志賀毒素 [Shiga toxin]
ベロ毒素
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ベロ毒素(ベロどくそ、verotoxin)とは、一部の腸管出血性大腸菌(EHEC, enterohaemorrhagic Escherichia coli)が産生し、菌体外に分泌する毒素タンパク質(外毒素)で、VT (= Vero cell Toxin) の省略形。一部の赤痢菌(志賀赤痢菌、Shigella dysenteria 1)が産生する志賀毒素(しがどくそ、シガトキシン)と同一のものであり、志賀様毒素(しがようどくそ、shiga-like toxin)とも呼ばれる。真核細胞のリボソームに作用して、タンパク質合成を阻害する働きを持つ。影響を強く受ける臓器は大腸、脳、腎臓で、出血性の下痢、急性脳症、溶血性尿毒症症候群(HUS)などのさまざまな病態の直接の原因となる病原因子である。なお、シガテラ食中毒の原因物質のひとつであるシガトキシン (ciguatoxin) とは別の物質である。
- ^ a b Konowalchuk J; Speirs J; Stavric S (1977). “Vero response to a cytotoxin of Escherichia coli”. Infect. Immun. 18 (3): 775–9. PMC 421302. PMID 338490 .
- ^ a b c 清水健、「腸管出血性大腸菌が産生する志賀毒素の発現様式と菌体外への放出機構 -志賀毒素転換ファージの構造と機能からの考察-」『日本細菌学雑誌』 2010年 65巻 2号 p.297-308, doi:10.3412/jsb.65.297, 日本細菌学会
- ^ a b 牧野耕三、品川日出夫、「遺伝子の再編成と水平伝播による細菌の病原性獲得『化学と生物』 2000年 38巻 2号 p.83-92, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.38.83, 日本農芸化学会
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- ^ 藤井潤、「【細菌タンパク毒素の新たな理解へ向けて】 ベロ毒素に関する新たな知見」化学療法の領域. 25, (5), pp.755-764, 2009-04. (株)医薬ジャーナル社, ISBN 978-4-7532-8029-2
- 1 ベロ毒素とは
- 2 ベロ毒素の概要
- 3 ヒトに対する毒性
志賀毒素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/19 16:08 UTC 版)
詳細は「志賀毒素」を参照 志賀毒素はStxとしても知られ、桿菌である志賀赤痢菌Shigella dysenteriaeと大腸菌Escherichia coli(STEC)によって産生される毒素である。これらの細菌に汚染された食品や飲料水は感染源となり、この毒素の拡散源となる。症状としては腹痛と水様便、場合によっては血便がみられる。生命を脅かす重症例は出血性大腸炎を特徴とする。この毒素は1898年に志賀潔によって発見された。
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志賀毒素
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詳細は「ベロ毒素」を参照 志賀毒素(シガトキシン)は、A亜群に属する赤痢菌の一部(S. dysenteriae 1)が産生し、菌体外に分泌する毒素タンパク質(外毒素)であり、腸管出血性大腸菌が作る二種類のベロ毒素のうちの、ベロ毒素1と同じものである(ベロ毒素2とも類似性が高い)。赤痢菌の志賀毒素はプラスミド上の遺伝子にコードされていることから、ベロ毒素と志賀毒素は腸管出血性大腸菌と赤痢菌との間でプラスミドを介して伝達された可能性が高いと考えられている。 志賀毒素は、毒素としての活性を持つAサブユニット(Activeサブユニット)1個と、細胞との結合活性を持つBサブユニット(Bindingサブユニット)5個から構成される、A1B5型と呼ばれる毒素タンパク質である。赤痢菌から分泌された志賀毒素は、5つのBサブユニットによって、宿主細胞の細胞膜にあるガングリオシドの一つであるGb3に結合し、エンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれた後、Aサブユニットだけが細胞質に入り込む。Aサブユニットは、真核細胞のリボソームに含まれる28SリボソームRNAのうち、4324番目のアデノシンに作用して、その糖鎖を切断しアデニンを切り出す活性(N-グリコシダーゼ活性)を持つ。28SリボソームRNAのこの領域はリボソームにとって重要な領域であり、この1塩基の変化で、新しいアミノアシルtRNAがリボソームに結合できなくなる。このため、タンパク質の伸長ができなくなってタンパク質合成が阻害され、最終的に細胞傷害が起こる。 志賀毒素を産生する赤痢菌では、通常の赤痢の症状(出血性下痢)以外に、小児では腸管出血性大腸菌でも見られる、溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすことが知られている。
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