量産特種船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 15:45 UTC 版)
「神州丸」の成功を受け1938年(昭和13年)10月に陸軍中央は特種船増産を決定。予算の制約により、大量の特種船を「宇品丸」・「神州丸」のような陸軍省保有船(陸軍船)として維持する事は難しいため、陸軍は戦時の徴用を前提として民間海運会社に補助金を出し、建前上とはいえ特種船を民間籍の商船として建造する事とし、平行して各海運会社・造船所とも協議を重ね9隻・80,000tの建造を計画。その計画量産特種船は船型によって大別して以下の通りとなる。 甲型 - 10,000t級貨客船型(のちの戦時標準船M型構造はM甲型と称す) 甲(小)型 - 5,000t級砕氷貨物船型(乙型とも) 丙型 - 10,000t級航空母艦型(甲型・甲(小)型と異なり航空機運用能力を有す、のちの戦時標準船M型構造はM丙型と称す)丙型は平時は第1形態として一般商船型の構造物を甲板上に有し、戦時にはそれを撤去し飛行甲板を装着し第2形態となる。 詳細は「あきつ丸」を参照 「神州丸」に次ぐ2隻目の特種船、また新鋭量産特種船の第1号として選ばれた丙型は、「神州丸」と同じ播磨造船所において1940年(昭和15年)9月17日に起工、「あきつ丸」と命名された。秘匿・偽装のために計画通り商船型第1形態として建造が初められた「あきつ丸」であったが、起工後に国際情勢を考慮して(商船型第1形態を取りやめ)当初より飛行甲板を装着した空母型第2形態とする事に決定、1941年9月24日に進水し、太平洋戦争(大東亜戦争)突入間もない1942年(昭和17年)1月30日に竣工した。 「あきつ丸」に続き、甲型特種船として「摩耶山丸」・「玉津丸」・「吉備津丸」が続々と建造され、最終的に以下の特種船が量産されている。 「神州丸」 甲型:「摩耶山丸」・「玉津丸」・「吉備津丸」M甲型:「摂津丸」、「日向丸(甲型4番船から変更)」 甲小型(乙型):「高津丸」 丙型:「あきつ丸」・「にぎつ丸(航空艤装無の甲型相当に変更)」M丙型:「熊野丸」・「ときつ丸(航空艤装無のM甲型相当に変更、終戦時未成)」
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