はっぴいえんど 概要

はっぴいえんど

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/09 05:29 UTC 版)

概要

バンドの作詞担当だった松本隆が、ダブルミーニング等の技法を駆使した歌詞をつくり、大瀧詠一細野晴臣が曲にのせる事で日本語ロックを構築した。第2回全日本フォークジャンボリー第3回全日本フォークジャンボリーにも出演した。

松本は後年、ジャックスの楽曲「からっぽの世界」の歌詞に影響を受けたことを公言し「この曲がなければ『はっぴいえんど』はなかったかもしれない」という趣旨の発言をしている[2]

細野は、メンバーは宮沢賢治に影響を受けており、その世界観がバンドの音楽性にも影響を与えていると述べている[3]

サウンド面においては、アメリカバッファロー・スプリングフィールドなどの影響を受けていた[4]。もっとも1960年代末から1970年代初頭には、日本でもすでにハードロックプログレッシブ・ロックが注目されていたが、1970年の洋楽専門雑誌では特集で彼らが回顧されていた。しかし、ブリティッシュロックが人気だった当時の日本でフォークソングやフォークロックの音楽性を標榜したのは、「日本のロック」を作るためにはアメリカのロックをやらなければならないという考えがあったためで、また細野がアメリカ音楽の影響を強く受けていたこともある。当初、大瀧詠一と細野晴臣は音楽性を重視していたため、ロックに日本語の歌詞を付けるという松本の提案に反対した。

はっぴいえんどが取った方向性やその音楽性は、後に続く日本のロックバンドに大きな影響を与え、乱魔堂センチメンタル・シティ・ロマンス等の後継者を生んだ。また松本が長らく作詞を担当した松田聖子の曲は大瀧・細野・鈴木が作曲した曲が数多くあり、はっぴいえんどの方向性や音楽性は松田にも受け継がれている。

遠藤賢司岡林信康加川良高田渡小坂忠らのバックバンドとしても、コンサートやスタジオ録音等を行っている。

バンド末期の1972年には、短期間ながらベーシストとして野地義行(元ブルース・クリエイション)が参加していた[5][6]

代表曲の「風をあつめて」は、2003年のアメリカ映画『ロスト・イン・トランスレーション』と2009年の日本映画『おと・な・り』の他、漫画『うみべの女の子』でそれぞれ取り上げられた。

2013年12月30日、メンバーだった大瀧詠一が自宅で夕食後、リンゴを食べている最中に倒れ、解離性動脈瘤により死去。葬儀には細野、鈴木、松本が参列し、出棺時には3人が棺を担いだ。

2021年11月5日・6日、松本隆 作詞活動50周年記念オフィシャル・プロジェクト『風街オデッセイ2021』と冠したコンサートが日本武道館にて開催され、細野、松本、鈴木の三人が36年ぶりに“はっぴいえんど”として出演[7]。「花いちもんめ」「12月の雨の日」「風をあつめて」の3曲を演奏した。


注釈

  1. ^ V.A.『1973.9.21 SHOW BOAT 素晴しき船出』 1974年1月15日 (1974-01-15)発売 SHOW BOAT ⁄ TRIO LP:3A-1014
  2. ^ ファースト・アルバム『センチメンタル・シティ・ロマンス』(1975年)では細野がチーフ・オーディエンスとしてクレジットされている。

出典

  1. ^ a b c Jackson, Leon. Happy End | Biography & History - オールミュージック. 2020年12月12日閲覧。
  2. ^ 『TJ MOOK 聴け! 伝説の日本ロック1969-79』宝島社、2004年、32頁。ISBN 4-7966-3862-8 
  3. ^ 劇場版アニメ『銀河鉄道の夜LD解説書の細野の発言から。
  4. ^ 北中正和 (2017年3月5日). “はっぴいえんどの名曲「風をあつめて」はスタジオの廊下で生まれた”. WHAT's IN? tokyo. ソニー・ミュージックエンタテインメント. 2020年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月12日閲覧。
  5. ^ はっぴいえんど”. sound.jp. 2024年7月8日閲覧。
  6. ^ haruomi hosono 1972”. www7.plala.or.jp. 2024年7月8日閲覧。
  7. ^ はっぴいえんど、松本隆50周年公演で復活 日本語ロックへ開いた道”. 朝日新聞デジタル (2021年11月8日). 2021年11月9日閲覧。
  8. ^ 松本隆トリビュートに細野晴臣、YUKI、マサムネ、小山田壮平ら参加”. ナタリー. 株式会社ナターシャ (2015年5月4日). 2020年5月5日閲覧。
  9. ^ 松本隆の作詞曲を豪華ゲスト&風街ばんどが実演!フォーラムで2日公演”. ナタリー. 株式会社ナターシャ (2015年5月14日). 2020年5月5日閲覧。
  10. ^ はっぴいえんどと豪華ゲストが歌い紡ぐ、松本隆の50周年記念コンサートを日本武道館で2DAYS開催”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2021年9月2日). 2021年9月4日閲覧。
  11. ^ SKYE(鈴木茂、小原礼、林立夫、松任谷正隆)|デビューアルバム『SKYE』CDが10月27日、アナログ盤が11月10日発売”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2023年10月28日閲覧。
  12. ^ (書きかけの…:24)純粋な気持ち、昔なじみと曲に 松本隆”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞 (2023年10月28日). 2023年10月28日閲覧。
  13. ^ 野上眞宏/野上眞宏 写真集 『ゆでめん』” (日本語). TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード株式会社. 2021年8月12日閲覧。






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