メルトダウンへ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 16:44 UTC 版)
「スリーマイル島原子力発電所事故」の記事における「メルトダウンへ」の解説
故障したPORV(一次冷却系の電磁リリーフバルブ)から、冷却水(蒸気)の放出が続いた為、午前5時20分頃、4機の一次系冷却水ポンプは水量不足により停止した。ポンプ停止後も炉内は対流による冷却水循環は続いたと考えられているが、肝心のコア部では大量の蒸気により、冷却水循環が阻まれ、やがて残された冷却水の多くが蒸気に変わっていった。 午前6時直後、PORVからの蒸気放出継続により、ついに炉心コア頂部が露出、強大な熱により水蒸気と燃料棒を被覆していたジルカロイが反応(一種の加水分解反応)、二酸化ジルコニウムへと反応するとともに、水素発生と、更なる反応熱も生じ、燃料棒被覆の一層の溶解、燃料ペレットへのダメージ、原子炉冷却水への放射性同位体放出へとつながった。発生した水素はその日の午後に生じた小規模爆発の原因となった考えられている。 午前6時にシフト交代があり、このチームが先ほど述べたPORV近辺の温度異常に気付き、PORVのバックアップバルブ(ブロックバルと呼ばれていた)を閉じたが、すでに120,000Lの一次系冷却水がPORV経由で放出されてしまった。 午前6時45分に至り、放射性物質の漏えいを知らせる警報も発報したが、すでにトラブル発生から165分も経過した後であった。 炉心上部3分の2が蒸気中にむき出しとなり、崩壊熱によって燃料棒が破損した。このため周辺住民の大規模避難が行われた。運転員による給水回復措置が取られ、事故は終息した。 結局、炉心溶融(メルトダウン)で、燃料の45%、62トンが溶融し、うち20トンが原子炉圧力容器の底に溜まった。給水回復による急激な冷却によって、炉心溶解が予想より深刻化したとされている。
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