現行でない特殊な消防車両
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 00:42 UTC 版)
「日本の消防車」の記事における「現行でない特殊な消防車両」の解説
耐熱装甲型救助車 火山噴火災害に備えて政府から北九州市消防局と横浜市消防局に配備されていた。ベースはドイツ、ヘンシェル・ヴェアテクニク社製のTM-170装甲兵員輸送車で危険な災害現場における消防・突破救出活動を目的として6mmの耐熱板、車体を冷却する自衛噴霧装置、放水銃、空気が抜けても内容物の作用によりしぼまないランフラットタイヤ、障害物の排除を行うドーザー装置などを装備し、その名の通り600度の熱にも耐える。車内を陽圧にする機能も備わっており化学災害などBC災害にも対応できる他、総重量約13トンだが最高時速は100キロも出る。横浜市消防局に配備されていた同型車(2009年廃車)は、いかなる災害にもひるまぬ闘志や力強さのイメージを持ち、横浜市民327万人(当時の人口)を守る意味から「スーパーファイター327」と愛称が付けられ、2000年の有珠山噴火災害の際、緊急消防援助隊として派遣され、警戒区域内に取り残された男性を救出したことで知られる。また、かつて東京消防庁にもウニモグベースの自衛噴霧装置や耐熱板を装備した「耐熱救難車」とさらにドーザー装置や20名収容可能な機能を加えた「防災機動車」が配備されていた事があり有珠山噴火災害や三宅島火山活動に派遣された。川崎市消防局にもバス型ではあるが「耐熱救助車」が配備されていた。 排除工作車と耐熱装甲型救助車(横浜市消防局。廃車済) 水陸両用車 陸上では車両、水上ではモーターボートになる車両である。初代の車両は横浜市消防局に水難救助車として配備されていた。舟形に車軸と四輪が付いた車両で、胴体下部が赤色、胴体上部(窓の周囲)が白であった。消防で最後まで水陸両用車を運用していたのが千葉県市川市消防局であった。ここに配備されていた車両は前述の横浜市消防局とは異なり、ドイツ・RMA製アンフィレンジャー2000。アンフィレンジャーは1990年前後に少数が官公庁向けに輸入・販売された車両で、市川市消防局は1991年に同車を導入した。ちなみにこの車両は鎌倉市消防本部や警視庁機動隊にも水難救助車として導入されていたがいずれも廃車となった。なお進水した際には船舶扱いとなるため小型船舶操縦士免許が必要である。 東京消防庁では東日本大震災を教訓に青梅消防署に「泥濘地搬送車」として水陸両用のバギー(ARGO・アーゴ)を配備し、総務省消防庁も東日本大震災を教訓として平成25年度より緊急消防援助隊の車両として水陸両用のバギー(ARGO・アーゴ)を積載した津波・大規模風水害対策車を全国各地に配備した。この水陸両用のバギーは消防大学校消防研究センターで試験運用や改良研究が重ねて全国配備され、平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害や平成27年9月関東・東北豪雨でも活躍した。2019年には総務省消防庁から緊急消防援助隊用として千葉県山武郡市消防本部と徳島県板野東部消防組合に米国・Hydratrek社製の装軌式水陸両用車が貸与され、「全地形対応車II型」と称して配備されている。これらは、いすゞ製2軸専用運搬車で搬送される。 レスキュータワー車 垂直に伸びる四角錐鉄塔型ハシゴを装備した車両。通常型はしご車が活動できない狭隘路での低中層建築物救出に使用されていた。最上部にはバスケットがあり、救助者は救助袋や別のハシゴを使って下へ降りる。この最上部は指揮台としても利用が可能であった。この名を持つ消防車両で最も有名な車両が、東京消防庁丸の内消防署有楽町出張所の車両。同車はいすゞ・フォワードをベースとし1974年に導入。完成間もない有楽町出張所に配備され1988年まで運用されていた。さらに1982年には、松山市消防局も西消防署に同名の車両を配備している。こちらはポンプを搭載している。レスキュータワー車の子孫とも言える大型バスケットを装備した12 - 15mクラスの高所作業車が相模原市消防局、奈良市消防局、神戸市消防局、加古川市消防本部、釧路市消防本部に配備されている。 ガス対策車 ガス漏れ事故等に出動し危険物を取り除く、あるいは、火災の際ガス検知などを実施する車両だが、現在では民間のガス会社や普通の消防自動車にも小型の検知器が積載されたため、現在は存在しないと思われる。 放射能対策車 過去に東京消防庁にあった、放射能対策隊が運用していた。査察広報車として使われていたようなジープ型車両を使用していたが詳細は不明。現在では特殊災害対策車(HAZ-MAT)として後続している。 排水ポンプ車 河川や下水道などからの水の汲み上げ等で水利確保する車両で大型ポンプ2基搭載等している車両で過去に北海道内の赤平市消防本部に「特殊消防対策車」という名称で配備されていた。現在、排水ポンプ車については国土交通省の各地方整備局が排水に特化した、1台で一般的な消防自動車約10台分の排水が可能な(分かり易く言うと、30立方メートル/分の排水能力を持ち、小学校の25mプールなら約10分で空にすることができる)ポンプ車を多数保有している。東日本大震災での仙台空港の排水や、平成23年10月 - 11月のタイ王国での浸水地区の排水に活躍している。 耐煙救出車 地下街での火災における要救助者救出のため、大阪市消防局北消防署に昭和49年に2両配置された。バッテリー駆動でレーダーと触知装置を持ち、濃煙の暗がりの中で自由に行動でき、超低圧の特殊タイヤが左右に12個ついており、階段の昇降ができるカートの様な車両である。担架2つと空気ボンベを搭載。公道走行はできないため、現場までは専用搬送車で輸送される。
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