グラフレックスシリーズ
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「グラフレックスのカメラ製品一覧」の記事における「グラフレックスシリーズ」の解説
シリーズ全体では1898年から1963年までの実に65年も製造された優れた大型木製一眼レフカメラ。日本では長らく「イギリスのアダムス・バイデックスあたりに影響された」という説が信じられて来たが、高島鎮雄の調査によればこれは逆で、ハードボードを芯にして革で覆い、肉眼明視距離でグラウンドグラスを見られるように折畳式のピントフードを備え、ラック・アンド・ピニオンによるピント調節など1901年の最初のグラフレックスが先鞭をつけ、イギリスの一眼レフカメラは全てこれに倣ったものであり、1906年発売のアダムス・バイデックスが備える後ろヒンジの上蓋と高いピントフード、反射を防ぐためわずかに前傾したグラウンドグラス、ラック・アンド・ピニオンの前板繰り出しなどはまさにグラフレックスのコピー以外の何物でもない。1902年発売のシュー・レフレクター、ニューマン&ガーディアのレフレックスセルフフォーカシングカメラ、1904年発売マリオンのソホ・レフレックスなど例外なくグラフレックスの影響を受けている。ボディーは柾目のマホガニー製で隅は組み木細工になっており、木目を直角にした二重構造で強化されており、その高い強度から「撮影行に疲れたらイス代わりになる」とさえ言われた。外装は上質のモロッコ革張り、蛇腹はフレンチカーフ、金属部品は酸化ガンメタルでブルーグレーに仕上げた真鍮製である。ミラーは裏面鏡で暗い中で明るい箇所を結像させると線が二重になり見にくいことがあるが、ミラー表面をこすっても銀が落ちないので耐久性が高い。後部は「グラフレックスバック」で「グラフィックバック」「グラフロックバック」とは互換性がない。 グラフレックス(1901年発売) - 1905年まで製造された。シャッターはスリット調整式で故障しやすい。 リバーシブルバック・グラフレックス(1901年発売) - 1905年まで製造された。シャッターはスリット調整式で故障しやすい。 ツーリスト・グラフレックス(1902年発売) - 1905年まで製造された。シャッターはスリット調整式で故障しやすい。 ステレオ・グラフレックス(1904年発売) - 1905年まで製造された。シャッターはスリット調整式で故障しやすい。 オートグラフレックス - 画面サイズは3¼×4¼in判、4×5in判、5×7in判があった。レンズボードは交換式。繰り出しはラック・アンド・ピニオン。バックは横位置固定。シャッターは固定スリット式となり、速度はT、1/10-1/1000秒。当初のピントフード上蓋は前ヒンジ45度開き、アコーディオン状のフード後方の孔からミラーを見る方式であり、シャッターもボタンであったが、1911年にピントフード上蓋が前ヒンジの通常タイプになり、シャッターもレバーになった。1916年からピントフード上蓋が後ろヒンジの典型的「グラフレックススタイル」になり、1921年にシャッター制御が簡略化された。1923年まで製造された。オートグラフレックス3¼×4¼in判(1906年発売) - 当初2 3/4×2 3/4inボード、1919年以後2 7/8×2 7/8inボードを使用した。蛇腹の伸びは7in。 オートグラフレックス4×5in判(1906年発売) - 当初3×3in、1918年以後3¼×3¼inボードを使用した。蛇腹の伸びは8½in。 オートグラフレックス5×7in判(1906年発売) - 4×4inボードを使用した。蛇腹の伸びは8½in。 オートグラフレックスjr.(1906年発売) - 3¼×4¼in判で前玉回転式のクック・アナスチグマートF5.6を固定装着した普及型。 RBオートグラフレックス(1906年発売) - 画面サイズは4×5in判。蛇腹の伸びは12½in。1906年以前のグラフレックスのシャッターを固定マルチスリット式に置換したもの。3½×3½inボードを使用した。ピントフードは後ろヒンジ。1908年まで製造された。 ステレオオートグラフレックス(1906年発売) - 画面サイズは5×7in判。ステレオ・グラフレックスをオート化したもの。レンズボードは3×5 3/4inで、ライズとフォールの機能を備える。1923年まで製造された。 ナチュラリストグラフレックス(1907年発売) - 画面サイズは4×5in判。4×4inボードを使用した。蛇腹の伸びは26inで焦点距離12 3/4in以上の焦点距離のレンズが使用できる。ピントフードはウェストレベルにもアイレベルにもなる。1921年まで製造された。 プレス・グラフレックス(1907年発売) - 画面サイズは5×7in判。蛇腹の伸びは14in。シャッタースリットは8つあり、シャッター最高速は1/1500秒。 RBオートグラフレックス - 画面サイズは3¼×4¼in判と4×5in判のモデルがある。レボルビングバックを備え、簡単に縦位置横位置を変更できる。蛇腹は2段伸ばしで1:1の複写可能。前板はライズ、フォール可能。最も高性能で多用途に使えたため生産期間も最も長くなった。1916年まで前ヒンジだった上蓋が1917年から後ろヒンジになった。1941年まで製造された。RBオートグラフレックス3¼×4¼in判(1909年発売) - 蛇腹の伸びは15in。当初3×3in、1917年以後3¼×3¼inボードを使用した。 RBオートグラフレックス4×5in判(1909年発売) - 蛇腹の伸びは18in。3¼×3¼inボードを使用した。 1Aグラフレックス(1909年発売) - 画面サイズは2½×4¼in判。蛇腹の伸びは6½in。2¼×4¼inボードを使用した。3Aグラフレックスを小型化したモデルで、初めて横走りシャッターとなった。ボディー左右端は丸い。当初はパンタグラフ式の支えを持つ高いピントフードを備えていたが、1918年に変更された。 テレスコピックRBオートグラフレックス(1912年発売) - 画面サイズは4×5in判。蛇腹の伸びは12in。4×4inボードを使用した。1906年に発売されたRBオートグラフレックスを近代化したもの。 ホームポートレートグラフレックス(1912年発売) - 画面サイズは5×7in判。蛇腹の伸びは18in。当初前面と凹み部分に6¼×6¼inボードまたは5×5inボードの2種どちらかを装着できたが、1916年以降は5×5inボードのみとなった。営業写真家が家庭に出張しポートレートを撮影するための特殊なもので、唯一レンズボードがスイング可能である。ダルメイヤー製40in(1016mm)レンズを装着した「ビッグ・バーサ」はアメリカ合衆国で野球やフットボールの超望遠撮影に使用された。 オートグラフレックスジュニア(1914年発売) - 画面サイズは2½×3¼in判。蛇腹の伸びは4-5½in。レンズはスクリュー固定式。バックは横位置固定。超小型軽量モデル。 RBテレグラフレックス - 画面サイズは3¼×4¼in判と4×5in判のモデルがある。テレスコピックRBオートグラフレックスを近代化した製品。1923年まででカタログ落ちしたが1926年以降に使用されたフォルマー・グラフレックス・コーポレーションの銘板を持つ個体もあり、プロ用として少数生産され続けたらしい。RBテレグラフレックス3¼×4¼in判(1915年発売) - 蛇腹の伸びは8½in。3¼×3¼inボードを使用した。 RBテレグラフレックス4×5in判(1915年発売) - 蛇腹の伸びは12in。4×4inボードを使用した。 RBグラフレックスジュニア(1915年発売) - 2¼×3¼in判。蛇腹の伸びは5¼-7¼in。1914年発売のオートグラフレックスジュニアをRB化したものだが、一回り大きく重くなった。ボディーは後のRBシリーズBに流用された。 コンパクトグラフレックス - 画面サイズは3¼×5½in判と5×7in判のモデルがある。蛇腹の伸びは5¼-7¼in。コンパクトグラフレックス3¼×5½in判(1915年発売) - 蛇腹の伸びは10in。3¼×3¼inボードを使用した。明らかに3Aグラフレックスからフィルムを収納するための両側の丸い部分を切り取ったもの。 コンパクトグラフレックス5×7in判(1915年発売) - 蛇腹の伸びは12in。4×4inボードを使用した。コンパクトグラフレックス3¼×5½in判と違い新設計されたもので、ミラーを畳んでレンズボードを押し込み小型化でき、そのため内部に遮光カーテンが一枚余分にあって、あまり耐久性は高くなかったという。 RBグラフレックスシリーズB - 画面サイズは2¼×3¼in判と3¼×4¼in判と4×5in判のモデルがある。製造中止されたRBテレグラフレックスのボディーに小さいレンズスタンダードと蛇腹を装着したもので、レンズ交換はスクリューマウントとなり望遠レンズが1本用意されたのみで、多用途製は大幅に低下した。RBグラフレックスシリーズB2¼×3¼in判(1923年発売) - 装着レンズの焦点距離は5½in。黒ハンマートーン塗装とクロームのトリム、白鏡胴でコーティングを施されたエクターレンズを備えて戦後も復活、最後はグラウンドグラスにエクタライト・フレネルレンズを装備し1951年まで製造された。 RBグラフレックスシリーズB3¼×4¼in判(1923年発売) - 1942年まで生産された。装着レンズの焦点距離は6 3/8in。 RBグラフレックスシリーズB4×5in判(1923年発売) - 1942年まで生産された。装着レンズの焦点距離は7½in。 グラフレックスシリーズB - RBグラフレックスシリーズBのRB機能を省略し、やや小型化された製品。画面サイズは3¼×4¼in判と4×5in判と5×7in判のモデルがあり、後に2¼×3¼in判が追加された。グラフレックスシリーズB2¼×3¼in判(1925年発売) - 装着レンズの焦点距離は4 3/8in。1914年に発売されたオートグラフレックスジュニアにシリーズBのレンズボードを組み合わせた製品で、数はごく少ない。1926年まで生産された。 グラフレックスシリーズB3¼×4¼in判(1923年発売) - 装着レンズの焦点距離は5½in。1937年まで生産された。 グラフレックスシリーズB4×5in判(1923年発売) - 装着レンズの焦点距離は6 3/8in。1937年まで生産された。 グラフレックスシリーズB5×7in判(1923年発売) - 装着レンズの焦点距離は7½in。1942年まで生産された。 RBグラフレックスシリーズC(1926年発売) - 画面サイズは3¼×4¼in判。レンズはクック・アナスチグマート6½inF2.5で、スクリュー交換でき、望遠レンズが用意されていた。RBテレグラフレックスのレンズスタンダードを補強した夜間・全天候モデル。レンズが開放から鮮鋭というが軽合金製鏡胴が割れやすくまた噛み込んで外れなくなったものが多く、完全なものは貴重だという。1935年まで製造された。 RBグラフレックスシリーズD - 画面サイズは3¼×4¼in判と4×5in判のモデルがある。RBグラフレックスシリーズBは好評であったがレンズボード復活を望む声も多く、RBテレグラフレックスを復活させたもの。RBグラフレックスシリーズD3¼×4¼in判(1928年発売) - 1941年まで生産された。3¼×3¼inボードを使用した。 RBグラフレックスシリーズD4×5in判(1928年発売) - 1941年頃黒塗装とクロームメッキ仕上げになり、1947年まで生産された。2 3/4×3 3/4inボードを使用した。 RBスーパーDグラフレックス - RBグラフレックスシリーズDにシンクロ接点とプリセット絞りを装備した。最後の木製一眼レフカメラとして開発が極められ最も望ましいグラフレックスである。シャッターテンションはLとHの2段階、シャッター速度は1/30-1/1000秒の8段階になった。画面サイズは3¼×4¼in判と4×5in判のモデルがある。RBスーパーDグラフレックス3¼×4¼in判(1941年発売) - 1963年まで生産された。3¼×3¼inボードを使用した。蛇腹の伸びは8¼in。 RBスーパーDグラフレックス4×5in判(1928年発売) - 1958年まで生産された。3 3/4×3 3/4inボードを使用した。蛇腹の伸びは12in。レンズはエクター190mmF5.6またはグラフレックスオプター。グラフレックスバッグが標準だがグラフロックバック仕様も注文できた。
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3Aグラフレックス(1907年発売) - 初のロールフィルム用グラフレックスで、3¼×5½in(ポストカード)判。第一次世界大戦当時の報道写真家や、鉄道写真家に愛用された。前方両側にロールフィルムを収納する場所がある。当初3×3in、1913年以降3½×3½inボードを使用した。
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