目的と位置付け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 14:17 UTC 版)
「デジタル単一市場における著作権に関する指令」の記事における「目的と位置付け」の解説
DSM著作権指令の主な目的は以下の3点が掲げられている。 デジタル化・国際化社会に対応した著作権の制限と例外規定の拡充 著作物利用に係るライセンス許諾の慣行を改善し、著作物に利用者がアクセスしやすい環境を整備 著作権市場の健全化 (著作権者への公正な報酬の支払) これらの目的の背景には、2001年の情報社会指令以降、国を越えたデジタル著作物の流通が加速し、新たな技術革新に伴って著作権市場のビジネスモデルも多様化したことがある。例えば、ビデオ・オン・デマンド (VOD) 型の映像、音楽のストリーミング配信、他社の配信した報道記事などを集約して閲覧できるサービスを提供するニュースアグリゲータ、ビッグデータを活用した人工知能 (AI) の研究開発などの存在感が増した。また、一般ユーザ自らがコンテンツを容易にオンライン公開できるようになった。このようなオンラインサービスを提供する事業者と著作権者、および一般ユーザとの間で、ライセンス許諾や利用料の徴収・分配、著作権の権利放棄といったルール整備が必要となったことが、DSM著作権指令制定につながっている (説明条項 (2) および (3))。 2016年に欧州委員会が行った調査によると、一般インターネット・ユーザの57%がソーシャルメディア、ニュースアグリゲータまたは検索エンジンを介してニュース記事に触れている。また47%はニュース記事の大元となる新聞・雑誌社などへのサイトリンクをクリックせず、アグリゲートされた媒体上だけで閲覧を完結している。映像・音楽に関しても、これらのコンテンツをインターネット経由で視聴しているユーザは全体の49%に上り、うち40% (すなわち全体の約20%) は15歳から24歳であり週1回以上の頻度でテレビ番組のインターネット配信を視聴していると報告されている。 このようなデジタル時代において、EUの著作権指令は漸進的に対応してきており、DSM著作権指令以前にもデジタル著作権関連の指令は11本が存在する。そして2019年のDSM著作権指令は、これら既存の指令を完全に廃止・上書きするものではなく、あくまで強化・改正するものとして位置づけられている。特にDSM著作権指令と深い関係にある過去の指令としては、以下が挙げられる。 1996年のデータベース指令(英語版) (96/9/EC) 2000年の電子商取引指令(英語版) (2000/31/EC) 2001年の情報社会指令 (2001/29/EC) 2004年の知的財産権の執行に関する指令(英語版) (2004/48/EC) 2006年の貸与権指令(英語版) (2006/115/EC) 2009年のコンピュータプログラム指令(英語版) (2009/24/EC) 2012年の孤児著作物指令(英語版) (2012/28/EU) 2014年の著作権集中管理指令 (2014/26/EU)
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