けっせんせいけっしょうばんげんしょうせい‐しはんびょう〔ケツセンセイケツセウバンゲンセウセイシハンビヤウ〕【血栓性血小板減少性紫斑病】
血栓性血小板減少性紫斑病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/05 03:19 UTC 版)
血栓性血小板減少性紫斑病(けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう、英: Thrombotic thrombocytopenic purpura; TTP)とは、出血傾向を生じ、また血栓によって赤血球が破壊される疾患。
病態
von Willebrand因子分解酵素ADAMTS13(a disintegrin-like and metalloproteienase with thrombospondin type 1 motifs 13)の活性異常により、von Willebrand因子が切断されず、von Willebrand因子と血小板が血管内皮細胞に張り付きやすくなる。全身の毛細血管は血管内皮細胞に裏打ちされているが、毛細血管の内腔は本来なら赤血球がぎりぎり通れる大きさである。しかし本症では血管内皮に血小板が張り付いて血栓を作り毛細血管内腔へ向かってトゲ状になるので、体中の毛細血管で赤血球が破壊されると考えられている。
分類
臨床像
古典的に以下の5つの症状が知られている。
- 出血傾向 : 血小板減少による出血傾向 : 血小板減少による出血傾向とは、全身の網細血管に血小板が張り付く事で血中を流れる血小板が減少して血が止まりにくくなったり、皮下出血を起こして紫斑となって見える事。
- 精神症状・神経障害 : 痙攣、意識障害など
- 発熱
- 貧血 : 微小血管性溶血性貧血 : 微小血管性溶血性貧血とは、毛細血管での赤血球の破壊が全身で起こるので赤血球が減少して貧血になる事。
- 腎障害
検査
身体所見
一般検査
血液検査
- 末梢血塗沫標本検査
- 赤血球↓ : 破壊によって赤血球が減少する。
- 血小板↓ : ヴァン・ウィレブランド因子分解酵素活性の異常により血小板が血管内皮に張り付いて消費され、数が低下する。
- 網赤血球数↑ : 減少した赤血球を作って補うために網赤血球が増加する。
- 破砕赤血球 : 破壊された赤血球が認められる。
生化学検査
- 血清生化学検査
- 特殊な検査:
- von Willebrand因子マルチマー:von Willebrand因子分解酵素の異常により、巨大なマルチマーが分解されず血中に存在していることを確認する。
- ADAMTS13活性[1]:
- ADAMTS13活性は血栓性血小板減少性紫斑病が疑われる血小板減少がみられる患者の診断補助を目的として測定した場合又はその再発を疑い測定した場合に算定できる。
- ADAMTS13はvon Willbrand因子(vWF)の特異的切断酵素であり、ADAMTS13活性の低下によりvWFとの均衡が破綻すると、血小板が消費され血栓を形成し、血栓性血小板減少性紫斑病を発症する。
機能検査
- 血液機能検査
- 血液凝固機能検査
- 凝固因子は問題ないので、プロトロンビン時間(PT)や活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)は正常である。
- 血液凝固機能検査
画像検査
病理検査
治療
血漿交換療法を行う。免疫機能を和らげる副腎皮質ステロイドや、血小板凝固を妨げる抗血小板薬を使う事もある。LDHの値を指標とする。
予後
後遺症として腎不全が残ることが多い。
脚注
- ^ http://test-guide.srl.info/hachioji/test/detail/003790809
- ^ 藤村吉博「各科臨床のトピックス 血栓性微小血管障害症(TMA)であるTTPとHUSの診断と治療update」(PDF)『日本医師会雑誌』第143巻第1号、日本医師会、2014年4月、86-88頁、ISSN 00214493。
関連項目
外部リンク
血栓性血小板減少性紫斑病
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「血小板減少症」の記事における「血栓性血小板減少性紫斑病」の解説
「血栓性血小板減少性紫斑病」も参照 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療は、それに伴う溶血性貧血や血小板の活性化により腎不全や意識レベルの変化を引き起こす可能性がある為、医療上の緊急課題となっている。TTPの治療は、1980年代に血漿交換法が適用され、革命的な進歩を遂げた。Furlan-Tsai仮説によると、この治療法は、ヴォン・ヴィレブランド因子を切断するプロテアーゼADAMTS-13(英語版)に対する抗体を除去する事で効果を発揮する。また、血漿交換法は、活性のあるADAMTS-13プロテアーゼタンパク質を患者に与え、ヴォン・ヴィレブランド因子のマルチマーを正常な濃度に回復させる。ADAMTS-13に対する持続性の抗体を持つ患者が必ずしもTTPを発症するとは限らず、これらの抗体だけでは血漿交換法によるTTPの治療を説明するには不充分である。
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固有名詞の分類
病気の別名 |
メビウス症候群 acquired immunodeficiency syndrome 血栓性血小板減少性紫斑病 Alport syndrome 胸腺低形成症 |
特定疾患 |
ハンチントン病 原発性免疫不全症候群 血栓性血小板減少性紫斑病 黄色靭帯骨化症 ギラン・バレー症候群 |
血液疾患 |
汎血球減少 血球貪食症候群 血栓性血小板減少性紫斑病 白血病裂孔 急性白血病 |
発熱と発疹を起こす病気 |
多形性滲出性紅斑 皮膚科学 血栓性血小板減少性紫斑病 単純ヘルペス ベーチェット病 |
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