7代目 S15型(1999年 - 2002年)
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「日産・シルビア」の記事における「7代目 S15型(1999年 - 2002年)」の解説
1999年1月発売。S14型で拡大され不評だったボディサイズをダウンサイジングし、再び5ナンバー枠に戻している。また、グレードの変更が行われ、S13型からS14型までの「J's」「Q's」「K's」から、NAモデルの「spec.S」とターボモデルの「spec.R」となった。S15型登場に合わせて180SXは生産・販売が終了している。 S15型では左ハンドル仕様が開発されなかったため、輸出はオーストラリアとニュージーランド向けの少数に留まっている。 SR系エンジンはさらに改良され、スペックSのSR20DE型ではMT車が165PS、AT車が160PSであるのに対し、スペックRのSR20DET型ではMT車が250PS、AT車が225PSとなっている。 スタイルの特徴はサイド面のプレスラインがリアフェンダー、リアトランクにかけて徐々に絞り込まれる「深絞りプレス成型」を採用したリアフェンダーである。ヘッドライトはボンネットに回り込んだ「吊り目」デザイン、テールランプもトランクに回り込んだ大型のものが採用された。 ホイールのPCDは、ターボ車・NA車ともに114.3mm×5Hに統一された。 内装面では、メーカー純正としては珍しい運転席側Aピラー部分に設置されたブースト計(spec.R系)・油圧計(spec.Sエアロのみ)や、運転席中央部にポップアップ式5.8インチ液晶モニターをオプションで採用する。また、エアロ系グレードには「インテリアパッケージ」と言うオプションが選択可能で、フロントシートとドアトリムが専用のオレンジ色のスエード調布地となる(リアシートは他グレードと同じ)。 また、ターボモデルであるスペックRにはアイシンAI(現:アイシン)が製造した6速MTが装備され、更にターボチャージャーにはS14型から引き続きボールベアリングタービンが採用され、レスポンスアップを図りつつ、低速回転からもストレスなく回る仕上がりになっている(ただし、生産終了間際のモデルにおいてはボールベアリングではなくフローティングメタルが採用されている)。アイシンAI(現:アイシン)製6速トランスミッションはシフトフィールに優れず、元来マツダ・ロードスター用に開発されたものをベースとしていたため容量的な余裕がなく、エンジンパワーを上げるとトラブルが多発した。 1999年10月、グレード追加によりスペックR/Sに「bパッケージ」が登場。豪華さとファッション性に重きを置いたグレードで、内装はフロントシート/ドアトリムが専用のブルーのスエード調クロス地になる(リアシートは他グレードと同じ)、ステアリングのステッチが他グレードと異なり専用のブルー糸になる、本革巻シフトノブ採用(スペックS・bパッケージMT車のみ、スペックR系はもとより標準のため)、キーレスエントリーの標準化(通常グレードにオプションで付けた場合と異なりアンサーバックがハザードで行われる)、スペックS・bパッケージ専用装備としてスペックR系車両と同一のチタン調のメーターパネルが付く。外装ではフォグランプが標準化され、スペックR・bパッケージ専用装備としてクローム調の専用アルミホイールが装備される。また、bパッケージ専用外装色として「ライトブルーイッシュシルバー」が追加される(2000年一部改良時にエアロ系グレードを除きライトブルーイッシュシルバーが選択可能となる)。 同時にオーテックジャパンが開発を手がけた「オーテックバージョン」を追加。スペックSをベースとして各部にファインチューニングを行い、自然吸気エンジンのNVCS付きSR20DE型専用エンジンは、圧縮比アップによる燃焼効率の向上や背圧低減による高回転域の排気効率向上、狙いのトルク特性を引き出すためバルブタイミング、リフト量のチューニング等、内部を見直す一方、藤壺技研工業製の専用エキゾーストマニホールドを採用し、最高出力200PS/7,200rpm、最大トルク21.8kgf·m/4,800rpmを発生した。ボディ補強、前後ブレーキ、6速MT、リヤヘリカルLSDなどはスペックRと共通である。外観上はボディサイドエンブレム程度の相違しかなく、内装も専用シルバーメーター、赤ステッチ入りの専用フロントシート・ドアトリム生地など、控えめなものであった。 2000年5月、国産初のフルオープンタイプ電動メタルルーフのオープンカー(クーペカブリオレ)の「ヴァリエッタ」を発表。ベースとなったのは、1999年の第33回東京モーターショーに出品された、オーテックジャパンと高田工業の共同開発車である。同年7月に発売開始。搭載エンジンはSR20DE型のみで、5速マニュアル車は165PS、4速AT車は160PSであり、エンジン詳細はスペックSに準ずる。内装面では、フロントシートに「モルフォトーンクロスシート」を標準装備。モルフォトーンクロスは帝人と川島織物との共同開発による素材で、モルフォチョウの鱗粉の発色原理を応用する繊維で織った布地が使用されている(素材は帝人と田中貴金属工業による共同開発)。オプション装備としてシートヒーター内蔵の黒色の本革シートも用意されている。なお、モルフォトーンクロスおよびシートヒーター装備の本革シートを採用しているのはフロントシートのみで、リアシートについては黒色の合皮が採用されている。 2000年10月、オーテックジャパンにより内外装に手を加えた「style-A」を追加。搭載エンジンはSR20DET型およびSR20DE型の2種。DET型には6速マニュアル、DE型には5速マニュアル、両方に4速ATと合わせて全4種をラインナップした。前後バンパーに専用デザインのエアロパーツを採用したほか、テールランプにはボディ同色の縁取りが施されている。内装にはベージュの素材をアクセントに採用。単色の本革シートや黒とコンビの本革巻きステアリングを装備し、ダッシュボード下面からセンターコンソールかけてとドアトリムには合皮の素材が使われている。 同2000年には光岡自動車がS15型をベースに、2代目ラ・セードを発表している。 2001年7月末、「ヴァリエッタ」の販売を終了。 2001年9月、レーンキープアシストがオプションで装備可能に。(価格は9万5000円) 2002年1月24日に最終特別限定車「Vパッケージ」を発売開始。専用フロントシート・ドアトリム生地、MD・CD一体型電子チューナーラジオ、プライバシーガラス、キセノンヘッドランプなどを標準装備しつつ、価格を従来車から据え置いた。なお、この追加によりVパッケージのベースとなったスペックS・Gパッケージ、スペックR及びスペックR/S・bパッケージ、スペックR・Type-Bが廃止されグレードが整理される。 2002年8月、折からのクーペ市場の縮小や平成12年排ガス規制の影響を受け、R34スカイラインGT-Rとともに生産終了。在庫対応分のみの販売となる。 2002年11月、在庫対応分が完売し販売終了。これによりシルビアは1975年の復活から27年(初代と2代目の間に挟まれた中断期間を入れて37年)の歴史に幕を閉じた。販売台数は43147台。2007年末までの新車登録台数の累計は3万8523台。販売期間は僅か3年11ヵ月と歴代モデルでは最も短いが、派手なデザインと高い走行性能故に今日でも愛好家が多い。
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