腸管出血性大腸菌とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 生物 > その他の生物 > 真正細菌 > 腸管出血性大腸菌の意味・解説 

ちょうかんしゅっけつせい‐だいちょうきん〔チヤウクワンシユツケツセイダイチヤウキン〕【腸管出血性大腸菌】

読み方:ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきん

大腸菌のうち、下痢合併症引き起こす病原性大腸菌一種。毒力の強いベロ毒素志賀毒素毒素)を産生し激し下痢腹痛血便などの諸症状引き起こす子供高齢者では溶血性尿毒症などの合併症起こしやすい。細胞壁鞭毛にある抗原種類によって分類されO157O111などがある。食品摂取による感染動物との接触による感染などが確認されているが、十分な加熱消毒による予防が有効とされるベロ毒素産生性大腸菌EHECenterohaemorrhagic Escherichia coli)。


腸管出血性大腸菌


腸管出血性大腸菌

動物消化管生息する大腸菌のうち、毒素産生し出血を伴う腸炎溶血性尿毒症症候群起こす病原性大腸菌(人に下痢などの消化器症状合併症起こす)のことです。
特徴動物腸管内に生息し糞尿を介して食品飲料水汚染する家畜では症状出さないことが多く、外から見ただけでは、保有する家畜かどうか判別は困難。 赤痢菌生産する志賀毒素類似のベロ毒素生産し激し腹痛水溶性下痢血便特徴とする食中毒起こす少量でも発病することがある加熱消毒理には弱い。原因なっているものは、血清型 O157 がほとんどであるが、この他に O26、O111、 O128 及び O145 などがある。
食中毒症状感染後 1~10 日間の潜伏期間初期感冒症状のあと、激し腹痛大量の新鮮血を伴う血便みられる発熱少ない。患者数多くないが、乳幼児高齢者中心に溶血性尿毒症症候群併発し意識障害に至るなど重症になりやすい。
過去食中毒原因食品日本井戸水焼肉、牛レバーなど欧米ハンバーガーローストビーフアップルジュースなど
対策食肉中心部までよく加熱する75 、1 分以上)。野菜類流水でよく洗う。 と畜場衛生管理食肉店での二次汚染対策十分に行う。低温保存徹底

腸管出血性大腸菌 [Enterohemorrhagic Esherichia coli]

 大腸菌動物腸内生息する代表的な細菌1種類で、通状は病気の原因とならない。しかし、時に激し病原引き起こす大腸菌数十種類存在することが解って来た。それらの大腸菌は、その病原特徴から毒素原性大腸菌細胞侵入性大腸菌病原大腸菌、腸管出血性大腸菌と専門的に呼ばれる大阪堺市大流行した食中毒は、腸管出血性大腸菌の中のO157(O157:H7)と呼ばれる原因であった。この元来牛の腸内常在し、牛の糞便から検出される無毒大腸菌との区別難しいので、O157(O157:H7)の特定容易でない
O157:H7とは、ベロ毒素産生性腸管出血性大腸菌、最近では志賀毒素産生性腸管出血性大腸菌と呼ばれる細菌である。ヒト糞便のほぼ3分の2細菌で1グラムに約1012個(1兆個/グラム)の細菌含まれている。大部分99.9%)の細菌は、酸素があると増殖できない偏性嫌気性菌で、残り0.1%(109個:10億個/グラム)は酸素があっても無くて増殖できる通性嫌気性菌で、その多く大腸菌占めている。
 大腸菌通性嫌気性グラム陰性桿菌での腸内細菌科細菌一つ赤痢菌サルモネラ菌近縁細菌である。
大腸菌分類血清学分類という、細菌構成している種々の物質成分構造違い決めているが、O157:H7菌体抗原O抗原)と細菌運動性の器官である鞭毛べんもう抗原H抗原)が、O抗原対す157番目の抗血清H抗原対す7番目の抗血清凝集するという意味である。この細菌一躍全国的に有名になったのは、1996年大阪府堺市汚染したカイワレ大根使った学校給食多数患者発生し全国でも1万人以上の人発症して12人が亡くった食中毒である。本新たに指定伝染病食中毒)として指定された腸管出血性大腸菌症(食中毒)の原因菌で、その特徴赤痢菌同一外毒素志賀毒素、又はベロ毒素)を産生しベロ毒素産生性腸管出血性大腸菌と呼ばれるが、外国では一般に志賀毒素産生性大腸菌呼ばれる少量100個以下)の食物と共に経口摂取すると、比較潜伏期長い腸管内で増殖して志賀毒素産生して出血性下痢起こす時にはその毒素血液入って全身回り腎炎脳炎などを引き起こし死亡する事もある。

腸管出血性大腸菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 17:01 UTC 版)

腸管出血性大腸菌(ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきん、enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)とは、ベロ毒素 (Verotoxin; VT)、または志賀毒素 (Shigatoxin; Stx) と呼ばれている毒素を産生することで病原性を持った大腸菌である[1]病原性大腸菌」の一種である。このため、VTEC (ベロ毒素産生性大腸菌、Verotoxin producing E. coli) やSTEC (志賀毒素産生性大腸菌、Shiga toxin-producing E. coli) とも呼ばれる。この菌の代表的な血清型別には、O157が存在する。


  1. ^ a b c 国立感染症研究所 (2002), IDWR感染症発生動向調査週報 2002年第6号感染症の話, https://web.archive.org/web/20161009002450/http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_06/k02_06.html 2010年2月9日閲覧。 
  2. ^ a b 岡田淳ほか (1994), 微生物学・臨床微生物学, 臨床検査技師講座, 22 (3rd ed.), 医歯薬出版, ISBN 4-263-22622-4 
  3. ^ ベロ毒素の新たな知見 化学療法の領域 25(5) 39-48. 2009
  4. ^ 厚生労働省検疫所 (n.d.), 3類感染症・腸管出血性大腸菌, http://www.forth.go.jp/mhlw/animal/page_i/i03.html 2010年2月9日閲覧。 
  5. ^ 大阪大学 (n.d.), ヴェロ毒素産生性大腸菌(VTEC), オリジナルの2009年4月15日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20090415070140/http://www.med.osaka-u.ac.jp/doc/o157/contents/vtec.html 2010年2月9日閲覧。 を基に一部追加
  6. ^ 山篠貴史、太田美智男、ベロ毒素生産性大腸菌 O157 の有機酸耐性 化学と生物 2003年 41巻 9号 p.619-627, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.41.619
  7. ^ 知って得する病気の知識 O157 日本医師会
  8. ^ なお、激しい腹痛と血便のあった場合は、その数日後に上記の合併症を起こすことがあるので、特に注意が必要である。
  9. ^ a b ">厚生労働省 (1997), 一次、二次医療機関のための腸管出血性大腸菌(O157等)感染症治療の手引き(改訂版), https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/0908/h0821-1.html 2010年2月9日閲覧。 
  10. ^ 腸管出血性大腸菌(EHEC)検査・診断マニュアル 平成24年6月
  11. ^ 一次、二次医療機関のための O-157 感染症治療のマニュアル 厚生労働省食中毒関連情報


「腸管出血性大腸菌」の続きの解説一覧



腸管出血性大腸菌と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「腸管出血性大腸菌」の関連用語

腸管出血性大腸菌のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



腸管出血性大腸菌のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2024 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
JabionJabion
Copyright (C) 2024 NII,NIG,TUS. All Rights Reserved.
食品安全委員会食品安全委員会
Copyright © 2006 - 2024 Food Safety Commission. All Right Reserved.
微生物管理機構微生物管理機構
Microbes Control Organization Ver 1.0 (C)1999-2024 Fumiaki Taguchi
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの腸管出血性大腸菌 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS