目的と効果・使用率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 00:34 UTC 版)
子育てを支援し、老齢福祉年金等の受給者や所得の低い高齢者の経済的負担を軽減することにより、個人消費の喚起と地域経済の活性化、地域の振興を図ることを目的に発行された。バブル崩壊後、景気浮揚を目的として数回の減税は行われていたものの、負担軽減分は貯蓄に回ってしまい、減税本来の目的である消費の拡大という目的を果たせなかった。そのため、直接には貯蓄に回せない形で消費を刺激しようとしたものである。交付対象者を若い親の層や所得の低い高齢者層などに限定した理由として、これらの層は比較的可処分所得が低いことから、地域振興券を交付することによる消費喚起の効果が大きいと考えられたことが挙げられている。 1999年、経済企画庁は振興券を受け取った約3107万人の中の9000世帯に対してアンケート調査を行い、振興券によって増えた消費は振興券使用額の32%だったとしている。つまり、残りの68%が貯蓄に回されたり、振興券がなくても行われた消費に使われたということである。経企庁の調査ではこの結果をベースに単純計算し、振興券は名目GDPを約2000億円押し上げたと結論付けている。この額は、GDP全体の0.04%程度、内訳である個人消費の0.07%程度である。このアンケート調査では半耐久財の将来需要の先喰い部分も含まれてしまうなど、振興券の消費喚起の効果を過大評価している可能性が高い。実際、その後に行われた、内閣府経済社会総合研究所による個票データを用いたより精緻な分析によると、限界消費性向は0.1程度まで低下することとなり、消費喚起効果は非常に限定的だった。 地域振興券発行後、この年の下半期に景気は回復に転じ、前年度のマイナス成長からこの年はプラス成長となった。ただしこの時に伸びたのは政府支出であり、家計支出は目立った変化をしていないことから、地域振興券発行が景気回復に結びついたわけではない。 最終的な使用率は全国平均で99.6%であり、6189億6100万円が換金された。
※この「目的と効果・使用率」の解説は、「地域振興券」の解説の一部です。
「目的と効果・使用率」を含む「地域振興券」の記事については、「地域振興券」の概要を参照ください。
- 目的と効果・使用率のページへのリンク