すい‐じょうき【水蒸気】
水蒸気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/28 21:48 UTC 版)
水蒸気(すいじょうき、スチームともいう)は、水が気化した蒸気。空気中の水蒸気量、特に飽和水蒸気量に対する水蒸気量の割合のことを湿度という。
水蒸気と湯気
水蒸気と湯気は状態と性質が異なり、水蒸気が気体で目に見えないのに対し、湯気は液体で目に見える状態である[1]。霧、川霧、温泉の湯煙、湯を沸かしているやかんの口から出る湯気、寒い朝の白い息などは、水が蒸発後に冷却され凝結したもので、その生じた液体も直後に蒸発して瞬時に消えてしまうことが多い[2]。
なお、「蒸気」は科学時代になって生まれた概念であるため、ほとんどの国で湯気から派生した言葉を当てている[3]。例えばタイ語では「アイナム」といい蒸気と水蒸気、湯気の区別がない[3]。一方、英語ではsteam(湯気)とvapor(蒸気)があり、後者のほうが意味的には揮発に近く水からは離れているとされる[3]。
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水蒸気は無色である
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ティーカップから立ち上る水蒸気を含む湯気
水と蒸気
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一定圧力下で常温の水をゆっくり加熱すると[注釈 1]、ある温度(大気圧 760 mmHg のもとでは 100 ℃)で蒸気に変わる[注釈 2]。加熱に伴って水が蒸発し全体の体積が増加するが、その間温度は一定のまま変わらない。すべての水が蒸発して気体となった後、ゆっくりとさらに加熱すると、蒸気の温度は再び増加し始める。

蒸気となった水を冷却すると、同じ経路を逆にたどって、蒸気は凝縮して液体の水になる。以上の変化は、水に限らず一般の物質に共通している。一部の水(液体)が蒸発を始める温度を、その圧力における飽和温度とよび[注釈 3]、逆にその圧力を、その温度における飽和圧力(飽和蒸気圧)とよぶ。標準大気圧の水の飽和温度は 100 ℃ であり、100 ℃ の水の飽和圧力は 760 mmHg = 1013.25 hPa である。飽和温度は圧力が上昇すると共に上昇する。
飽和温度の水(液体)を飽和水(水以外では飽和液)、蒸気を飽和蒸気とよび、飽和温度以下の温度の水(液体)をサブクール水(水以外ではサブクール液)、飽和温度以上の温度の蒸気(気体)を過熱蒸気(水以外でも同じ)とよぶ。サブクール水または過熱蒸気の熱力学的状態は、二つの状態量(通常は圧力と温度)で指定することができる。

蒸気泡を含んだ水や水滴を含んだ蒸気は一般に湿り蒸気とよばれる。水と蒸気が熱力学的平衡(圧力と温度があい等しい)であれば、飽和水(液)と飽和蒸気の混合物である。湿り蒸気であれば圧力は飽和圧力であり、温度は飽和温度である。湿り蒸気の熱力学的状態は圧力または温度に加えて、次式の乾き度 χ を用いて指定することができる。
水の h-s 線図 圧力が高くなると、気体の飽和蒸気の比体積(単位質量あたりの体積)は小さくなり、一方飽和水の比体積は飽和温度が高くなるため少しずつ大きくなり、ある圧力で飽和水と飽和蒸気の状態は一点に合体する。この状態は臨界点とよばれ、臨界点以上の圧力では液体と気体の区別をつけることはできなくなる(⇒超臨界流体)。水の臨界点は、圧力 220.64バール (22.064 MPa; 217.75 atm) 、温度 373.95 °C (647.10 K) 、比体積 0.0031700 m3/kg である。
湿り蒸気を密閉容器の中でゆっくり冷却すると、蒸気の一部が凝縮すると共に温度と圧力が低下する。湿り蒸気を維持したままある温度に達すると、湿り蒸気の一部に氷が生じ、温度も圧力も変化しなくなる。この状態を三重点とよび、水の場合は、温度 0.01 °C (273.16 K)、圧力 0.006112バール (0.0006112 MPa; 0.006032 atm) である。水の三重点は国際単位系の温度定義の基準点に用いられている。
三重点の水をさらに冷却すると、水が氷に変化(凝固)し、水がなくなると温度と圧力が再び低下し始め、蒸気が氷に変化(固体と気体間の状態変化を総じて昇華という)する。液体の水は、三重点と臨界点の間の限られた圧力範囲で存在することになる。これらの事がらは、水に限らず一般の物質に共通した性質である。
水蒸気の利用
食品分野では古くから蒸し料理、澱粉性食品の加工や焼成に用いられてきた[4][5]。業務用厨房機器や食品加工装置(スチームコンベクションオーブンなど)や調理家電(炊飯器など)にも利用されている[4]。圧力釜やオートクレーブもほぼこれを利用している。
また、水蒸気を利用した蒸気機関は、主に産業革命以降に熱エネルギーから運動エネルギーへ変換する動力源として重要な役割を担った[4]。汽力発電(火力発電や原子力発電)で蒸気タービンの駆動に利用されている。
このほか、水蒸気を熱媒とした蒸気暖房、蒸し風呂、高温を利用した清掃用具(スチームクリーナー)がある。
注釈
脚注
- ^ 渡辺勇三「1P1-C2 面白科学実験を数量的に議論する(インタラクティブ(1),インタラクティブセッション,次世代の科学力を育てる-社会とのグラウンディングを求めて-)」『日本科学教育学会年会論文集』第34巻、日本科学教育学会、2010年、455-456頁、doi:10.14935/jssep.34.0_455、ISSN 2186-3628。
- ^ 山下晃「手作り実験あれこれ――教育の現場からPart 3 (1)」『可視化情報学会誌』第18巻第70号、可視化情報学会、1998年、192-197_1、doi:10.3154/jvs.18.70_192、ISSN 09164731。
- ^ a b c 石田博幸, 木村久美子「C-08 ブラジルとアジア諸国の科学用語比較(日本理科教育学会 第53回東海支部大会)」『日本理科教育学会東海支部大会研究発表要旨集』、日本理科教育学会東海支部大会事務局、2006年11月、55頁、NDLJP:10417043。
- ^ a b c 伊與田浩志「食品加工における過熱水蒸気利用に関する研究」『日本食品工学会誌』第25巻第1号、日本食品工学会、2024年3月、1-7頁、doi:10.11301/jsfe.23641、ISSN 1345-7942。
- ^ 小野和広「過熱水蒸気」『日本食品科学工学会誌』第55巻第3号、日本食品科学工学会、2008年3月、121-121頁、doi:10.3136/nskkk.55.121、ISSN 1341-027X。
関連項目
水蒸気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 00:16 UTC 版)
「地球温暖化に対する懐疑論」の記事における「水蒸気」の解説
各温室効果物質の寄与水蒸気48% 二酸化炭素21% 雲19% オゾン6% その他5% (主張)二酸化炭素よりも、水蒸気の方が温室効果が大きい。水蒸気は温室効果物質の寄与率は48%と寄与率は最も大きいが、赤外線の波長を全て吸収するわけではなく、15μm付近の赤外線はCO2によって吸収される。二酸化炭素の濃度増加が地球温暖化の唯一の原因であると仮定した場合に、地球全体の平均的表面温度が今世紀中に約1℃上昇すると推定さるとした場合に対し、対流圏上部での水蒸気量を考慮し解析を行った場合、気温がさらに3倍程度上昇するという結果がある。大気中に含まれうる水蒸気量は「飽和水蒸気量」と呼ばれ、気温によって決まっており、大気中に飽和水蒸気量以上に存在する事はできません。なので、温室効果のあるCO2が増え気温が上昇することで、飽和水蒸気量が増えます、しかし相対湿度は変わりません。相対湿度が変わらない理由については明らかになっていません。過去20年ほどの人工衛星による観測データによれば、気温上昇とともに水蒸気量の増加が観測され「相対湿度がほぼ一定」であるという結果になっている。今後水蒸気量の増加によって、大気中のCO2濃度が倍増した場合の気温上昇は全体で少なくとも2.4℃、つまり水蒸気量の増加を考えなかった場合の2倍程度になるとされる。(反論)水蒸気は温室効果物質の一つではあるが、飽和水蒸気量は気温によって決まっている。気温が高いほど飽和水蒸気量は大きくなる。水蒸気量を増やすには気温の上昇が必要である。その気温の上昇をもたらすのが二酸化炭素である。二酸化炭素が増え気温上昇が起きることで水蒸気量も増え温暖化を加速させている。つまり二酸化炭素による温暖化が無ければ、水蒸気は温暖化の原因にはなりえないのであり、温暖化の原因は二酸化炭素など人為起源の温室効果ガスであるといえる。水蒸気の温室効果は気候モデルでも考慮されている。水蒸気だけでは、温暖化傾向を説明できない。
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水蒸気
出典:『Wiktionary』 (2021/07/25 12:16 UTC 版)
名詞
発音(?)
- す↗いじょ↘-き
翻訳
「水蒸気」の例文・使い方・用例・文例
- それは水蒸気の浸透を防ぐ。
- 1モルの氷を水にするときと、1モルの水を水蒸気にするとき、より多くのエネルギーが必要なのは?
- 熱は水を水蒸気に変える。
- 水は沸騰すると水蒸気になる。
- 雲は水蒸気のかたまりである。
- 熱は水を水蒸気に変える.
- 熱は水を水蒸気にする.
- 水蒸気.
- 水蒸気が結晶して雪になる
- 水蒸気を出す
- 水蒸気に変わる原因
- 多量の水蒸気を含んでいる、または、によって特徴づけられる
- 空中の水蒸気が飽和し、凝結が始まる温度
- 温水と水蒸気を放出する泉
- 地上近くの大気中に浮遊している水蒸気の水滴
- 大気中で凝縮された水蒸気から成る滴という形での水の落下
- 植物の葉から水蒸気が放出すること
- 皮膚または粘膜を通して水蒸気を放つか、吐き出すプロセス
- 大気中の水蒸気が一晩のうちに冷えた表面で凝固した水
- 蒸留の際に水蒸気からの圧縮によって生成される液体
水・蒸気と同じ種類の言葉
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