志賀毒素とは? わかりやすく解説

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ベロ毒素

(志賀毒素 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/12 07:32 UTC 版)

ベロ毒素(ベロどくそ、verotoxin)とは、一部の腸管出血性大腸菌EHEC, enterohaemorrhagic Escherichia coli)が産生し、菌体外に分泌する毒素タンパク質外毒素)で、VT (= Vero cell Toxin) の省略形。一部の赤痢菌(志賀赤痢菌、Shigella dysenteria 1)が産生する志賀毒素(しがどくそ、シガトキシン)と同一のものであり、志賀様毒素(しがようどくそ、shiga-like toxin)とも呼ばれる。真核細胞リボソームに作用して、タンパク質合成を阻害する働きを持つ。影響を強く受ける臓器は大腸腎臓で、出血性の下痢、急性脳症、溶血性尿毒症症候群(HUS)などのさまざまな病態の直接の原因となる病原因子である。なお、シガテラ食中毒の原因物質のひとつであるシガトキシン (ciguatoxin) とは別の物質である。


  1. ^ a b Konowalchuk J; Speirs J; Stavric S (1977). “Vero response to a cytotoxin of Escherichia coli”. Infect. Immun. 18 (3): 775–9. PMC 421302. PMID 338490. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC421302/. 
  2. ^ a b c 清水健、「腸管出血性大腸菌が産生する志賀毒素の発現様式と菌体外への放出機構 -志賀毒素転換ファージの構造と機能からの考察-」『日本細菌学雑誌』 2010年 65巻 2号 p.297-308, doi:10.3412/jsb.65.297, 日本細菌学会
  3. ^ a b 牧野耕三、品川日出夫、「遺伝子の再編成と水平伝播による細菌の病原性獲得『化学と生物』 2000年 38巻 2号 p.83-92, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.38.83, 日本農芸化学会
  4. ^ O'Brien, A.O., Lively, T.A., Chen, M.E., Rothman, S.W., Formal, S.B. (1983): Escherichia coli O157:H7 strains associated with haemorrhagic colitis in the United States produce a Shigella dysenteriae 1 (SHIGA) like cytotoxin. Lancet 1, 702.
  5. ^ a b Scotland, S.M., Smith, H.R., Willshaw, G.A., Rowe, B. (1983): Vero cytotoxin production in strain of Escherichia coli is determined by genes carried on bacteriophage. Lancet 2, 216., doi:10.1016/S0140-6736(02)93043-6
  6. ^ 藤井潤、「【細菌タンパク毒素の新たな理解へ向けて】 ベロ毒素に関する新たな知見」化学療法の領域. 25, (5), pp.755-764, 2009-04. (株)医薬ジャーナル社, ISBN 978-4-7532-8029-2


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志賀毒素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/19 16:08 UTC 版)

AB5毒素」の記事における「志賀毒素」の解説

詳細は「志賀毒素」を参照 志賀毒素はStxとしても知られ桿菌である志賀赤痢菌Shigella dysenteriae大腸菌Escherichia coliSTEC)によって産生され毒素である。これらの細菌汚染された食品飲料水感染源となり、この毒素拡散源となる。症状としては腹痛水様便場合によっては血便みられる生命を脅かす重症例は出血性大腸炎特徴とする。この毒素1898年志賀潔によって発見された。

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志賀毒素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 15:42 UTC 版)

赤痢菌」の記事における「志賀毒素」の解説

詳細は「ベロ毒素」を参照 志賀毒素(シガトキシン)は、A亜群属す赤痢菌一部(S. dysenteriae 1)が産生し菌体外に分泌する毒素タンパク質外毒素)であり、腸管出血性大腸菌作る種類ベロ毒素のうちの、ベロ毒素1と同じものであるベロ毒素2とも類似性が高い)。赤痢菌の志賀毒素はプラスミド上の遺伝子コードされていることから、ベロ毒素と志賀毒素は腸管出血性大腸菌赤痢菌との間でプラスミドを介して伝達され可能性が高いと考えられている。 志賀毒素は、毒素としての活性を持つAサブユニットActiveサブユニット)1個と、細胞との結合活性を持つBサブユニットBindingサブユニット)5個から構成される、A1B5型と呼ばれる毒素タンパク質である。赤痢菌から分泌された志賀毒素は、5つBサブユニットによって、宿主細胞細胞膜にあるガングリオシド一つであるGb3に結合しエンドサイトーシスによって細胞内取り込まれた後、Aサブユニットだけが細胞質入り込むAサブユニットは、真核細胞リボソーム含まれる28SリボソームRNAのうち、4324番目のアデノシン作用して、その糖鎖切断しアデニン切り出す活性(N-グリコシダーゼ活性)を持つ。28SリボソームRNAのこの領域リボソームにとって重要な領域であり、この1塩基変化で、新しアミノアシルtRNAリボソーム結合できなくなる。このためタンパク質伸長ができなくなってタンパク質合成阻害され最終的に細胞傷害が起こる。 志賀毒素を産生する赤痢菌では、通常の赤痢症状出血性下痢)以外に、小児では腸管出血性大腸菌でも見られる溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすことが知られている。

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