料理のハーブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 03:35 UTC 版)
タイムはセージとならび、最もポピュラーな香辛野菜、香辛料として知られる。料理に使う場合の主な旬は5 - 6月ごろで、葉が黒っぽくなくて全体的に鮮度を保っているものが良品といわれている。ヨーロッパでは香味料としてソース、スープ、スープストック、肉料理、魚料理、卵料理、ジャガイモ料理に広く利用されている。肉・魚・野菜など、どのような食材とも相性は良いが、特に「魚のハーブ」と呼ばれるほど魚介料理との相性はよく、ムニエル、マリネ、クラムチャウダーの風味づけに、臭み消し以外の目的でもよく使われている。またタイムには、肉類の脂肪分の消化を助けて、殺菌効果や防腐効果があるといわれている。チモール、カルバクロール由来の抗菌・防腐作用から、ハム、ソーセージ、ピクルスなどの保存食にもよく利用され、加工食品分野でも欠かせないスパイスとして、ウスターソース、トマトケチャップ、ドレッシングなどに用いられる。 フレッシュタイムとよばれる生の新芽の部分は、快い苦味があり、西洋料理の風味づけに好適で、枝ごとまたは葉をちぎって使用され、ガーニッシュ(付け合わせ)としても用いられる。乾燥品(ドライ)は清涼感のある甘い香りと、ほろ苦みがある。フレッシュあるいは乾燥いずれの場合も、香りがとびにくく、加熱調理によく耐えることから、スープやシチュー、カスレ、トマトソース、スープストック、オーブン焼き料理、煮込み料理など、長時間火を通す料理によく使われる。フランス料理など本格的な煮込み料理で用いるブーケガルニに欠かせない材料のひとつで、パセリやベイリーフ(ローレル)とともに束ねて使われている。タイムと相性のよい他のハーブやスパイスに、ローズマリー、レモンバーム、オレガノ、レモンバーベナ、ディル、バジル、ガーリックなどが挙げられている。 ヨーロッパの一般家庭での利用法としては、ほかにオリーブ油やビネガーに漬け込んで香りを移したり、挽肉を使った詰め物料理に使ったり、ハーブティーとして楽しむこともある。酢に個性的な風味づけをすることに加え、防腐効果もあることから、デリカテッセン肉やマリネをつくる際に材料として使われる。冬季に霜焼けて暗赤色になった葉は、食用油、ビネガー、バターなどの風味づけや着色料になる。 栄養成分は、ビタミンCが豊富で、ビタミンAも多く、鉄、マンガン、銅、食物繊維も含む。粉に挽いた乾燥葉は1グラムあたり、カルシウム26 mg、カリウム11 mg、ビタミンA 5 μgRE、マグネシウム3 mg、リン3 mg、鉄1.7 mgを含む。また、数種のフラボノイドが含まれており、貴重な抗酸化食物としての評価もされている。『フード・マイクロバイオロジー』に発表された研究論文では、下痢を引き起こす赤痢菌を付着したレタスにタイムの精油をつけると、ほぼ検出できない水準まで細菌を死滅させたという研究成果があり、細菌の増殖を抑制し、さらには細菌のついた食べ物を元の良い状態に戻す可能性が示唆された。 フレッシュのコモン・タイム 乾燥品のタイム
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