アザミの花言葉
アザミの花言葉の由来
(1)スコットランドの国花にちなんだ花言葉13世紀の中盤、ノルウェー軍の侵攻を受けたスコットランド軍はアレキサンドロス城を砦として籠城。その間に守勢に回っていた自軍を何とか立て直そうとしていた。戦況はしばらく膠着状態に入る。一気に勝ちに持ち込みたいノルウェー軍は夜襲を計画し、兵の一人を城に忍び込ませる。兵士はスコットランド軍に気づかれないように明りを掲げず裸足で城内に入り込んだが、足元には多数のアザミが群生しており、知らぬ間に素足で踏みつけてしまった。アザミの棘は鋭く、その痛みに耐えきれなかった兵士は思わず叫び声をあげてしまう。その声は城内に響き渡り、敵の夜襲に気づいたスコットランド軍は総力を挙げて反撃に転じてノルウェー軍を撃破、敵を国外に追い出して独立を死守することができた。この出来事をきっかけにアザミはスコットランドの国花となり、「独立」という花言葉もこのエピソードから生まれたとされる。
(2)北欧の伝説にちなんだ花言葉
北欧神話の中に登場する最強の軍神としてゲルマン人が厚く信仰していた雷神トールは、アザミを保護していると言い伝えられていたため、この花を身に着けていると、トールの加護を受けることができて「雷に打たれることはない」と信じられた。このためアザミは雷草とも呼ばれ、花言葉の一つ「安心」はこの言い伝えがもとになって定められたとされる。アザミはまた、魔除けの効力があるとされ、西洋では古くから憂うつな感情をいやす民間薬としてもその効果が信じられていた。「治癒」というアザミの花言葉が生まれたのもこのような言い伝えによるものだといわれる。
(3)種類別につけられた花言葉
#朝鮮アザミ
花や葉が大型でギザギザの棘のように見えるその形状から、人が近寄りがたい印象を与えるため「警告」「触れないで」という花言葉を持つ。
#キツネアザミ
狩人に追い詰められたキツネが目の前にあったアザミに化けたとき、慌てていたため棘を付け忘れたという逸話を持つキツネアザミ。アザミといいながら植物学上、厳密にはアザミとは言えないことから、見る者をだます花として「嘘はきらい」という花言葉を冠された。
#ルリタマアザミ
ギザギザの葉の上に、瑠璃色の玉の形を連想させるような花を咲かせることからこの名がついたルリタマアザミは、針のようにとがった苞が密集して痛そうなイメージから「傷つく心」という花言葉が付いた。
#ノアザミ
日本で一般的にみられるノアザミは、のこぎりの歯のようなギザギザした形状や棘の多さから「触れないで」の花言葉を持つ。また、おしべとめしべの突き出した周りにチクチクと刺す棘がある形状から、お互い好意を抱きながら近寄れない様子を連想して「素直になれない恋」という花言葉も生まれた。
アザミの英語の花言葉
アザミの英語の花言葉は「independence(独立)」「nobility of character(人格の高潔さ)」「austerity(厳格)」「misanthropy(人間嫌い)」。アザミの色別の花言葉の解説
#白色「自立心」アザミは全体が棘に覆われ、人も動物も寄せ付けないという厳格な雰囲気を強くかもし出している。凛としたその姿が、何物にも染まらないという清楚な白色のイメージと重なって「自立心」という花言葉に結び付いた。
#黄色「別れ」
黄色のアザミは希少な品種で目に触れることが少ないうえ、その色自体は鮮やかな黄色ではなく少し色あせた色合いであるために、何かしら寂しさを感じさせる印象を与えることから「別れ」の花言葉が付けられた。
#紫色 「厳格」「気品」
古来、宮中の貴人の衣服などに用いられることで高貴な色として定着している紫色は、その色合いゆえにアザミの花言葉も「厳格」「気品」が冠せられた。
#青色 「安心」「満足」
青色自体に気持ちを落ち着かせる鎮静効果があることに加え、全身にまとった棘が外敵を寄せ付けないという力強さの象徴となり、この二つのイメージが重なって、「安心」「満足」といった花言葉が導き出された。
#赤色「権威」「独立」
他を圧するような鮮やかな色合いでいながら、鋭い棘で周囲を寄せ付けないという凛とした姿から、赤色のアザミには「権威」「独立」という花言葉が付けられた。
アザミの本数別の花言葉の解説
アザミの花言葉には、本数による意味づけはない。アザミの怖い花言葉
アザミの花言葉には、「報復」という怖い花言葉もあり、ギリシャ神話や聖書、民間伝承の中に由来となったエピソードを探ることができる。(1)ギリシャ神話
シチリア島にダプニスという美少年の牛飼いが住んでいた。彼は牧場の神パーンから音楽を学び、最初の牧歌を作った人物でもあった。持って生まれたその美貌ゆえに、生きとし生けるものはすべて、神であろうと妖精であろうと、はては動物や植物でさえもダプニスを愛したが、彼自身は愛という感情を理解せず、誰一人として好きになることができなかった。愛と美の女神アフロディーテは、ダプニスのその感情の欠如を不憫に思い、妖精のエケナイスを彼のもとに送って愛の感情を芽生えさせようとした。二人は当初、気持ちを通わせることができるのではと思われたものの、結局愛の感情はわき上がることがなく、ダプニスはエケナイスを捨ててしまう。これを見たアフロディーテはダプニスに激怒し、エケナイスへの仕打ちの報復として、とうとう彼の目を見えなくしてしまう。光を失って絶望したダプニスは生きる意欲をすっかり喪失してしまい、ついには河に身を投げて死んでしまった。すべてのものが彼の死を嘆き、特に彼の牧歌を愛していた大地は大いに悲しんで、彼が身を投げた場所にアザミを咲かせて追悼した。
(2)聖書と聖母マリア
旧約聖書の「創世記」第三章には、「お前のゆえに、土は呪われるものとなった。お前は生涯食べ物を得ようと苦しむ。お前に対して、土は茨と薊を生えいでさせる。野の草を食べようとするお前に」と、神が戒めを破ったアダムに呪いをかけて報復する場面がある。こうしてアザミ(薊)は地上の苦しみや罪の象徴として扱われるようにもなった。また、キリスト教では、聖母マリアがキリストをはりつけにした十字架の釘を地面に埋めたところ、そこからアザミが生えてきたという言い伝えが残っている。
(3)ドイツの民間伝承
ドイツの民話の中には、「報復」というアザミの花言葉を想起させる伝承がある。ある日、一人の農夫がメックレンブルクの路上を歩いてくる金持ちそうな商人の姿を見つけた。農夫は金欲しさからこの商人を殺して金品を強奪することを思いつき、ついには実行に移してしまう。農夫に襲われた商人は農夫に向かって「アザミがお前の悪事を暴く、お前に報復するだろう」という言葉を最後に残して息絶えてしまった。
その言葉を聞いてからというもの、農夫は人が変わってしまったように陰うつな性格になり、アザミを見るときは常に不審な気持ちに襲われるようになった。農夫は、商人が最後に残した言葉に囚われてしまい、殺人を犯したことが明るみに出ることを恐れたり、奪った金品を誰かに盗まれるのではないかと気に病んだりして、ついには「俺は絶対に白状しない、アザミも何も言うはずがない」と我知らずつぶやくようになってしまった。このつぶやきを聞いた者がこれを怪しみ、農夫を追及したので、ついに農夫は商人を殺したことや、金品を奪ったこと等をすべて白状してしまった。そしてその後に農夫は処刑。商人が殺された場所にはアザミが生えた。そしてそのつぼみは人の頭に、枝は人の手に似た状態で、アザミは花を咲かせたといわれている。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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