オーラの科学史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 17:30 UTC 版)
バーバラ・アン・ブレナン著『光の手(上)』『癒しの光(上)』によれば、紀元前500年のピタゴラス学派にて、オーラの概念は初めて西洋文献に記された。それによれば、全ての自然に浸透している生命エネルギーの発光体が人間の組織に影響を及ぼし、病気を癒す効果もあるという 1500年代、スイス出身の医者であり錬金術師であったパラケルススは人間の癒しをもたらす未分化の生命エネルギーを「イリアステル」と名付けた。 1800年代において、ヤン・ファン・ヘルモントとフランツ・アントン・メスメルは、肉体が離れた相手に互いに影響の及ぼすことのできる“流体”の存在を報告し、ある種の電磁界に似たフィールドが存在しているかもしれない、と示唆した。 1800年代中期には、カール・フォン・ライヘンバッハが 電磁界とよく似た特性を示す「オドの力」と呼ばれるフィールドの実験を行った。ライヘンバッハは、オドは磁極のように互いを引きつける力の特性を有しており、また、磁極もオドと関連する極性を有しているとし、オドが人間の身体に水晶の力に似た極性を生み出すことを発見したと主張した。ライヘンバッハの主張によれば、身体の生命力には磁石のような極性があり、身体の左側が負で右側が正である。 1911年、内科医ウォルター・ジョン・キルナーは人間の身体を取り巻く、3つのゾーンからなるエネルギーフィールドの研究を発表した。キルナーはこのフィールドを「オーラ」と呼んだ。キルナーは、オーラには年齢・性別・健康・精神力などによりかなりの個人差が見られるとし、それを基にした診断システムを開発した。キルナーによればオーラの状態と肉体の病気には相関関係がある。 1939年、精神分析家ヴィルヘルム・ライヒは生命エネルギーであるオルゴンの概念を提唱した。これは性エネルギーと関連があるとされ、病気治療に有効であると考えられた。ライヒはオルゴンエネルギーが空間や生物・無生物に脈動していることを確認した。ライヒはジークムント・フロイトの分析法を応用し、肉体の中のオルゴンエネルギーを自然な流れにするための物理療法を開発した。 現在ではメスメルやライヘンバッハ、キルナー、ライヒらの実験は、一般的に疑似科学とみなされている。 1939年、イェール大学のハロルド・バー(英語版)が植物の種のエネルギーフィールド(オーラ)を測定した。新芽のまわりにある電場はもとの種子の形ではなく、すでに「生長後の草木のかたち」を示していた。つまり、このフィールドを測定することにより、植物がどの程度育つかが予測できるという。また、バーは蛙の卵のエネルギーフィールドを測定して、成長した蛙の神経系の位置を予測できることも発見したと主張した。そしてバーはサンショウウオの周囲に、身体と同じ形をした電場が存在し、その電場が、脳と脊髄をとおる一本の「電気的な軸」をもっていることを発見したという。 1979年、ニューヨークの骨形成外科医ロバート・ベッカー(英語版)は肉体を流れる直流電流を測定し、そのパターンを表す肉体電気フィールドの地図を作製した。このフィールドは人間の生理的・心理的変化によって形態を変化させること、健康状態や病気と相関して状態を変えることが判明したとベッカーは主張した。 1970年代にドレクセル大学では、超感覚知覚能力者であるカレン・ゲスラらが参加した実験が行われ、オーラエネルギーが2ミリワットのレーザー光線を曲げたり弱めたりすることが可能であることが確認されたと[誰によって?]発表された。この実験結果はNBCテレビで全国的に放送された。 1970~90年において、日本の超心理学者であり宗教家である本山博は、長年ヨーガを実践してきた人々から放出される低い光レベルの測定に成功したと主張した。また、本山は経絡を電気的に測定し、その結果を鍼灸の治療に利用している。 1970~90年において、カザフ大学のヴィクトール・イニューシンはコロナ放電写真を通して人体の「ツボ」の位置を示すことができたと発表した。また、オーラには自由イオンから成るバイオプラズマが含まれることなどを発見したという。 同じく1970~90年において、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の筋運動学の名誉教授で、ダンスセラピー、運動療法への貢献で知られる研究者ヴァレリー・ハント(英語版)は、生命エネルギーについて研究し、生体がひとつの電磁場であることを示した。 1980~90年代に、原子物理学者ロバート・ベックは、世界中の多くのヒーラーがヒーリング中に7.8~8ヘルツの脳波パターンを示すことを発見したと主張した。また、ヒーリング中のヒーラーの脳波の周波数と位相は、シューマン共振と呼ばれる地球の磁場の変動と同調していることを発見したと主張した。ここから、ヒーラーはヒーリングのために地球の磁場からエネルギーを取り入れていると推測できると[誰が?]論じている。 同じく1980~90年代に、ネヴァダ州の生体電磁気研究所の創設者兼所長ジョン・ツィマーマンは、ヒーラーが一度シューマン共振とリンクすると、脳の右半球と左半球が調和し、7.8~8ヘルツのアルファ波を出すとした。また、ツィマーマンはヒーリングで手を当てられた患者の脳波もヒーラーの脳波と同調してアルファ波を示すことを発見したと主張した。また、ツィマーマンは、ヒーラーの手から放出されるシグナルの強度や周波数が、生体組織の修復や促進を目的として開発された医療用の電磁パルス発生装置のシグナルと一致することを発見したと主張した。この発見は、気功や瞑想などの実践者を対象とした中国および日本での研究から裏付けられた。 1990年代には、A.S.Popowのバイオ・インフォメーション機構のロシアの科学者グループにより、生きた有機体が300~2000ナノメーターの周波のエネルギー振動を放出していることが確認されたという。このエネルギーは「バイオプラズマ」と呼ばれた。この発見はモスクワの医療科学学会で立証され、イギリス・オランダ・ドイツ・ポーランドでの研究で支持されているという。 中国の蘭州大学のチェン・ロンリアンは光量子装置(低光測定装置)や生体検査機を用い、人間の肉体から放出されるエネルギーを測定する実験を行った。その結果によれば気功の達人と透視能力者から発せられるエネルギーには如実に違いが見られたという。 グラナダ大学のOscar Iborraらの研究によると、オーラが視えることで他人のヒーリングができると報告する人々は、通常の人々に比べ、共感覚と呼ばれる知覚を持っている場合が多いという。
※この「オーラの科学史」の解説は、「オーラ」の解説の一部です。
「オーラの科学史」を含む「オーラ」の記事については、「オーラ」の概要を参照ください。
- オーラの科学史のページへのリンク