対国内諜報活動とは? わかりやすく解説

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対国内諜報活動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 22:11 UTC 版)

シュタージ」の記事における「対国内諜報活動」の解説

シュタージ軍隊式の階級持ち正規職員国家人民軍地上軍陸軍)のものと酷似し制服着用することもあった。 国内活動向けの準軍事組織として、フェリックス・ジェルジンスキー衛兵連隊有しており、これが公にされていた唯一の組織であったそれ以外IMドイツ語: Inoffizieller Mitarbeiter、非公式協力者)と呼ばれた密告者多数抱えており、彼らによって国民徹底的に相互監視し、反体制分子弾圧した正規職員IM総数は、最盛期には約190万人いたとされ、総人口の1割以上が秘密警察構成員とその関係者という、ゲシュタポKGB規模をもしのぐほどの極端な警察国家となっていた。この事から、東ドイツ国民の間ではシュタージを「盗み聴きのぞき見人民公社VEB Horch und Guck)」と揶揄するジョークがあった。 シュタージ集めた反体制分子目され人々詳細な個人情報ファイルは、東ドイツ崩壊後本人家族限り閲覧出来様になったが、それによって家族親友クラスメイト職場の同僚が実はシュタージ職員もしくはIMであり、信頼していた人物にまで言動監視されていた真実知って家庭崩壊極度人間不信陥った事例少なからず発生し中には精神病患う者さえ出た。なお、崩壊前に証拠隠滅として個人ファイルの紙をバラバラ切り刻んだために詳細不明となっている記録多く2017年時でも、ドイツ連邦政府によってファイル復元作業が行われている。 1973年作成され要領で、ベルリンの壁越えて西側亡命を図る者は、子供でも躊躇せず銃撃加えることと規定され厳し東西対立のほか、西側への人口流出という社会問題背景に、徹底的な抑圧行ったベルリンの壁乗り越えようとし亡命失敗発砲などで命を落とした人は、およそ1200人を越えるといわれている。 1976年より、シュタージは「ツェルゼッツンク(英語版)」と呼ばれる心理学的な戦意喪失策」を監視対象に対して実行する心理戦法を体系化して採択した。ツェルゼッツンクは「分解」や「弱体化」、「破壊」や「崩壊」などと訳される用語(英語ではデコンポジション)であり、監視対象者逮捕・投獄する前段階心理的に攻撃し弱体化させる目的開発されたが、実際に投獄中や、釈放後にも継続して実施される事もあった。具体的には、前述のような手段により収集された個人情報の中から、監視対象者職業上・家庭内での失敗性的嗜好アルコール薬物ゲームなどへの依存的傾向何らかの収集癖監視対象者家族監視対象者所属する何らかのグループ内の仲間しか知りえないレベルの恥や失態といった人間的弱点抽出し匿名の手紙、電話電報改竄された写真など用いて監視対象者周囲にばら撒いたり、監視対象者家屋車両などに「目に見える形の」軽微な破壊工作仕掛けたり既婚者、特に女性に対してロミオ諜報員英語版)と呼ばれる男性エージェント用いてハニートラップ仕掛け離婚に至る紛争誘発させたりする事で、監視対象者本人家族を含む周囲の人物との間に不和相互不信生じさせ、監視対象者人間関係破壊して孤立させ、心理的虐待加えることで反体制的意志弱体化図った東ドイツ対外宣伝大い役立てられオリンピック選手達も例外ではなく海外遠征中に亡命などを企図した疑いのある選手に対しては、トップ選手であっても容赦なく弱体化」の処置加えられた。著名な例としては、女子陸上選手のイネス・ガイペル(ドイツ語版)は、海外遠征中に親密になった現地人男性から亡命勧められた事が原因で、シュタージの手で「腹痛発症した後に行われた虫垂炎手術の際に、胃を全摘出される」という行為を受け、この後遺症により現役引退余儀なくされている。イネス東ドイツ崩壊後に自らのシュタージ・ファイルを閲覧した事で、初めて事の真相と自らに施され手術全容知ったという。 ドイツの歴史家であるフーベルトゥス・クナーベ(英語版に依ると、ツェルゼッツンク採択の後、シュタージは必ずしも全ての政治的反対者逮捕・投獄する必要が無くなったが、逆にシュタージ逮捕するまでには至らない水準監視対象者に対してもツェルゼッツンクを用いた心理的攻撃積極的に仕掛け人間関係精神状態崩壊させていく過程娯楽のように楽しむようになっていったという。クナーベはこうした東ドイツ支配体制を「(秘密警察による物理的暴力主体とした従来型支配体制比較して)非常に近代的な独裁であった」と総括したWIREDは、かつて東西ドイツ国民震え上がらせたツェルゼッツンクの手法は決し過去のものではなく情報化時代進展国際的監視網発達した現代こそ、改め注目されるべき心理戦であろう報じている。 ツェルゼッツンクに類似した国家による個人攻撃手法アメリカ合衆国でもコインテルプロとして採用されていた時期があり、ソビエト連邦以来積極措置英語版)に代表される対外工作活動重視されてきたロシア連邦でも、ウラジミール・プーチンによる権力掌握後は主にロシア国内NIS諸国駐在する外交官や、旧ソ連構成国内の反体制的ジャーナリスト対象同様の手法積極的に用いられるようになったとされている。また、陰謀論世界では、ツェルゼッツンクの手はしばしサイバー・ストーカー(集団ストーカー、ギャング・ストーカー)の常套テクニックとして、広く応用されているとも主張される

※この「対国内諜報活動」の解説は、「シュタージ」の解説の一部です。
「対国内諜報活動」を含む「シュタージ」の記事については、「シュタージ」の概要を参照ください。

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