分析法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 07:45 UTC 版)
無機ヒ素は容易に水素化物として気化する。このため、無機及び全ヒ素の分析法では専ら強酸分解試料に水素化試薬を加え、生成気化したアルシンを原子吸光法、誘導結合プラズマ発光 (ICP) 法、ICP質量分析 (ICP-MS) 法で測定するか、吸収液で捕集し吸光度法で測定する。感度は ICP-MS法 > ICP法 > 原子吸光法 > 吸光度法 の順に高感度である。原子吸光法では装置のバーナヘッド部を加熱セルに交換するか、バックグラウンド吸収が低いアルゴン-水素炎を用いる。感度・精度ともアルゴン-水素炎よりも加熱セルを採用した方が優れている。有機ヒ素化合物の分析では、未分解の試料を溶媒で抽出後、HPLC で分離し ICP-MS で検出する方法が採用される。 全ヒ素の分析手順は概ね次のようなものである。 試料を強酸分解する。硝酸-過塩素酸、硝酸-硫酸、硝酸-過塩素酸-硫酸のような混酸が用いられる。 分解液を水素化物発生装置の試料容器に採る。 これに塩酸、ヨウ化カリウム、塩化スズ(II) を加え、しばらく放置する。この操作でヒ素(V)をヒ素(III)に還元する。 さらに水素化試薬(水素化ホウ素ナトリウム、亜鉛粉末等)を加え、試料容器を密閉する。 水素化ヒ素が気相に追い出されてくる。 気相を原子吸光分析装置に導入する。 波長193.7 nmの吸光度を測定する。 アルゴン-水素炎で測定する場合は、通常のスロットバーナで可能。バーナヘッド部を加熱セルに変更した場合は、セル温度を950 °Cに設定する。 一昔前は水素化ヒ素発生装置の操作が面倒であったが、最近はオートサンプラ付きの自動水素化物発生装置が市販されている。試薬の濃度や組合せを変更すれば鉛、セレン、アンチモン等の分析にも対応できるなど、とても簡便になっている。
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分析法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 03:21 UTC 版)
水銀は常温で容易に気化するため、分析法は還元気化原子吸光法が主である。測定機器としては原子吸光分析装置のバーナヘッド部を石英セルに置き換えるほか、水銀測定専用の装置が市販されている。有機水銀の場合は試料を分解せず溶媒抽出後、ガスクロマトグラフィーで分離して電子捕獲検出器や質量分析装置で検出する場合もある。 総水銀の分析手順は概ね次のようなものである。詳細は成書を参照されたい。 試料を強酸で分解する。硝酸-過塩素酸、硝酸-過塩素酸-硫酸、硝酸-硫酸の系がよく用いられる。 さらにペルオキソ二硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム等で有機水銀と残余の有機物を完全に酸化分解する。 分解液を還元気化装置の容器に採り、還元剤を加え通気する。 水銀イオンが水銀原子に還元され、気相中にパージされてくる。 水銀原子の波長253.7 nmにおける吸光度を測定する。
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