カサンドラ監獄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 09:32 UTC 版)
トキが幽閉されていた監獄。鬼と呼ばれた凶悪犯が哭いて出獄を乞うという別名「鬼の哭く街」。カサンドラにある監獄で凶悪犯や拳王軍に組せぬ者またラオウによって拳法の奥義を強奪された拳法家たちを収容した施設。獄長ウイグルを頂点とした組織が構築されている。 カサンドラ編の最後では拳王がラオウであること、真のカサンドラの恐怖はラオウがもたらしたものだということが判明。トキはラオウの野望を止められるのはケンシロウしかいないと断言し、以後ラオウとの対決が鮮明となる。またカサンドラ編ではケンシロウがはじめて救世主と呼ばれた。他にもサブタイトルをはじめセリフに「救世主」という言葉が多く登場し掲載誌の煽り文では「救世主伝説が今より始まる!!」「救世主出現!!」と宣言している。 ウイグル獄長 声 - 郷里大輔 / 三宅健太(天の覇王) / 大友龍三郎(北斗無双) / 楠見尚己(北斗が如く) / 最上嗣生(LEGENDS ReVIVE) トキが幽閉されていたカサンドラ監獄の獄長。不死身の肉体と不落のカサンドラ伝説を誇った巨漢。ラオウの覇道を揺るがす「トキとケンシロウの再会」という事態の阻止を担っており、カサンドラに入ってきたケンシロウを葬ろうとした。またそれにより、作中で初めてケンシロウを救世主と呼んだライガとフウガたちの希望をも打ち砕こうとした。 カサンドラでラオウが目指した恐怖による支配をウイグルは脱獄不能のカサンドラ伝説として顕示。自分に挑戦を図る者や脱獄者を見せしめに処刑し、その累々とした墓標を自らの伝説の記念碑とした。挑戦者を待ちわびケンシロウのためにわざわざ墓穴を用意するほどの自信家で、巨体から繰り出す必殺技の「蒙古覇極道」は、ケンシロウを失神させるまで追い込んだ。しかし4回目の蒙古覇極道はケンシロウに6本の指で受け止められ、北斗鋼裂把で肩の筋を引き裂かれる。最後は北斗百裂拳でとどめを刺され、逆に巨体を小さな墓穴に押し込まれる。ウイグルを倒された獄吏たちは武装を解除し、カサンドラは解放となる。一方でウイグルはトキが重要な人物であることを知っており、墓穴から一時的に息を吹き返してまで2人の再会を阻止するよう訴えるなど、並々ならぬ執念を持っていた。 巧みな鞭捌きと巨体を活かした力業を得意とするが、人質を使った狡猾な支配力も合わせ持つ。近距離では大技の「蒙古覇極道」、中距離では「泰山流双条鞭」「泰山流千条鞭」という複数の鞭を駆使する流派を修得している。 作画担当者の原哲夫は、憧憬する画家フランク・フラゼッタからウイグル獄長のデザインのイメージを得たとして、作中で一番好きな悪役としている。その原作登場シーンのインパクトを名越康文は『北斗神話の深層心理カルテ〜北斗神拳とは何だったのか〜』の中で「ウイグルが放つ威厳のオーラは権力の本質と影響力を象徴する」と分析し、今までの敵とは違う拳王軍という巨大組織の中でカサンドラを任された「役職」を持った官僚であると指摘している。 1986年の劇場版『北斗の拳』ではラオウの側近として拳王軍を指揮し、牙一族の抹殺とユリアの処刑を命じられている。またレイとの対戦を命じられるが逆に斬殺される。誌面発表時の初期設定ではラオウと対決する前にケンシロウが対戦する相手であった。TVアニメ『北斗の拳』では、ラオウだけでなくウイグルも拳法家から奥義を奪い人質を取ってカサンドラを圧制している。また監獄の守備だけでなく途中でケンシロウを迎え撃つためにカサンドラ襲撃隊や部下のターゲル、蘭山紅拳のベラを差し向けている。死に際に墓穴から息を吹き返してまでトキとの再会阻止を訴えた執念は、単にカサンドラの崩壊を告げるために変更されている。『天の覇王』ではカサンドラの獄長となる経緯が描かれており、ラオウによって才を見いだされ智王ギオンの後任としてこの地位に就いたとされている。『金翼のガルダ〜南斗五車星前史〜』では、南斗最後の将の居城を記した地図をカサンドラで厳重保管しており強引に要求するガルダとあわや一騎打ちとなるが、地図の謎を解明する期待から結局あっけなく明け渡している。 正規英語版北斗の拳での英語表記はWIGULであって、ゲームなど派生商品でよく使われているUighurやUyghurなど中央アジア民族名とは異なる。また中国語版『北斗が如く』(人中北斗)以降では民族名(維吾爾)ではなく、似た発音の(威格爾)が使われている。 ライガとフウガ 声(ライガ) - 沢木郁也 / 稲田徹(PSゲーム) / 平井啓二(真・北斗無双) / 堂坂晃三(LEGENDS ReVIVE) 声(フウガ) - 幹本雄之 / 今村直樹(PSゲーム) / 鈴木賢(真・北斗無双) / 酒巻光宏(LEGENDS ReVIVE) カサンドラの獄門を守る双子の衛士。ミツ(声 - 島田敏〈PSゲーム〉)という弟がおり、ウイグルに人質として取られ、なおかつ自分たちの技量ではウイグルには敵わないと悟ったため監獄カサンドラの衛士に身を落としていた。ミツは2人がケンシロウに命運を託した際、ウイグルによって処刑されそうになったものの「死の覚悟が決まった奴を殺すのはおもしろくない」とするウイグルの気変わりで命を救われている。 彼らの使う「二神風雷拳」は二身一体で、同じ血、同じ筋肉、同じ感性を持つ者のみが修得可能な拳法。2人の指は細く鋭利なワイヤーで繋がれており、間に挟み込んで敵を切断する。これで幾人もの挑戦者を門前払いにした。最初にレイと戦い傷を負わせるが、ケンシロウとの戦いでは一瞬にしてその拳を見切られ敗北する。ケンシロウがカサンドラの恐怖の伝説を崩壊させる救世主と悟り、人質である弟の命を捨てる覚悟で門を開け中へ通す。 ケンシロウがウイグルを破った後にトキのいる獄舎を目指すが、侵攻して来た拳王親衛隊によって巨石を落とされ道を塞がれそうになったため、両手で支えて通路を確保する。そして巨石を抱えたまま拳王親衛隊のザルカとカシムになぶり殺されるが、死してなお立ち続ける精悍な最期がケンシロウの心を大きく揺さぶることになる。 アニメでは師匠として拳王に忠誠を誓ったソウジンがおり、カサンドラ内部でソウジンと師弟対決を行う下りが追加されたほか、弟ミツが2人の目の前で処刑されるという形に変更され、ウイグルの死後に弟の亡骸を埋葬する描写もある。絶命して巨石を支え続けた描写もトキの救出後になり、拳王決死隊のブルグに殺されるという形に変更され、2人の親友として登場するカサンドラの兵士・タカ(声 - 竹村拓)が2人の敵を討つこととなった。 双子ゆえ同じ顔をしているが、フウガには一本線型の顎髭が生えている。アニメではフウガに髭が存在しないが服装の色が違う。 ザコル 声 - 田中康郎 ウイグルの部下。彼の命令でトキの真実に触れようとする者を処刑する処刑部隊(エクスキューショナー)の隊長。トキの情報を各地から得ようとするマミヤを処刑するために派遣される。マミヤを捕えて殺そうとするが(アニメ版では、ここで部下たちから「イッキコール」が沸き起こる)、運悪くそこがケンシロウとレイとの合流場所であったため、とっさにマミヤを人質にして窮地を逃れようとするが、恐れをなした部下が逃げるのに気を取られた隙にケンシロウに秘孔を突かれて数時間の気絶状態になる。アニメ版ではその後に意識を取り戻し、カサンドラへ報告に戻るがウイグルによって始末される。 ※以下はテレビアニメ版オリジナルキャラクターとして登場するウイグルの配下。 ターゲル 声 - 屋良有作 テレビアニメ版のみ登場。獄長ウイグルの部下でカサンドラの刑務官。黒掌十字拳の使い手。ケンシロウへの刺客として放ったベラの監視役。ベラが任務を完遂できなかったために彼女の母とベラを殺害するが、それを目撃したケンシロウの怒りを買い、北斗撃墜指を受け爆死する。 ソウジン 声 - 宮内幸平 テレビアニメ版のみ登場。ライガとフウガの師匠であり、風雷拳一族の長。二神風雷拳の源である「風雷十極拳」の使い手。一族の存続のため拳王に忠誠を誓っている。ライガとフウガと対決し、弟子の成長を認めて敗れ去った。
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