D2C
「D2C」とは・「D2C」の意味
「D2C」には「製造者が直接的に消費者と取引する」という意味があり、「B2C」などに代表される市場規模が拡大しているビジネスモデルの一種である。小売店などを介さず、製造者が自社のECサイトで商品を消費者に直接販売することを指す。「D2C」と混同されやすいものとして「B2C」があげられるが、企業が消費者と取引するという点が異なる。アマゾンや楽天などのオンラインショッピングモールで商品が販売されるのは、企業と消費者が直接取引するためB2Cとなる。・「D2C」のビジネスモデル
「D2C」は、2000年代後半ごろから増加してきたビジネスモデルである。ショッピングモールに出店すると手数料がかかるが、自社のECサイトで販売すると手数料もかからず収益率が高いという点が企業にとっては大きなメリットとなる。小売店や代理店を通じて販売する場合は、商品を卸すための配送コストがかかるが、自社ECサイトなら流通コストも削減できる。また、ショッピングモールに出店する場合は、それぞれのプラットフォームに合わせたマーケティングしか行えないが、自社ECサイトなら自由度の高いマーケティングが可能になる。顧客データも収集しやすく、商品やサービスの向上に役立てることができる。
「D2C」がビジネスモデルとして成功を収めている理由としては、サブスク型のサービスが一般化したことも背景になっている。商品は買うだけでなく利用するものという意識も消費者の中で高まってきており、個性的な商品やサービスを展開しやすい土壌が形成された。多様性により、探す、選ぶ、購入する、利用するなど、色々な選択肢が増えたため、「D2C」がビジネスモデルとして成功しやすくなった。
「D2C」はメリットの多いビジネスモデルではあるものの、顧客開発に時間がかかるというデメリットがある。自社の商品の魅力を伝えるために効果的なマーケティングを行わねばならず、認知度やブランド力を高めるにはある程度の期間が必要となる。商品自体に魅力がなければ顧客を増やすことができないため、商品開発にも力を入れなければならない。商品開発の段階からコンセプトをしっかり決め、ニーズに合致する商品展開を図る必要がある。ただ作りたいものを作るというだけでは、「D2C」は成功しない。
「D2C」のビジネスモデルを採用するには、「D2C」に適した製品を扱っている必要がある。「D2C」に適しているのは、ネットショッピングで購入される頻度が高い製品である。代表的なものとしては、サプリメントや健康食品、アパレル、化粧品などがあげられる。基本的にネットショッピングで購入されない商品は、「D2C」のビジネスモデルにおいては需要が低くなる。そのほか、消費者が希望する決済方法を準備することも、「D2C」の成功には欠かせない要素である。
「D2C」の読み方
「D2C」は「Direct to Consumer」の略語で、日本語では「ダイレクト・トゥ・コンシューマー」と読む。また、略語のまま「ディーツーシー」と読まれることもある。「D2C」と似た名前の「B2C」は「Business to Consumer」の略語で、「ビジネス・トゥ・コンシューマー」もしくは「ビーツーシー」と読む。「D2C」の熟語・言い回し
D2Cブランドとは
「D2Cブランド」とは、「D2C」のビジネスモデルを実践しているブランドのことである。製造者が直接消費者の声を吸い上げることができるため、製品開発の時点から消費者の意見や要望を取り入れられる。そのため、独自性が高い製品を開発することが可能になっている。従来のビジネスモデルである大量生産・大量消費ではなく、独自ブランドを構築することを目的としているブランドのことを指す。
「D2Cブランド」が増加している背景には、SNSの普及が大きな影響を及ぼしている。製造者がSNSを通じて消費者と直接的にコミュニケーションを取れるようになり、消費者に寄り添った製品を開発することが容易になった。また、消費者が購入した製品の感想を拡散してくれるため、低コストでマーケティングができるようになった。このような背景から海外の「D2Cブランド」が成功を収めたため、日本市場においても「D2Cブランド」が増加している。市場規模も右肩上がりとなっており、2025年には3兆円市場になると予測されている。
日本における「D2Cブランド」の成功事例としては、アパレル会社のCOHINA、食品会社のBASE FOOD、化粧品会社のBULK HOMMEなどがあげられる。COHINAは155センチ以下の小柄な女性をターゲットとしたアパレルブランドとして2017年から事業を開始しており、2020年には月商1億円を記録した。BASE FOODは「酒食をイノベーションする」をコンセプトに、完全食のパンや麺、クッキーなどを販売して業績を伸ばした。BULK HOMMEは20代から30代の男性にターゲットを絞り、パッケージにもこだわった男性化粧品を展開して売上を着実に伸ばしている。
成功している「D2Cブランド」の特徴は、ブランドの世界観やストーリーを消費者と共有していることが上げられる。作り手の思いが消費者に伝わるとともに、語りたくなるようなストーリーや商品体験を与えられることが課題となる。また、消費者の意見を汲み取り製品の開発に役立てることを、どれだけスピーディーに行えるかも、「D2Cブランド」の成功に関わってくる。ブランドの世界観やイメージを上手に宣伝するオンライン広告、インフルエンサーによるレビューなど、デジタルマーケティングを効果的に活用することも求められる。
マイクロD2Cとは
「マイクロD2C」とは、マイクロブランドが「D2C」のビジネスモデルを行うことである。マイクロブランドとは、製造数が数百個単位など小規模の事業を展開しているブランドのことで、小さな市場にターゲットを絞ったビジネス展開をしているブランドのことである。「D2C」のビジネスモデルはそれなりの規模で事業を展開しているブランドが行うことが多いが、「マイクロD2C」ではハンドメイドや小ロットなど小規模な商品展開にすることで、高品質でストーリー性の高い製品を消費者に提供できるというメリットがある。
「マイクロD2C」が増加している理由としては、3Dプリンターやcadなど、個人でも簡単に製品を作れるツールが普及したことがあげられる。小ロットから製造できるため保管場所を確保する必要もなく、商品の回転も速くなるため少ない資金で参入しやすい。また、求められる商品も多様化しており、個性を表現できる商品の需要が高まっているのも「マイクロD2C」の増加に拍車をかけている。仲介業者を挟まず製造からマーケティングまで全て行うことで浮いた費用を、商品開発やキャンペーンなど顧客満足度を高めるために使用することも可能である。「マイクロD2C」の成功のためには、消費者当たりの利益率を最大化することが必要になる。利益率を最大化するためには、消費者のリピート率を高めることが重要になる。
「マイクロD2C」のビジネスモデルとしては、商品はあるがターゲットがないというパターンと、商品はないがターゲットはいるというパターンの2種類がある。商品はあるがターゲットがないというパターンは、個人経営のスイーツ店やパン屋などがあげられ、自社ECサイトから商品を販売することで「マイクロD2C」を始めることができる。商品はないがターゲットはいるというパターンはインフルエンサーとしてSNSのフォロワーが多い人などがあげられ、ファンへ向けたストーリー性のある商品を展開することで「マイクロD2C」をスタートできる。「マイクロD2C」からスタートし、大規模な「D2C」へと移行することも可能である。
ディー‐ツー‐シー【DtoC/D2C】
D2C
読み方:ディーツーシー
別名:DtoC
D2Cとは、メーカーがもっぱら自社のECサイトを通じて商品を販売するビジネスモデルのことである。広義の用法として、いわゆる「メーカー直販」型の業態を広く指す場合もある。
D2Cの大きな特徴としては「業者に卸さず自社で製造から販売まで一貫して行う」「店舗を持たずオンラインで販売する」という2点が挙げられる。小売業者に卸さないため中間マージンが省け、実店舗を持たないことで店舗の維持費も削減できる。つまり商品を安く販売できる。あらかじめ大量の在庫を確保しておく必要もないため、小ロットで生産して必要に応じて増産するといった管理や、需要に合わせた迅速な商品改良、あるいは冒険的な企画の提案、なども進めやすいという利点もある。
ソーシャルメディアを活用したマーケティングもD2Cの大きな特徴といえる。D2Cのビジネスモデルは、大手小売店などの販売プラットフォームに乗らないため、消費者に偶発的にリーチする可能性はきわめて低い。D2C事業者は、ソーシャルメディア等を通じてブランドの価値やビジョンを発信することにより、消費者と直に結びつき、支持を集め、拡散され、ブランド力を高めている。
「D2C」と字面の似た用語として「B2C」「B2B」「C2C」「B2E」「B2G」などのような語もある。これらはEC等の商取引の形態を指す用語であり、「販売者 to 消費者」の関係を頭文字で示した表現である。たとえばB2Cは「Business(事業者)から Consumer(一般消費者)へ」という意味である。D2Cの場合は「消費者へ直接に」というような意味合いと解釈され、B2CやB2Bその他の用語とは構成が異なる。
D2Cのビジネスモデルは、アメリカのスタートアップ企業が手法を確立したとされている。ただし英語圏では「D2C」という用語は、さほど使用例が見つからない。使用例が皆無というわけではない(あるにはある)が、マーケティング用語として確立されているかどうかは多少疑問が残る。
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