出血性大腸炎とは? わかりやすく解説

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しゅっけつせい‐だいちょうえん〔‐ダイチヤウエン〕【出血性大腸炎】

読み方:しゅっけつせいだいちょうえん

ベロ毒素を出す腸管出血性大腸菌感染することで起こる大腸炎汚染され食物経口摂取することで感染し下痢激し腹痛血便などの症状みられる溶血性尿毒症症候群などの重篤合併症併発し死に至ることもある。


出血性大腸炎


出血性大腸炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/05 14:10 UTC 版)

出血性大腸炎
別称 Hemorrhagic colitis
概要
診療科 感染症消化器科
症状 下痢下血腹痛
原因 腸管出血性大腸菌赤痢菌
合併症 溶血性尿毒症症候群(HUS)、虫垂炎腸重積など
治療 輸液による全身状態の改善
合併症を起こした場合はその治療も
予後 患者の2〜7%がHUSを併発。
HUSに罹った場合の致死率は1〜5%
分類および外部参照情報

出血性大腸炎(しゅっけつせいだいちょうえん、英語: Hemorrhagic colitis)は、大腸感染症の一種。腸管出血性大腸菌志賀赤痢菌大腸感染してベロ毒素志賀毒素)を産生し、血便を伴う下痢と重篤な合併症を起こす。

なお抗生物質など薬剤の副作用によって薬剤性腸炎[1]が起こることもあるが、ここでは主に感染症による出血性大腸炎について記述する。

概要

腸管出血性大腸菌志賀赤痢菌大腸感染ベロ毒素志賀毒素)を産生することで、大腸に出血びらん潰瘍を伴う激しい炎症反応が起こる病気

どの年齢層にも起こり得るが、特に小児高齢者に最も多くみられる。出血性大腸炎を起こす最も一般的な腸管出血性大腸菌の株はO157:H7である。O157はもともと健康なウシに生息しているものである。加熱が不十分な牛ひき肉や殺菌されていない牛乳果汁、また汚染されたを摂取することで集団発生することがある。出血性大腸炎は人から人へ伝染し、特におむつをつけている乳幼児の間で伝染する。

腸管出血性大腸菌志賀赤痢菌のつくるベロ毒素は大腸の粘膜に著しい損傷を与える。毒素が血流中に吸収されると腎臓などの大腸以外の臓器にも重大な影響を及ぼす。

症状

他の腸管感染症と違い、吐き気および嘔吐は見られないことが多く、あっても程度は軽い。痙攣性の激しい腹痛(腸が捻れるような激痛)と水様性の下痢が突然始まり、下痢は24時間以内に真っ赤な血便になることが多い。下痢は通常1〜8日間続く。また、腹痛や下痢の前に悪寒倦怠感くしゃみ鼻水といった風邪のような症状から始まる人もいる。しかし、症状には個人差があり、中には軽症で済む(軽い下痢のみで終わり、血便や発熱がみられない)人もいる。

特徴的な症状は、

血便
初期は血液の混入は少量であるが、次第に増加し、重症例では大量かつ頻回の下血がみられる。下血の回数は1日に30回を超えることもあり、典型的な症例では糞便成分がほとんどなく、血液そのもの」というような状態で肛門から流れ出るようになる。また、血液だけでなく粘液も混ざることがある(粘血便)。トマトケチャップのような便」と形容されることも。
発熱
無いか、あっても37℃台の微熱であることが多いが、乳幼児ではまれに39℃以上の高熱になることもある。

合併症

稀に腸管合併症として脱肛虫垂炎腸重積、腸狭窄、中毒性巨大結腸症壊死性腸炎がみられることがある。

また、出血性大腸炎を起こした人の約2〜7%に、腸管外合併症として溶血性尿毒症症候群(HUS)という重い合併症がみられる。

下痢などの症状が現れてから数日〜2週間以内にHUSを発症することが多い。

HUSの危険因子としては、

などが挙げられる。

性差としては、男性より女性のほうがHUSを発症しやすいと言われている。

HUSを発症した場合の致死率は1〜5%とされる。

その他の腸管外合併症として播種性血管内凝固症候群(DIC)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、肝機能障害、急性膵炎肺水腫、急性心不全、急性脳症などが報告されている。

診断

患者が血便を伴う下痢を訴えた場合は、出血性大腸炎が疑われる。診断をつけるには糞便のサンプルを調べて大腸菌赤痢菌の菌株を調べる。大腸菌が産生する毒素を検出する便検査を行うこともある。確定診断のため大腸内視鏡検査など他の検査を行うことがある。

鑑別疾患

血便を起こす他の疾患例。

治療

治療において最も重要なことは水分補給である。大量の体液が失われてしまった場合には輸液で補給する必要がある。下痢止め(止瀉薬)や抗生物質などは溶血性尿毒症症候群を起こすリスクを高めるので、原則使用しない。溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こした場合は入院して集中治療を受けることが必要となる。腎透析輸血が必要なこともある。

穿孔壊死虫垂炎腸重積、中毒性巨大結腸症などを合併した場合は手術が必要な場合もある。

出典・脚注

  1. ^ 平山政彦、古沢清文、山岡稔、抗生物質によると思われる急性出血性大腸炎の1例 日本口腔科学会雑誌 1986年 35巻 1号 p.259-265, doi:10.11277/stomatology1952.35.259

関連項目

外部リンク

  • [1] MSDマニュアル家庭版



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