二国問題とは? わかりやすく解説

二国(新国立劇場)問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 08:00 UTC 版)

佐々木忠次」の記事における「二国新国立劇場問題」の解説

第二国立劇場仮称)に調査費という名目予算がついたのは1971年昭和46年)。当初佐々木期待し朝日新聞1971年昭和46年3月20日夕刊に「大変喜ばしいニュースと書いている。文化庁から頼まれ準備専門委員にもなっている。 文部科学省公式の「第二国立劇場仮称)の設立準備」については次の通り。「(前略オペラバレエミュージカル現代舞踊現代演劇等の現代舞台芸術振興及び普及を図ることを目的とする第二国立劇場仮称)の設立対す要請が、国立劇場設立当初から関係者の間で起こっていた。この要請にこたえるため、文化庁四十六年以来設置準備のための調査実施するとともに四十七年十二月第二国立劇場仮称設立準備協議会発足させ、基本構想検討開始した専門家による検討結果五十一年五月には、同協議会基本構想案が承認された。」 最初に紛糾したのはホール座席数だった。佐々木は、海外からの招聘必要な場合膨大な費用必要になるため、少なくて2000席を超える座席数要望していた。しかし1975年8月草案では2000席、さらにはそのわずか2か月後には1600になった。のちに1800席で最終決定となったが、佐々木含め反対した者は専門委員からはずされた。政治力長けた劇団四季浅利慶太が、ミュージカル適した1600席をごり押ししと言われたが、本人否定している。しかしながら黛敏郎も「ミュージカル派の意向優先され結果」と発言するなど議論くすぶっていた。結局座席数1800となった理由不明である。参考として清水裕之(名古屋大学名誉教授岡崎市民会館芸術監督)によると、当時清水文化庁文化普及課の非常勤職員として第二国立劇場事務室勤務しており、建築計画面の資料作り携わることができたとのことである。「文化庁諮問した委員会での大劇場客席数の結論は、質の高い作品良い鑑賞条件ものとで見てもらうために、客席数を1600席に押さえるというものであった。しかし、海外からオペラ引っ越し公演行っている興行側からは、それでは採算とれない少なくとも客席2000席を超える客席必要だというような議論起こり新聞や雑誌巻き込んだ大論争になった筆者建築設計立場から、2000席を超える劇場では舞台から遠すぎる席が増えすぎて鑑賞環境には無理があること、ドイツ劇場では2000席以下のオペラ・バレエ劇場多くあり、その鑑賞条件はよく、また公共団体支援しっかりしているため、非常に低料金鑑賞できることの素晴らしさ体感していたため、民間ベース興行収入基本とする論争にはついてゆけなかったことを鮮明に覚えている。」すなわち、文化庁各国代表する3000規模ホールではなくドイツ地方都市中規模歌劇場手本としていたこと、ドイツの歌劇場では演奏家公務員として契約するが、日本ドイツと同じ費用使って演奏家ではなく天下り職員人件費消えていくので「公共団体支援しっかりしている」とはとても言えないこと、したがって興行収入基本としない民間興行成立しないことを認識していなかったことがわかる。 文部科学省公式の「第二国立劇場仮称)の設立準備」について「用地は、五十二年十二月文化庁から大蔵省に対して通商産業省東京工業試験所跡地の提供方を依頼したのを受けて五十五年五月には、国有財産中央審議会において同跡地用地として利用する旨の答申なされた。ところが、同跡地が、現代舞台芸術のための劇場用地として適当かどうか等について一部議論起こり結局、この議論収束待って劇場建築のための設計競技国際的な規模実施され入賞最優秀作品を発表し基本設計入ったのは、六十一年のことであった。」新宿中心部から離れすぎており、文化中心としてふさわしくないというと議論沸騰したのである。なお、当初は「駒場跡地であったものが二転三転したようである。 1971年 - 1992年建設にあたって議論紛糾している間、準備費用だけで150億円にのぼった佐々木は「民間ならすでに劇場建ってもおかしくない金額と言った組織文化庁(のちに一部独立行政法人)、特殊法人(のちに公益財団法人一般財団法人)、一般株式会社等の法人へと何重に複雑な業務委託が行われており、建物建設も、公演も、何もしなくても中間マージンがかかる仕組みになっている。しかも各組織天下りポストとなっており、実態業務委託利ざや天下った元公務員人件費充てられていることに他ならない。もとは税金なのだから、説明責任求められよう。 欧米劇場であればインテンダント芸術総監督)が全責任を負うことになり、それに対応できるだけの経験積んできた芸術家がその任にあたるが、二国新国立劇場)では理事長芸術監督別々に存在し、いずれがインテンダントなのか責任の所在曖昧である(さらには評議員会まである)。遠山一行佐々木との間で激し意見応酬がされているが、副理事長遠山責任負っておらず、芸術監督畑中良輔が全責任負っているという遠山意見は無理がある。しかも理事長理事・評議員大半は元役人財界人であり、芸術家少数である。責任をとれる役目でないのなら、理事会評議員会不要であろう。(肩書はいずれ当時新国立劇場常設団体新国立劇場合唱団新国立劇場バレエ団のみである。オペラ団体合唱団のみのため、出演者演奏会ごとに契約して出演料を得るしかない(なお、合唱団員も1年契約である)。国立劇場という名の貸しホール同然である。バレエ団はさらに複雑で、常設とは名ばかりで、実態1年ごと、演目ごとに市中バレエ団ダンサー一本釣りして「新国立劇場バレエ団」と称しているのみである。 二国新国立劇場でわざわ聴衆人気があるプログラム上演するのは民業圧迫である。しかも税金補填される分、民間よりチケット安くできる。国立劇場なければ上演しにくいプログラムを組むか、民間含めあまねく補填をするかしなければバレエ界の発展望めない。

※この「二国(新国立劇場)問題」の解説は、「佐々木忠次」の解説の一部です。
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