倫理 道徳とは? わかりやすく解説

倫理・道徳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 03:35 UTC 版)

商人」の記事における「倫理・道徳」の解説

日本商人においては近世江戸期至り石田梅岩石門心学形成し商人含めた庶民倫理封建下における身分道徳説き、その地位の向上努めた石田主張としては、政治的に支配層である武士は、「農工商の頭(かしら)」であるが、社会的職人としての立場武士商人対等であると説いた詳細は、石田梅岩の「人物・人柄」を参照)。 この他近世期商人形成した学派としては、大阪懐徳堂がある。山片蟠桃のように無鬼論=無神論者輩出した他、富永仲基加上説のように激し市場変動流通動きの中で生活していた町人身分生まれ商家だからこそ唱えられた説もある(原田伴彦改革維新講談社現代新書 1976年 pp.65 - 66)。国学者である本居宣長も元は伊勢商人出身である(詳細本居宣長参照)。享保年間には商家家訓大量に作られ前述歴史近代」の節)、近江商人などの「三方さんぽう)よし」が知られる近江商人参照)。 時代さかのぼって中世商人にも法はあったが、現代における制度的なの意味ではなく、「やり方」「作法」を指し、「悪徳商法」などの用法に近い(後述書 p.208)。こうした作法が、ある種規準提供し互い振る舞い辻褄合わせて社会生活整々と営むための拠り所しての意味をもつこととなる(後述書 p.208)。ゆえに中世法は広い通用性を持たなくてもそれぞれの現場ごとのローカルな水準有用な参照規準として存立することができた(後述書 p.208)。従って、それぞれの村落に法があったように商人仲間には商人仲間実践されている法があり、積み重ねてきた「例」や「習(ならい)」がそれぞれの実践されるべき法として引照され、主張支え論拠として掲げられたが(後述書 p.209)、そうした法は仲間内ですら、整合性保ち安定していた訳ではなかった(後述書 p.209)。例として、近江国商人集団がある場所で商売を営むことについて、彼ら自身は「古法」に則った往古よりの例」と主張したとしても、他の商人集団は「古法」から外れた不当な新儀」として指弾する、などといった類の対立がしばしば生じ実力行使により、または有力者調停によって、そのつど解決試みられた(後述書 p.209)。この繰り返しで法を更新し現場合わせ不断に法を生成した新田一郎日本の歴史11 太平記時代講談社 2001年 ISBN 4-06-268911-1 p.209)。このように中世時点では、商人という身分全体通した共通の決まりはなく、小集内の例や習を法として、次第形成していった。 ヨーロッパで中世末になると、イタリア都市などの商人の間には、ある程度教養のある者も現れてくるが、中世全体教養・学問は聖職者独占であった兼岩正夫封建制社会講談社現代新書 1973年 p.104)。 マックス・ヴェーバーは『プロテスタンティズム倫理資本主義の「精神」』において、東ドイツエルベ地方ポーランド系農業労働者勤労意識調査した結果として近代西欧型の労働者違い伝統的生活の維持必要以上労働どんなに賃金引き上げて拒絶した記述し、その因を、「現世における労働卑しいもの」とするカトリック宗教信仰ゆえと指摘した後述書 p.44)。こうした考え方プロテスタンティズム、特にカルヴィニズム世俗的禁欲主義使命としての職業打ち破ったとし(後述書 p.45)、資本主義精神形成され貨幣の得とくを倫理的な義務とみなすことにつながっていき、積極的に商業をおこなうようになっていったとする後述書 p.46)。「職業は神が栄光この世輝かすべく人々与えられ使命」とする職業倫理変革広まりは(後述書 p.50)、やがて1588年アルマダの海戦スペインイギリス対立)にもつながり後述書 p.52)、近代商業倫理形成にもつながっていった(金原左門 堀江信男編 『近代化人間諸問題中央大学出版部 1974年 pp.44 - 52)。

※この「倫理・道徳」の解説は、「商人」の解説の一部です。
「倫理・道徳」を含む「商人」の記事については、「商人」の概要を参照ください。

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