管種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 04:43 UTC 版)
大別して剛性管と可撓管がある。自然流下用の下水道用管材として最も多く使用されているのが、硬質塩化ビニル管であり、用途に応じて様々な管種が用いられる。一般的には日本下水道協会規格(JSWAS)製品が使用される(記号のアルファベットはJISコードと同じ) 硬質塩化ビニル管(VU管):内圧がかかる上水道用の「VP管」に対して、内圧がかからない(Unpressurized)のでV"U"管と呼ぶ。VP管は下水道に於いても汚水の圧送管材として広く使用されているがJSWASに準拠してはいない。水道分野では受口の長い耐衝撃性樹脂(HIVP)に離脱防止継手をつけたものは主要幹線のレベル2耐用管材として取り扱われているが、下水道用ポリエチレン管(JSWAS K-14)などに比べると一般に耐震性に劣っている。近年の地震においても事故事例が多く、下水道用途としての圧力管路には不向きである。硬質塩化ビニル管(K-1) 硬質塩化ビニル卵形管(K-3) リブ付硬質塩化ビニル管(K-13):肉薄であるもののリブで補強され、砕石基礎とする事で液状化に強い管路を構築できる。東日本大震災に於いても砕石基礎とそうでないところでは液状化の被災状況が異なっている。 推進工法用硬質塩化ビニル管(K-6) 強化プラスチック管(FRPM管):Fiberglass Reinforced Plastic Mortar の略。強化プラスチック複合管(K-2):自然流下の大口径管に使用される管材。 内挿用強化プラスチック複合管(K-16) ポリエチレン管(PE管):日本ではガス、水道分野にも広く使用される柔軟で耐震性に富んだ管材。一般に接続は「融着」によって行われ、EF-エレクトロフュージョン-(電気融着)接続やバット融着接続を行う。下水道用ポリエチレン管(K-14):耐震、耐食性に極めて優れ、特に小中口径クラスではダクタイル鋳鉄管に替わって採用が増えている。中口径(φ250)以上にて高価である事が難点ではあるが長く使える事で割安感があり、ヨーロッパを中心に圧力管の「主流」となっている。高密度ポリエチレン管(HDPE管)は昔水道で使われた一般のPE管とは素材が異なる高機能製品。汚水・汚泥圧送、真空式、急傾斜地等での採用が主。ISO規格に準じた製品が多い。耐用年数は一般に100年以上といわれ、更新まで含めたLCCの観点から極めて経済的な管種といえる。宮城県北部沖地震、中越沖地震、東日本大震災等にて極めて高い耐震性を有する事が判っている。 下水道用リブ付ポリエチレン管(K-15):自然流下向けの大口径管(約3000程度)で、ハウエル管(ドイツで開発。中空リブを外壁に設け、内面は平滑で耐圧性に優れる)が代表的。 ダクタイル鋳鉄管(DCIP):上水道で実績が多く、下水道では圧力管種で最も多く採用される。ただし、曲部や管内気相部に腐食破損事故が多く、内面塗装品に主力が移りつつある。これにより腐食や電食に対する耐用年数は20–25年程度まで向上し(上水道では40年)、また耐震性を高めるため離脱防止性に優れたNS型が普及している。ダクタイル鋳鉄管(G-1) 推進工法用ダクタイル鋳鉄管(G-2) 鉄筋コンクリート管:中から大口径管が中心。製法上、セメントの締固めを振動によるもの(バイコン)と、遠心力によるもの(ヒューム管)に大別され、後者は特に遠心力鉄筋コンクリート管と呼ぶ。バイコンは現場打ちや特殊な形状に対応しやすいが、規格品としてはヒューム管が優れている。(漫画でお約束の「空き地に積んである土管」はこれ。下水道整備が進められた高度成長期世代には事実見慣れた光景だったが、現代では管材に占めるシェアはかなり低くなってしまった)鉄筋コンクリート管(A-1) 推進工法用鉄筋コンクリート管(A-2) 鉄筋コンクリート卵形管(A-5) 小口径管推進工法用鉄筋コンクリート管(A-6) 推進工法用ガラス繊維鉄筋コンクリート管 (A-8) 台付鉄筋コンクリート管(A-9) レジンコンクリート管:ヒューム管のセメントを不飽和ポリエステル樹脂に代えたもの。セメントと樹脂の違いが性能差にそのまま表れており、酸に強く、摩耗しにくく、耐震性が高い。軽量で施工性がよいため工期短縮に効果的。水密性、内面の平滑性も高い。いいことずくめだが、当然ながら価格も高い。レジンコンクリート管(K-11) 推進工法用レジンコンクリート管(K-12) 土管(陶管)(セラミック管):明治初期から使用され、特に家庭取付管など煉瓦積みで施工しにくい小口径管路としてPVC管が普及する昭和40年代頃まで大部分を占めていた。常滑焼など地場産業振興や、汚泥焼却灰などのリサイクル先として、現代でも需要がある。陶製卵形管(R-1) 陶管(R-2) 推進工法用陶管(R-3) 鋼管:他の鉄鋼製品に比べて規格とサイズ数が格段に多いため、配管用など、いわゆる流通業での利用が多かったが、近年、下水道用としても使われるようになった。なお、日本下水道協会規格(JSWAS)には制定されておらず、独自規格として、日本水道協会規格(JWWA)に制定されているにとどまる。 その他:管のイメージから離れるが、プレキャストコンクリート製品など。ボックスカルバート(カルバートは暗渠の意味):断面が四角形の短い箱で、道路下の幹線などによく使われる。四角いことから「函渠」とも呼ばれる。 アーチカルバート:断面がアーチ型、カマボコ型のカルバート。 セグメント:シールド工法で使用される、管壁の一部。 特殊な異形管の場合、現場施工(場所打ち工法)による場合もある。
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