ステンガンの登場とは? わかりやすく解説

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ステンガンの登場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:22 UTC 版)

ステン短機関銃」の記事における「ステンガンの登場」の解説

1941年入りイギリス軍ロンドン北部にあった国営兵器工場エンフィールド王立造兵廠に、扱いやすく生産性良い短機関銃開発要請した。 これを受け、エンフィールド造兵廠技師であるレジナルド・V・シェパードReginald V. Shepherd)とハロルド・J・ターピン(Harold J. Turpin)は共同新型サブマシンガン開発あたった開発にあたって彼らが参考にしたのはドイツ製のMP28MP40だった。 特にMP40当時における最先端短機関銃であり、銃としての性能自体さることながら鋼板プレス部品多用など、それ以前短機関銃とは隔絶した生産合理化策が加えられた、極めて斬新な銃だった。シェパードターピンらはこれらのドイツ短機関銃徹底的に調査分析した実包ドイツ軍制式拳銃弾である9mmパラベラム弾採用された。通常短機関銃実包制式拳銃同様の拳銃弾使用するのが望ましいが、弾薬補給複雑化承知でこの実包採用した背景には、イギリス制式拳銃弾である38エンフィールド9mm)弾が回転式拳銃リボルバー)用のリムド(有起縁式)実包であり、自動火器使用向いていなかったという理由があった。 従前では考えられないほどの特異な合理化設計図られ1941年6月試作銃完成させた。「ステン」(STEN)という名称は、2人技師頭文字(S、T)と、エンフィールド造兵廠頭文字EN)に由来するまた、第二次世界大戦初期イギリスでは短機関銃マシンカービンMachine Carbine)と呼称していたため、採用当初制式名称9mm STEN Machine Carbine, Mark 1(ステン9mmマシンカービン Mk.I)とされていた。制式火器採用トライアルパスした後、イギリス政府はさっそく大手銃器メーカーBSA社にステンガン量産依頼した8月に入るとBSA社は試験的に25丁を生産し軍に納入したその後9月10月生産増やしていった。 最初生産型Mk.Iは、まだ伝統的な小銃形式模した第一次世界大戦型の短機関銃の姿を残しており、左から水平に差し込まれる箱形弾倉木製の先台、折り畳み式フォア・グリップ、スプーン型のフラッシュハイダーなどが装備されていた。採用後まもなくして一層の省力化試みたMk.II生産移行したため、Mk.Iおよび小改良加えたMk.I*生産数10万程度に留まった。 Mk.II基本的なデザインMk.I同様だったが、木製部品フラッシュハイダー、フォア・グリップなどは廃され、フル・バレルジャケットは短めのベンチレーテッドパイプに変更され銃身前半部が露出するようになった円筒状のボルト同じく円筒状のレシーバー収めており、その外観水道管用の鉄パイプ引き金箱形弾倉差し込んだような異様な姿となったストック一本鋼管バットプレートグリップ代わりとなる三角形の孔開き鉄板溶接したものだった前方のフォア・グリップは省かれレシーバー先端部に留めたバレルカバー(ベンチレーテッドパイプ)を代用にしていた。これらは本来、銃器生産携わらぬ工場下請け生産するために取られ措置であったが、意外なことにこれだけ省力化されてもフルオート専用ではなくセミ/フル切り替えセレクターによって単発射撃が可能であったMk.II推定200挺にも及ぶ大量生産が行われた。自転車部品メーカー装身具メーカー果ては醸造所に至るまでの町工場カナダなど英連邦兵器工場などでも生産された。 Mk.IIサプレッサー取り付けたMk.II(S)少数生産された。Sは特殊用途Special Purpose)を意味する消音の際、銃身からガス逃して弾速を亜音速まで低下させる都合燃焼ガス圧力低くて支障なく稼働するように短いリコイルスプリングと軽いボルト組み込まれていた。フルオート射撃サプレッサー寿命著しく縮める為、Mk.II(S)マニュアルでは極力セミオート射撃を行うこととされていた。ただし、緊急時必須であるとして、フルオート射撃能力そのまま残されていた。 Mk.IIIは更に設計簡素化したモデルで、Mk.I元に玩具メーカーラインズ・ブラザーズ開発した開発時期Mk.IIとほぼ同時である。主にイギリス本国ホームガード供給された。総生産数は約876千挺。レシーバー一体化したバレルカバーが銃口付近まで延長され部品の数は僅か47個、5時間完成できる。弾倉などの一部除いてMk.IIIとの部品互換性はない。簡素化したことで潤滑油不要だが、元々、銃器設計経験のないLB社の設計ミス簡素化されすぎた工作から、Mk.II比べて動作不良率が高く耐久性低さ分解整備困難さ相まって評判は悪い。軍のトライアルでも射撃停止規定発砲数に達す以前ガタが来るなど散々な結果露呈したMk.II製造終了し、より簡素かつ安価なMk.III量産移行する計画当初はあったが、トライアルにおけるほぼ全ての項目でMk.II優位認められたため、Mk.III製造早々に打ち切られた。 Mk.IV称されるモデルはいくつかあるが、いずれも試作のみに終わり量産には至らなかった。1つMk.II原型に、下方折り畳み銃床セミオート射撃のみ可能なトリガーグループを組み込んだのである。Mk.IV-Aとして知られるモデルも、やはりMk.II原型としており、短銃身、フラッシュハイダー大きなトリガーガード、ピストルグリップ側面折り畳み銃床組み込まれていた。 1944年初頭になると、Mk.V加わった。これはMk.I先祖返りした正統改良発展型とでも言えるステンガンで、Mk.I以来木製ストック復活させ、前後ピストルグリップ追加照準線長く取るべく、これまでレシーバー上に溶接されていた照星銃口付近移した上で制式小銃準じたガード付き改正し命中精度高めと共に着剣装置備えて銃剣突撃可能なように改めた最終生産型である。外見はかなり変化しているが、生産性にも配慮されており、ボルトなど部品多くMk.II共用可能だったMk.VIは、Mk.Vサプレッサー装備した消音型である。

※この「ステンガンの登場」の解説は、「ステン短機関銃」の解説の一部です。
「ステンガンの登場」を含む「ステン短機関銃」の記事については、「ステン短機関銃」の概要を参照ください。

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