O111とは? わかりやすく解説

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腸管出血性大腸菌O-111

読み方:ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきんオーイチイチイチ
別名:病原性大腸菌O-111、O-111

病原性大腸菌一種。「O-157」と同様、ベロ毒素呼ばれる強毒性毒素生産し下痢発熱などの食中毒症状引き起こすまた、合併症状として脳症溶血性尿毒症症候群呼ばれる肝臓疾患なども引き起こす。特に子どもや高齢者重篤に陥りやすい。

腸管出血性大腸菌O-111とO-157違いは、抗原O抗原)による分類上の区分よる。症状などに目だった違いがあるわけではない腸管出血性大腸菌共通する特徴として、感染力が非常に強いという点がある。の数が、他の食中毒事例1万分の1程度おおよそ100程度)でも発症するおそれがあるといわれている。

腸管出血性大腸菌75度以上の熱で死滅させることができる。そのため、肉などを調理する際には十分に加熱することが推奨されるまた、レバ刺しユッケなどで用いられる生食用食肉取り扱いについては、1996年発生したO-157による集団食中毒事件契機として作成通知された「生食用食肉の衛生基準」においてガイドライン示されている。

2011年4月には、焼肉チェーン店ユッケ食べた複数人の客が、腸管出血性大腸菌原因とする溶血性尿毒症症候群などに罹患し死亡する事件発生している。同店舗では肉を生で提供する際に行うべきと保健所から指示されている「トリミング」(肉表面のそぎ落とし)などの処理を行っていなかったことが明らかになっている。

なお、2011年5月には西欧ドイツで「腸管出血性大腸菌O-104」に感染したと見られる食中毒患者続出し騒ぎとなっている他、2011年6月には日本別の焼肉チェーン店で「腸管出血性大腸菌O-157」による食中毒事件発生し波紋広げている。

関連サイト
腸管出血性大腸菌感染症(O157など) - 東京都感染症情報センター

オー‐いちいちいち【O111】

読み方:おーいちいちいち

病原性大腸菌腸管出血性大腸菌)の一種。強い毒性をもつ。加熱不十分な食べ物から感染し、はげしい腹痛下痢血便がみられ、HUS溶血性尿毒症症候群)などの合併症引き起こす場合もある。感染者の便から二次感染が起こる。

[補説] 名称は、111番目に発見されO抗原を持つ大腸菌ということから。重篤症状起こすのは血清型が、O111:H−のもの。H−は鞭毛がなくH抗原もたないことを意味する


病原性大腸菌

(O111 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 07:55 UTC 版)

病原性大腸菌(びょうげんせいだいちょうきん)とは、特定の疾病を起こす大腸菌菌株の総称である。毒素原性大腸菌[1]とも呼ばれる。細菌学的には、菌の表面にある抗原(O抗原とH抗原)に基づいて細かく分類される[2]。このうち、O111 (O-111とも) やO157 (オーいちごーなな、O-157とも) の抗原を持つ菌株は、100人を超える規模の食中毒をたびたび発生させ先進国で問題となっており[3]、メディアによる報道ではこの抗原名で呼称されている。


  1. ^ 竹田美文、「腸炎ビブリオ・毒素原性大腸菌・腸管出血性大腸菌・コレラ菌 (PDF) 」 モダンメディア 2012年10月号(第58巻10号)
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  7. ^ 下痢原性大腸菌感染症 国立感染症研究所 2000年第50週(12月11日~12月17日)掲載
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  9. ^ 加藤廉平ほか、Levofloxacin 耐性大腸菌により経直腸的前立腺生検後に敗血症ショックに陥った1例 泌尿器科紀要 56巻8号 p.453-456, hdl:2433/123563
  10. ^ a b c 病原性大腸菌 (PDF) 食品安全委員会
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  12. ^ a b <特集>腸管出血性大腸菌O157:H7の集団発生、1996」『The Topic of This Month』17 (8) No.198、1996年、2019-07-11 閲覧 
  13. ^ 腸管出血性大腸菌O157:H7による集団発生例
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  15. ^ 食中毒事件一覧速報 厚生労働省
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  17. ^ 病院および老人保健施設で発生した腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒事例-宇都宮市” (日本語). IASR Vol.23 No.12 December 2002. 国立感染症研究所 (2002年12月). 2013年4月6日閲覧。
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  19. ^ 壁谷英則、佐藤真伍、丸山総一、野生動物の食用利用と人獣共通感染症 『日本獣医師会雑誌』 Vol.69 (2016) No.5 p.277-283, doi:10.12935/jvma.69.277
  20. ^ a b 伊藤均, Harsojo、「食肉中での大腸菌O157: H7の放射線殺菌効果」 食品照射 1998年 33巻 1-2号 p.29-32, doi:10.5986/jrafi.33.29
  21. ^ 伊藤武, 甲斐明美、「腸管出血性大腸菌O157感染症と食品」 食品衛生学雑誌 1997年 38巻 5号 p.275-285, doi:10.3358/shokueishi.38.5_275
  22. ^ O157等腸管出血性大腸菌感染症に注意しましょう”. 千葉県 (2018年6月19日). 2019年7月11日閲覧。


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