人民公社とは? わかりやすく解説

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じんみん‐こうしゃ【人民公社】


人民公社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 08:30 UTC 版)

人民公社(じんみんこうしゃ)とは、かつて中華人民共和国において農村に存在した組織である[1][2]。一郷一社の規模を基本単位とし、末端行政機関であると同時に集団所有制の下に、工業、農業、商業等の経済活動のみならず、教育、文化さらには軍事の機能を営んだ[1]。すなわち、従来の権力機構(郷人民政府と郷人民代表大会)と「合作社」を一体化した「政社合一」の組織であった[2]。中国がヨシフ・スターリンによる農業集団化を模倣して、1958年から開始した大躍進運動の一環で導入されたが、杜撰な政策を推進したことにより数千万人を餓死させた[3]


  1. ^ a b c d e f g h i j k l 河村(2011年)52ページ
  2. ^ a b c d e f 天児(2013年)49ページ
  3. ^ [1]共産主義がもたらした災禍
  4. ^ 小島・丸山(1986年)225ページ
  5. ^ a b c 天児(2013年)50ページ
  6. ^ a b c d e 田中(2013年)82ページ
  7. ^ “中国最后的人民公社”. BBC. (2009年9月29日). https://www.bbc.com/zhongwen/trad/china/2009/09/090924_chinacommunes 2019年5月18日閲覧。 


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人民公社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 05:27 UTC 版)

中華人民共和国大飢饉」の記事における「人民公社」の解説

大躍進中、農業は人民公社のもとで編成され私有地耕作禁止された。農業経済中央計画され地域党指導者はその統制下で人民公社の生産割当与えられた。彼らの生産物国家によって専有され、その裁量分配された。地方幹部たち多くが、生死関わる権力、すなわち食料割当という実質的な生殺与奪の権利により、農民命令に従わせた。 食事は人民公社の共同食堂摂ることとされた。大多数がこの制度反対したが、幹部たち食堂使用人々強制した。自らの蓄え食事をするものは「富農」として糾弾対象となり、民兵たちは煙突から煙が出ている家から罰金徴収し家探しして食料調理器具押収した共同食堂食料配給担当者は、金を持っている仕事が遅いなどの言いがかりをつけて食料減じて口答えした者や自分嫌っている者を死へ追いやった。 人々暮らしは人民公社によって軍隊式に組織された。中国全土農民たちが、夜明け軍隊ラッパ起こされ、列を作って共同食堂向かい一杯の粥をかきこんでから、旗を掲げて行進曲革命歌バック隊列組んで畑へ向かった民兵から発破かけられたりときに殴打されながらの作業終わり割り当てられ宿舎へ戻ると、集会開かれ各人その日成果審査された。労働者には成果に応じて労働点数付与され報酬与えられることとなっていたが、大躍進期にはほとんど無価値なものとなり、労働インセンティブ取り払われたこの労働点数制のことを、人々は「キュウリ太鼓を叩く強く叩けば叩くほど音が出なくなる)」ようなものだと評した過激な人民公社では、私有地重機類・家畜などあらゆるものが共同所有にされた。所有権離れた農具手入れする者はいなくなり半分近く使い物にならなくなった農民たちは「自分食べれば自分のもの、食べなければ誰かの物」と囁き不安に駆られた人々競って消費始めた銀行では貯金没収恐れた人々による取り付け騒ぎ発生し東人公社設立後2日間で総貯蓄額の5分の1引き出された。集団心理により派手な消費行動取られ私有地で採れた作物蓄えことなく食い尽くされ家畜ペットまでもが食べられた。報告された"過剰な作物"の処分のために1958年に毛が出した食事1日5回にすれば良い」との指示により、とりわけ綿花など食料以外の作物生産して国から対価として大量穀物支給され地方では共同食堂暴飲暴食が行われ、山盛り残飯便所捨てられた。 空腹であろうとなかろうと、みんな、むやみに食べました。そして、二十日全部の米を、本来なら半年は持つ米を食べ尽くしてしまったのです。 —ある農民四川省をはじめ、多くの人民公社がわずか半年で「おなかがいっぱいになるまで食べられる楽園」から「働くか、さもなくば死か」という地獄叩き落された。2008年、楊継縄は生産目標制の影響を、最も需要のある場所に供給振り分けられないと要約し、その一例挙げている; 新陽では、穀物倉庫の扉の前で人々飢えていた。彼らは死ぬ間際に、「共産党よ、毛沢東委員長よ、私たちお救いください」と叫んだ河南河北穀倉開かれていれば誰も死ぬ必要はなかった。周りの人々大量に死んでいくので、役人たちは特段彼らを救おうとは考えなかった。彼らの唯一の関心事は、どうやって穀物配達を果たすかということだった。 人民公社がどの程度飢饉もたらしたかは議論の余地がある地域ごとに飢饉扱い方異なり飢饉タイムライン中国全土統一されていない一つ争点は、共同食堂での過度な食料消費が、飢饉悪化もたらしたかという点である。ある学者は、食堂での過度食事が行われなかった場合、「1959年半ばには最悪大躍進飢饉回避きたはずだ」と主張した。しかし、安徽省江西省では共同食堂普及率飢饉との有意な関連示していないことが判明した

※この「人民公社」の解説は、「中華人民共和国大飢饉」の解説の一部です。
「人民公社」を含む「中華人民共和国大飢饉」の記事については、「中華人民共和国大飢饉」の概要を参照ください。

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