デジタル無線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 15:53 UTC 版)
東日本旅客鉄道(JR東日本)では、1986年から各車両に搭載している列車無線装置(主に新Aタイプ無線)が老朽取替の時期を迎え、特に首都圏では大雪や雷雨等の際に、全線区一斉の情報連絡や指令伝達を実施するなど高い利用率となっており指令通話回線の増強が必要で、また、列車支援運行業務の充実を図るため、指令通告、徐行区間情報、車両機器状態監視等の列車・地上間のデータ通信需要も拡大していることから、それらを可能にする無線システムの変更を目的として首都圏の新Aタイプ区間や一部のBタイプを導入している線区の列車無線装置を2007年から2010年にかけてデジタル化した。なお使用周波数帯域はほとんど新A・Bタイプと変わらない。また末端路線など一部路線はデジタル化の対象にはならず、アナログ方式のまま運用されている。デジタル列車無線の導入によって、運転台のモニター上への通告内容の表示、自社線や他社線の運行状況の確認が可能になるほか、東京圏輸送管理システム (ATOS) 導入路線における分単位での列車遅延状況の確認、走行線区の列車在線状況の表示といった、これまで運行乗務員では入手することのできなかった情報が容易に確認できるようになる。導入に当たっては、地上側では送受信アンテナの追加、調整が行われ、車両側では対応無線機への交換(デジタル式と従来のアナログA・B・Cタイプの両対応型)、受信感度向上のためのアンテナ追加、モニタ装置搭載車のソフトウェア更新、モニタ装置非設置車両への簡易モニタ装置設置工事などが進められた。車両側の改造はJR車両のみならず、直通運転のある東京メトロ、東京臨海高速鉄道など他社の車両についても同様に行われたほか、デジタル列車無線の導入を行わない路線の車両でも、臨時運転や検査に伴い他線を走行する事情も考慮して行われた。先行実施として、山手線で2007年8月26日からデジタル無線の運用を開始し、2008年度以降、約2年をかけて残る首都圏の在来線をアナログの周波数ごとに6回に分けてデジタル化した。
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