アントニー・ブレンターノとその他人物とは? わかりやすく解説

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アントニー・ブレンターノとその他人物(1955年-2011年)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 17:15 UTC 版)

不滅の恋人」の記事における「アントニー・ブレンターノとその他人物(1955年-2011年)」の解説

1955年フランス学者であるジャンとブリジット・マッサンはアントニー・ブレンターノ当時プラハカルロヴィ・ヴァリ居た指摘し、彼女が「不滅の恋人」の候補なり得るではないかとの説を唱えた。「(『不滅の恋人』が)アントニー・ブレンターノであったという仮説魅力的であり、同時に滑稽でもある。」彼らは次のように続ける。仮説魅力的といえる理由ベートーヴェンブレンターノは彼女がウィーン帰って以来親しい仲」であったこと 1812年夏季ベートーヴェンブレンターノと同じフランツェンスバードのホテル過ごしたこと 同年ブレンターノの娘のマクセに1楽章ピアノ三重奏曲WoO 39)が捧げられていること 仮説滑稽である理由ベートーヴェンアントニーの夫であるフランツ友情続いていたこと ベートーヴェンが彼から借金をしたこと 「彼がアントニー書いた多くの手紙が示すのは、2人の間に純粋で深くありながらも - 互いに抑制し合うことによって - 儀礼的な友情があったに過ぎないということ、そしてベートーヴェンが常にフランツアントニーと彼らの子どもを分かちがたい共同体であると認識してたらしいことである。」 その4年後に日本人作家アントニーを「発見した」と主張している(Aoki(青木やよひ) 1959年1968年)。しかし、これは日本国外では注目されず、彼女はドイツ語刊行した近著で再び自身発見発表したAoki 2008)。 メイナード・ソロモン再度より詳細アントニー・ブレンターノが「不滅の恋人であったとする説を提唱した1972年1998年)。彼の説は大きく2つ仮説もしくは必要条件の上成り立つ。 この人物が(ベートーヴェン同じく問題時期プラハカルロヴィ・ヴァリ居たはずだということ この出来事直前に、彼女がベートーヴェンをよく知って少なくとも親しい仲で)いなければならないということ1. アントニーは夫、子ども、使用人らとの困難な旅路の末、1812年7月3日プラハ到着記帳行い翌朝出発している。「その夜のどこに彼女がベートーヴェン逢引きしている時間があったのだろうか。」ソロモン次のように認めている。「ベートーヴェンアントニープラハ会ったという証拠はない。」またカルロヴィ・ヴァリについては「手紙生まれたのは(中略ベートーヴェンに対して自分カルロヴィ・ヴァリに発つので伝えた意志実行移せない、と伝えた女性会ったからだという可能性がある。」ハリー・ゴルトシュミットは「短期滞在場合居住者は(外来者と異なり報告義務例外であった」ことを示している。 補2. アントニー宛てたもしくは彼女が書いた恋文、及びその他ベートーヴェンとの恋愛関係可能性補強する資料はない。唯一アントニー義理の兄弟であるクレメンス送った手紙の中で、ベートーヴェンを「敬愛」していると表明しているに過ぎない。「いつの時点でこの崇敬の念が愛情変化したのかはいまだ知られていない。私の見込みでは(中略1811年の秋である。(中略情事同年暮れまで続いた。」ソロモンは自らの主張裏付ける証拠として歌曲恋人寄す』(WoO 140)を引用する1998年 p.229)。この作品自筆譜にはアントニー手書きで「1812年3月2日作者より賜ると書き込んでいる。この背景には次の記述もある。「1811年11月ベートーヴェンバイエルン宮廷歌手のレジーナ・ラングのアルバム入れるため、『恋人寄す』と題した新作歌曲作曲していることがわかる。(中略手帳書きつけたようないかにも素人の詩。不器用な著者による(中略素人丸出し三文作家ヨーゼフ・ルートヴィヒ・シュトールによる。ソロモン1972年 p.572)はベートーヴェンその2年前に「唯一の恋人」であるヨゼフィーネ再婚により彼女との別離至っていたからといってアントニーが「不滅の恋人」である可能性排除できない主張する。「5年後瞬間的に恋愛関係再燃しなかった確証はない。(中略)まだ合理的な疑い余地残っている。」ソロモン仮説に対して多く研究者反論行っている。ゴルトシュミット次のように要約する。「アントニー仮説中略)はその他すべてを除外できるほど完全な説得力を持つものではない。」また「事実関係内在的矛盾をはらむアントニー仮説決着をつけるのであれば提示された他の仮説論破する必要がある。」 アルトマンによって「テレンバッハが行ったのと同様に示されたのは、アントニー支持者主張の根拠多く歪曲推測意見、さらに単純な誤謬含まれるということである。」しかしながらアルトマン提示する不滅の恋人」がマリー・フォン・エルデーディであるという可能性クーパー1996年)により「あり得ない」と示されている。 ルンド1988年)はアントニー息子カールが、ベートーヴェン会ったとされる時期からちょうど8か月目に生まれていることから、彼はベートーヴェン息子であろう唱えた。これにはソロモンさえも「『扇情主義』である」と考えて与しなかった。 ベアーズ1993年 p.183 f.)はヨゼフィーネ支持する。「実のところ彼に中略)内なる者の心理的抑制によってでなく、悲痛な外的要因阻まれ結婚することが叶わなかった、ある特定の愛する人物に向けられた深い永久情熱存在しただろうか。(中略)マリー・エルデーディ、ドロテア・フォン・エルトマン、テレーゼ・マルファッティアントニー・ブレンターノといった愛された者たちへの本当の愛を示すものでさえ、一体どこにあるというのだろうか。これら全員ベートーヴェン知られざる不滅の恋人として挙げられているが、その評価記録既知書簡裏付けられたのもではない。誰もがベートーヴェン親し友人であった、それは正しい、だが愛となるとどうか。しかしながら1人わずかに1人だけ現実ベートーヴェン心の内より熱烈な永遠の愛宣言打ち明けた人物がおり、その言葉づかい不滅の恋人対す苦悶の手紙と極めて類似している(中略その人物が彼の愛する、ただ1人のJ』 - ヨゼフィーネのである。」 プルカート(2000年)が唱えたベートーヴェン知りもしなかったアルメリー・エステルハージの説には、リータ・シュテープリン(2001年)が反論行っている。メレディス2000年 p.47)による総括には次のようにある。「アルメリーとベートーヴェンを繋ぐ証拠がない(中略繰り返さねばならないのは、アントニーベートーヴェンの間に情熱的な恋愛関係があったという証拠もなく、ただの親密友人関係が示されるに過ぎないということである。ヨゼフィーネについては(中略少なくとも1805年から1807年の間は実際に彼が熱烈に恋焦がれていたということわかっている。」 クラウス・マルティン・コピッツ(2001年)はこう述べる。「価値ある努力結果中略アントニーが『不滅の恋人』ではあり得ないことが明らかにされた。彼女は幸福な妻であり母であった中略)彼女を候補加えるにはカルロヴィ・ヴァリでの三人婚という蓋然性の低い筋書き盛り込むことになり、心理学的に意味をなさない。」 ヴァルデン(2011年 p.5)は、彼女に宛てられベートーヴェンの手とされる2通の偽書うちひとつが真筆であるとの仮定に基づき、ベッティーナ・ブレンターノが『不滅の恋人』であるとの説を展開する。「そのベッティーナ宛の手紙が本物であるならば、ベッティーナが『不滅の恋人』であるとの決定的な証明果たされることになろうが原本現存せず、今日ではその信頼性に強い疑問呈されている。(中略)彼女の信頼性真実性には、今日暗雲垂れ込めている。」メレディス2011年 p.xxii)は自著はしがきにおいて、主要な候補に関する議論再度吟味した上で「ヴァルデンの提案公平に考慮する値する」と考えた現在に至るまで議論歴史振り返ったメレディス2011年)は、フランスマッサンドイツゴルトシュミットらの著作物これまで英語に翻訳されておらず、米国拠点とするベートーヴェン学者がこの研究分野で最も価値ある資料手にすることができない現状嘆いている。「不運なことに、『不滅の恋人に関して最も重要で議論余地を残す研究には英語翻訳されたことがないものが複数あり、研究与えうる影響著しく制約受けている。」(p.xv)「テレンバッハも(中略不幸なことに英訳として世に出たことはない。」(p.xvii)

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