュメント彫刻出現時にはその消失)が大きな意味を持つと考えられるが、その発祥をたどるのは記録残らない木材ほか腐敗しやすい素材による彫刻存在推定されるため、しばしば複雑になるトーテムポールが、考古学にとって痕跡消失しかねない木材でできた伝統的なモニュメント彫刻一例である。モニュメント彫刻製作するため資源調達する能力は、一般に非常に重い素材運搬したり、彫刻製作する行為報酬を渡すため、社会組織観点比較的高度な文化証しだと考えられる古代中国青銅器時代三星堆遺跡近年等身大の2倍以上ある人物像思いがけず発見されたため、はるかに小型青銅器だけが従来知られていた初期中国文明について支持されていた考察多く通用しなくなったインダス文明など一部先進的な文化は、非常に洗練された小立像を製作しているが、モニュメント彫刻一切持たなかったと考えられている。ミシシッピ文化は、崩壊した時に石の小像があり、その使用向けて進歩していたようである。古代エジプトイースター島などの文化では、ごく初期段階から非常に大規模なモニュメント彫刻膨大な資源費やしていたと考えられている。 昔の時代を含む彫刻収集は、ギリシャ中国メソアメリカで約2000年前さかのぼり現代博物館発明される遥か昔から多く蒐集物が半官半民展示鑑賞可能だった20世紀以降大型彫刻における比較制限されていた主題範囲大きく広がり抽象的な主題あらゆる種類表現が今では一般的である。今日では、多く彫刻画廊美術館での継続展示向けに作られており、ますます大規模な作品搬送した保管する能力がその要因となっている。装飾のついた小型置物大半陶磁器で、ロココ時代タナグラ人形主要産業だった頃の古代ギリシアや、東アジア美術および先コロンブス期美術存在しており、昨今では人気が高い(ただし奇妙なことに近現代芸術では無視されている)。家具や他のオブジェ向けに彫刻され小型装飾具は古代まで遡りニムルド象牙細工バグラーム象牙のほか、ツタンカーメンの墓からも発見されている。 肖像彫刻は、エジプト紀元前32世紀支配者を示す『ナルメルのパレット』)およびメソポタミア紀元前2144-2124年のラガシュ統治したグデアの像』27体が現存)で始まった古代ギリシア古代ローマにおいて肖像立像公共の場建てられることはほぼ最高の名誉の証しであり、貨幣刻印され可能性もあったほど優れた人物の大願であったエジプト近東など他の文化では公共像がほぼ独占的に支配者庇護で、それ以外裕福な人々は墓の中にのみ描かれていた。約3,000年前オルメカ巨石人頭像に始まる先コロンビア文化で、支配者典型的に肖像与えられ唯一の人達である。東アジア肖像彫刻は完全に宗教的で、主要な聖職者(特に僧院創設者)が彫像として記念されたが、支配者祖先の像は存在しなかった[要出典]。地中海域における彫刻伝統は、中世になると当初は墓の彫像そして貨幣のためだけに復活ルネサンス大きく発展して個人的な肖像メダルなどの新たな形を生み出した動物は、彫刻にとってヒトの姿と共に最も古い主題であり、常に人気があり、時には現実的な生物だが想像上怪物であることも多い。中国では、動物怪物が墓や寺院の外にある石の彫刻にとってほぼ唯一の伝統的主題である。植物のモチーフ宝石装飾的なレリーフでのみ重視されるが、これらはビザンチン美術およびイスラム美術のほぼ全ての大型彫刻形成しており、パルメットやつる巻き唐草模様)などのモチーフ2000年以上にわたって洋の東西行き来しており、ユーラシアほぼ全域伝統で非常に重要である。 世界中先史時代文化多く見られる彫刻形態1つが、儀式用途や展示供物など何らかの形で、実用的でない貴重な素材製作され日常道具武器・器の特別なバージョンである。翡翠その他の緑色岩は、中国オルメカメキシコ)、新石器時代のヨーロッパ使用され初期メソポタミアでは大型陶器形状が石で製作された。青銅は、オックスボローの短剣 (Oxborough Dirk) のように大型の斧や太刀としてヨーロッパおよび中国使用された。

※この「目的と主題」の解説は、「彫刻」の解説の一部です。
「目的と主題」を含む「彫刻」の記事については、「彫刻」の概要を参照ください。

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