極東密約とは? わかりやすく解説

極東密約(ヤルタ協定)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 19:05 UTC 版)

ヤルタ会談」の記事における「極東密約(ヤルタ協定)」の解説

日本に関して1945年2月8日アメリカルーズベルト大統領ソ連スターリン書記長秘密会談を行いその後イギリスチャーチル首相との間で交わされ秘密協定が、この極東密約である。 1944年12月14日スターリンアメリカW・アヴェレル・ハリマンソ連大使に対して満州国権益南満州鉄道港湾)、樺太サハリン南部千島列島領有要求しており、ルーズベルト太平洋戦争日本の降伏ソ連協力欠かせないため、1945年2月8日にこれらの要求応じる形で、日ソ中立条約一方的破棄、すなわちソ連対日参戦促したヤルタ会談では、これが秘密協定としてまとめられた。この協定では、ソ連の強い影響にあった外モンゴルモンゴル人民共和国)の現状維持すること、樺太サハリン南部ソ連返還すること、千島列島ソ連引き渡すこと、満州国港湾南満州鉄道における、ソ連権益確保することなどを条件に、ドイツ降伏後2か月または3か月経てソ連対日参戦することが取り決められた。 協定内容次の通りソ連米国英国三大指導者ドイツ降伏し、かつ欧州戦争終結した後二か月または三か月経てソ連がつぎの条件により連合国味方して対日戦争に参加すべきことを協定した外蒙古蒙古人民共和国)の現状維持されること。 1904年日本国背信攻撃により侵害されロシアの旧権利はつぎの通り回復されること。樺太南部及びこれに隣接する一切島嶼ソ連返還されること。 大連商港におけるソ連優先的利益擁護し同港を国際化すること。またソ連海軍基地として旅順口租借権回復すること。 東清鉄道及び大連出口供与する南満州鉄道はソ中合会社の設立によって共同運営されること。ただしソ連優先的利益保障され、また中華民国満州における完全なる主権保有するものとする千島列島ソ連引き渡されること。 前記外蒙古ならびに港湾及び鉄道に関する協定蔣介石総帥同意要するものとする米大統領スターリン元帥からの通知があれば右同意を得るための措置執るものとする三大国の首班ソ連の右要求日本国敗北した後において確実に満足させられるのであることを協定したソ連中華民国日本国羈絆(きはん)から解放する目的をもって軍隊によりこれに援助与えるためソ中同盟条約中華民国国民政府締結する用意があることを表明するアメリカからソ連対す対日参戦要請早く日米開戦翌日アメリカ時間)の1941年12月8日ソ連駐米大使マクシム・リトヴィノフルーズベルト大統領ハル国務長官から出されている。このときはソ連モロトフ外相からリトヴィノフ独ソ戦への集中日ソ中立条約制約から不可能と回答するよう訓令送られた。 しかしその10日後には、スターリンイギリスイーデン外相対し将来日本対す戦争参加するであろう表明したスターリンが、具体的な時期明らかにして対日参戦意思示したのは、1943年10月モスクワでの連合国外相会談の際で、ハル国務長官に対して連合国ドイツへ勝利後に対日戦争に参加する」と述べたことを、ハルスターリン通訳証言している。ヤルタ協定はこうした積み重ねの上結ばれたのだったドイツ無条件降伏した、1945年5月8日ヨーロッパ戦勝記念日)の約3か月後の8月9日スターリンヤルタでの協定に従ってソ連日本宣戦布告し満州国侵入千島列島樺太占領した。しかし、ソ連対日参戦翌日1945年8月10日)に、日本が「ポツダム宣言受諾」を連合国通告したため、戦争末期9月2日日本の降伏文書調印まで)の極めて短期間の間に、ソ連戦果に対して日本の領土与えるという、結果としてソ連有利な内容になった1946年2月11日に極東密約(ヤルタ協定)が公開されたが、それより以前に、ロンドン暫定ポーランド政府のリビコフスキーから小野寺信通じて協定の内容は既に日本軍知らされていたとされている。 なお1956年に、共和党アイゼンハワー政権は「(ソ連による北方領土占有を含む)ヤルタ協定ルーズベルト個人文書であり、アメリカ合衆国連邦政府の公式文ではなく無効である」との国務省公式声明発出している。また、アメリカ合衆国上院は、1951年サンフランシスコ講和条約批准承認する際、決議において「この承認は、合衆国としてヤルタ協定含まれている、ソ連有利な規定承認意味しない」との宣言行っている

※この「極東密約(ヤルタ協定)」の解説は、「ヤルタ会談」の解説の一部です。
「極東密約(ヤルタ協定)」を含む「ヤルタ会談」の記事については、「ヤルタ会談」の概要を参照ください。

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