水葬の是非
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 22:12 UTC 版)
「ウサーマ・ビン・ラーディンの殺害」の記事における「水葬の是非」の解説
遺体はアメリカ軍によって、複数の親族とのDNA型鑑定の照合によりビン・ラーディン本人と確認された(マサチューセッツ州のボストンでビン・ラーディンの妹が脳腫瘍で数年前に死亡しており、FBIはその細胞と血液を保存していた)。ただしアメリカ軍以外の第三者による遺体確認はされていない。 その後アラビア海に停泊していた空母カール・ヴィンソンに移され、5月2日午前1時10分(EDT)より、同空母の甲板で50分かけて水葬の儀式が執り行われた。遺体は洗浄し清められ、白い布で包まれ、あらかじめ用意された祈りの言葉が唱えられ、通訳がそれをアラビア語に翻訳した。その後、重しをつけられた袋に入れられ、カール・ヴィンソンにある外舷エレベーターから海に投下された。後の情報公開の中では、機械的なエレベーターではなく、板の上に遺体を載せた後に板を傾けて落としたという。なお、この水葬の模様を捉えた映像は公開されていない。葬儀の実施については、乗組員のごく一部にしか知らされておらず、艦上で何が行われていたかに気づいている者は少なかった。 アメリカ政府は、イスラム教においては遺体を死後24時間以内に埋葬しなければならないが、受け入れ先の土地が見つからなかったとして水葬の正当性を主張、一連の儀式はイスラム教の教義や慣習を厳格に守って行ったと発表している。しかしイスラムでは土葬が普通で、水葬されたことには異例とイスラム世界からの反発もあり、アル=アズハル大学の指導者タイブ師は「土葬によって死者に敬意を払うべきであり、イスラム教とは相容れない方法」と批判した。また本来はビン・ラーディンの出身国であるサウジアラビアに埋葬すべきであったとの声もある。アメリカ政府の意図として、イスラム過激派などによる遺体の回収や、埋葬された土地が「テロリストの聖地となるのを防ぐため」との指摘もある。ビン・ラーディンとされる頭を撃たれた遺体の映像が一時ネット上で出回ったが、これは後に別人の写真から合成されたものと判明し、米国政府は遺体の映像を一切公開しない方針を決定している。
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