血便
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/01 23:49 UTC 版)
血便 | |
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概要 | |
診療科 | 消化器学, 一般外科学 |
分類および外部参照情報 | |
ICD-9-CM | 578.1 |
DiseasesDB | 19317 |
血便(けつべん、hematochezia)とは、自己の血液の付着や混入した便で、肉眼的に出血が確認されない検便にて指摘される「便潜血」や、便表面に付着する程度から便全体に血液が混ざっているもの、便に血が混じっている全ての状態を指す。血液の比率が高く液状の場合は下血(げけつ)または血性下痢(けっせいげり)と表現される。
解説
一般的には血便とは赤色から赤褐色の便であるが、その原因のほとんどは下部消化管出血による。裂肛などの肛門周囲病変での出血は、便の表面に血液が付着するもので、便と血液が混じり合っていないことで判断される[1]。
血便をきたす疾患は重大なものが多く、後述、「警戒すべき状態」にある症候を示した際は早急な医療機関への受診が必要[2][3]、トイレットペーパーに血が付着するだけの状態であれば、1-2日の診察遅れは問題にならないとされる[2]。
上部消化管、下部消化管の口側よりで出血し、消化(化学的修飾)された血液は黒色を呈し、黒色便(メレナ: melena)[1]、粘液を伴えば粘血便(ねんけつべん)[1]、膿と粘液を伴えば膿粘血便(のうねんけつべん)と呼ばれる。
警戒すべき状態
血便および下血症状と前後して、失神、低血圧、蒼白、発汗、心拍数の増加(毎分100回を超える)、250 mlを超える出血[2]を生じた場合、循環血液量減少または出血性ショックが示唆される[4]。
血便をきたす主な疾患
消化器系
血液系
- 血小板減少性紫斑病
- 白血病
- 再生不良性貧血
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)
循環系
感染症
腸管感染症
- 細菌性胃腸炎 - サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオなど
- 腸結核(結核菌による腸の炎症)
- 偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル腸炎)
- アメーバ赤痢 - 臨床医学の教科書ではしばしば「イチゴゼリー状の粘血便」と形容される。
全身感染症
- レプトスピラ症(ワイル病)
- ウイルス性出血熱
- エボラ出血熱(エボラウイルス病)
- マールブルグ病
- ラッサ熱
- 南米出血熱
- クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
- 腎症候性出血熱
- 黄熱
- デング出血熱
寄生虫
中毒
- 黄色ブドウ球菌食中毒(重症例)
- ウェルシュ菌食中毒(重症例)
- 毒キノコによる中毒 - 特に、アマトキシン類を産生する毒キノコは血便がみられる頻度が高い。
- 有毒植物による中毒
- 誤飲(電池、漂白剤、農薬など)
- 毒蛇の出血毒
栄養失調
- ペラグラ(ナイアシン欠乏症)
- 壊血病(ビタミンC欠乏症)
- ビタミンK欠乏性出血症
出典・脚注
関連事項
外部リンク
- 健康情報誌「消化器のひろば」No.13 気になる消化器病 血便 日本消化器病学会
下血
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/28 02:05 UTC 版)
まずはバイタルサインの測定を行い、循環動態の評価を行う。静脈路確保を行い、輸液をする。肛門鏡検査にて痔出血の有無を確認する。痔出血であっても大量出血の場合は緊急手術が必要である。少量ならば座薬や軟便剤の処方にて経過観察が可能である。痔出血でなければ内視鏡検査にて出血源の同定を行う。下血を起こす疾患の頻度では下部消化管の方が多いが大腸内視鏡では前処置が必要であり、下剤の大量投与は誤嚥のリスクがあること、上部消化管出血で下血が起こる場合は大量出血の可能性があることから上部消化管内視鏡検査から行われることが多い(場合によってはS状結腸内視鏡、シグモイドスコピーを用いることがある)。上部消化管、下部消化管ともに出血源が認められなかった場合は小腸出血の可能性を考える。かつては出血シンチグラフィーや血管造影が行われていた。出血シンチグラフィーでは造影CTにて所見がない場合は検出できる可能性が低い。近年は小腸内視鏡であるダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡が用いられることもある。代表的な疾患には 大腸癌 虚血性大腸炎 憩室炎 腸重積 上腸間膜動脈血栓症 潰瘍性大腸炎・クローン病 腸管出血性大腸菌O157や細菌性赤痢などの出血性大腸炎 などがある。
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「下血」の例文・使い方・用例・文例
- 硬膜下血種
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