量産機との違いに関して
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:09 UTC 版)
「国鉄EF58形電気機関車」の記事における「量産機との違いに関して」の解説
天皇の乗用列車を牽引するという非常に特殊な事情から、以下のような特別な装備が施されている。 運転上の安全策および製造時の特殊装備 運転室前面の飾り帯を通常車両のニッケルメッキからステンレス製とし、前面飾り帯から結合するステンレス装飾帯を車体側面全長に渡り幅70mmで取付。 連結器・タイヤ側面・ばねつり・ブレーキ引棒などを磨き上げて傷の発見を容易にするとともに装飾とした。 運転室前面裾部に国旗掲揚装置を取付るとともに、国旗掲揚用旗竿交差部分に竿を固定するための専用器具取付用のボルト2本を取付できるように加工。 運転室側面開閉窓下部に引き込み式の列車停止位置基準板を設置(運転室内から出し入れ操作を行う)。 自動連結器に上錠揚止装置(連結器の開錠防止装置)を取付。 製造当時に上市されたばかりの絶縁性の高いネオプレン樹脂被膜の電線を使用。 前後運転室間に連絡用の送話管(伝声管)を設置 。 確実な速度監視のため助士席にも速度計及び運転時刻表挿しを増設。 電動発電機 (MG) 用界磁抵抗器を増設し、故障時の代替として切り替え可能に。 応急処置用の予備品箱と工具箱並びに予備非常時用器具箱を補機室内に用意。 各回路に予備回路増設 お召列車運行時の添乗員用として補助椅子の増設。 乗務する機関士・副機関士・担当区間を管理する鉄道管理局の機関車課長の担当職務及び氏名を記載した名札を掲示するための乗務員札入れ 連絡設備 供奉車(車掌・随行員・警備要員の乗車する車両)との連絡用有線電話接続装備を1エンド側連結器右、2エンド側連結器左に設置 。 また、両機に共通する新製時からの外観の変更点として多数公開されている写真等から、すぐにわかる部分だけをあげても以下の通り。 前窓上部に水切りを取付(形状変更が数回されている) ワイパーの変更工事(KW3D→WP35→旧型WP50→改良型WP50と変更される) 運転室扉横の側面昇降梯子段の切込み改造を実施 ATS関連の保安装備追設及び信号煙管・無線機用アンテナなどの新規取付(61は最終的にはJR東日本型 ATS-P・Psに変更されている) 前照灯を150W単焦点型のLP400形から250W複焦点型LP402形(自動車のようにハイ・ローの切り替えが可能)に交換工事 SG1吸排気ダクトがガーランド型から箱型ダクトに変更 車体前面窓下に作業員用のメッキ製手すりおよびステップの追設工事(国旗掲揚装置の邪魔にならないように切り欠き加工が行われている) 台車端前面部分に誘導員用のステップ及び握り棒の追設工事 列車無線車載機の取付台座(当初の本体は可搬式で運転席前面窓中央部分に設置。なお全列車に列車無線装備が義務付けられたのちは、運転席時刻表挿し部分に本体が常設装備化され、最終的に61号機にはJR東日本が採用したデジタル無線通話装置に変更され、運転席左側に機器が設置されている) 増備車の仕様変更に合わせてその都度追加された。 さらに、両端の運転台前面には国旗掲揚器具を装備し、EF58形の特徴である前面の飾り帯は磨き出しのステンレスとして車体側面全周を取り巻くデザインとしている。さらに区名札及び仕業札入れの横に乗務員札入れを装備した。これはお召し列車牽引専用指定機および過去にお召運行を担当した車両を識別するポイントである 。塗色は、当初は60 61も他車と同じくぶどう色2号であったが、61は1966年3月より新1号御料車編成と釣り合う「暗紅色(ため色)」と呼ばれるお召し機専用色とされた。ステンレス製の握り棒の移設(116が東京機関区へ1957年(昭和32年)3月に日本車両製造が「戦後初の国鉄電気機関車納入記念」として特別に装着されて納入・新製配置されたものを、61のお召装備の一つとするために116の握り棒を通常型と交換した。このステンレス製誘導握り棒は、61のお召列車運行装備品として国鉄時代はお召し列車牽引時だけ装着されていたが、民営化後のお召列車運行後は常設となる。台車枠に取り付けされている部分に当該車両である「EF58 116]の刻印がされている。
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