略歴と作品の特徴とは? わかりやすく解説

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略歴と作品の特徴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/04 06:55 UTC 版)

カール・スターリング」の記事における「略歴と作品の特徴」の解説

少年時代映画大列車強盗』(The Great Train Robbery, 1903年)を観て映画関係の仕事に就くことを志したスターリングは、やがてレキシントン映画館で、1台しかない映写機フィルムリール交換を行う間の場つなぎとしてピアノ演奏を行うようになるカンザスシティ音楽院Kansas City Conservatory of Music)でピアノパイプオルガン学んだスターリングは、1910年ごろからカンザスシティ近郊映画館ピアニスト務め1920年代半ばにはカンザスシティ映画館楽団ピアノオルガンおよび指揮担当するうになる当時サイレント映画伴奏音楽付けにあたって長編映画場合楽団演奏する曲をスターリング選びニュース映画コメディ漫画映画などの短編映画場合は、彼自身ピアノオルガン即興演奏行った。この時期選曲即興演奏経験が、のちに漫画映画伴奏音楽作曲するにあたって大いに役立つことになる。 1920年代初頭に、当時カンザスシティ活動していた若き日ウォルト・ディズニー出会い意気投合する。やがてディズニーカリフォルニアに移るが、1928年スターリングのもとを訪れ、その年サイレントとして公開された2本のミッキーマウス映画飛行機狂』および『ギャロッピン・ガウチョ』をトーキーとして公開するために伴奏音楽付けることを依頼する。なおミッキーマウストーキー第1作蒸気船ウィリー』(Steamboat Willie, 1928年)に音楽付けたのはスターリングではなくディズニーアニメーターでのちに監督となるウィルフレッド・ジャクソンWilfred Jackson)が選曲行ったとされている。 スターリングはしばらくディズニーのもとで作曲仕事続ける。彼とディズニーが、アニメーション音楽はどちらを先に作るべきかをめぐって議論したことが、音楽重視したシリー・シンフォニーシリーズ誕生きっかけになったという。1929年にはシリーズ第1作骸骨の踊り』(The Skeleton Dance)が作られスターリングサン=サーンス交響詩死の舞踏』を編曲した音楽提供したスターリングディズニー作品映像音楽をぴったりシンクロさせることができたのは、当時ウォルト・ディズニーが「バーシート」(bar sheet)と呼ばれる一種楽譜使い始めたからである。これは作品全体時間を1秒1小節として小節割りしたもので、監督作品内各シーンが1秒24コマ速度映写されフィルムの何コマ使用するかを計算しながら、セリフギャグタイミング設計してバーシートに書き込みアニメーター作曲家はバーシートに基づいて各自作業進めることができた。スターリングはのちにワーナー移った後もバーシートによる作曲続けることになる。 一説によれば映像音楽同期させるために用いられるクリックトラック(click track, フィルム同期した録音テープ一定のビート録音されているもので、指揮者楽団員はこれをイヤフォン聞きながら伴奏音楽録音を行う)を発明したのもスターリングとされているが、文献によってはマックス・スタイナースコット・ブラッドリー発明者としているものもある。 スターリング1930年ディズニー辞め、ヴァン・ビューレン・スタジオ(Van Beuren Studios)やアブ・アイワークスUb Iwerks)のスタジオでしばらく働いた後、1936年にはレオン・シュレジンガー(Leon Schlesinger)をプロデューサーとするワーナーアニメスタジオ漫画映画音楽担当するうになるスターリング1958年引退するまでワーナー漫画音楽監督務め、フリッツ・フリーレング(Friz Freleng)、チャック・ジョーンズテックス・アヴェリー、ボブ・クランペット(Bob Clampett)、ロバート・マッキンソン(Robert McKimson)といった監督制作するルーニー・テューンズ」や「メリー・メロディーズ」といったシリーズに、とびきり陽気で滑稽な音楽提供し続けた。ただしMGM漫画作曲家スコット・ブラッドリーとは違いスターリング全ての伴奏音楽を彼一人仕上げていた訳ではなく、のちに後継者となるミルト・フランクリン(Milt Franklyn)に編曲委ねている場合も多い。(1936年から1962年までワーナー漫画オーケストレーション担当。) スターリング音楽大編成のスタジオ・オーケストラによって演奏される音楽的な特徴MGMスコット・ブラッドリー似ていて、基本的曲調ジャズとクラシックを融合させたものだが、ここに童謡世界各地民謡流行歌といった様々なジャンル音楽断片的に引用され、そのため同一作品内曲調めまぐるしく変化し続ける。他社作曲家たちとの顕著な違い1つは、当時最新ヒット曲からの引用非常に多いことで、これはワーナー版権所有している膨大な数の楽曲自由に用いることが許されていたからである。また当時ワーナー漫画とりわけメリー・メロディーズシリーズは、ワーナー版権を持つ曲の楽譜レコード販売促進するという、いわば現代プロモーション・ビデオにあたる役割を担わされていたという事情もある。 曲のタイトルで遊ぶのもスターリング作品特徴であり、画面に赤い服を着た女性登場すれば必ず「赤いドレスの女」(The Lady in Red)が流れ画面誰かが洞窟入れば必ず「フィンガルの洞窟」が流れるといった調子で、露骨なまでに場面と曲のタイトル一致させることが多い。 スターリングはしばしばこうした音楽的な駄洒落を、曲自体雰囲気とずれた場面で使ってギャグとして機能させている。たとえば食事シーンでは決ってコーヒーサンドイッチと君」(A Cup of Coffee, a Sandwich, and You)という曲が流れるのだが、腹を空かせヨセミテ・サムダフィー・ダック食べようとするAlong Came Daffy1947年のような作品でこれが流れると、「コーヒーサンドイッチと君」の「君」の意味するところ恋人ではなく食材になってしまうというブラックジョークになる。ただしこうした遊びは、曲の背景知識持たない現代観客には通じないのが難点である。 スターリングはレイモンド・スコット(Raymond Scott)という作曲家音楽偏愛してしきりに引用している。スコット作品楽音によってまざまざと情景描写するものであったかららしい。特に「発電所」(Powerhouse)という曲は、『ポーキーのたまご工場』(The Swooner Crooner, 1944年)でニワトリベルトコンベア運ばれるころなど機械的な動きを表す場面で頻繁に使われた。詳しく外部リンクWho is Raymond Scott?」を参照。 「多様なジャンル混淆」や「断片的引用集積」といった特徴を持つスターリング作品は、1990年代ポストモダン音楽として再評価された。この再評価には1990年発売されCD The Carl Stalling Project: Music From Warner Bros. Cartoons, 1936−1958 が大い貢献している。

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