アセットマネジメントの実施を推進(厚生労働省)
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「水道管」の記事における「アセットマネジメントの実施を推進(厚生労働省)」の解説
「新水道ビジョン」では、50年後、100年後の将来を見据え、水道の理想像を明示している。水道におけるアセットマネジメントについて、厚生労働省では、平成21年7月に「水道事業におけるアセットマネジメント(資産管理)に関する手引き」を公表し、全国の水道事業者等にアセットマネジメントの実践を促している。令和元年の全国水道関係担当者会議資料(資料編)2020.3には「全国の水道施設の更新費・修繕費の試算結果」の中で近々からの更新費増加、平準化をシミュレーションしており、アセットマネジメント後の予算化実施を事業体に示唆している。この時点では40年スパンの最初20年に約2000億円の「予算の前倒し計上」を乗せ、20年後からは毎年更なる増額をするシミュレーションとなっていたが、2021年3月の同資料以降は約5000億円の「予算の前倒し計上」としほぼ40年間「平準化」予算となるシミュレーションに変更されている。 また、「新水道ビジョン」においては、当面の目標点の1つとして、全ての水道事業者が資産管理(アセットマネジメント)を実施し、将来の更新計画や財政収支を明らかにすることとしている。 中長期的財政収支に基づき施設の更新等を計画的に実行し、持続可能な水道を実現していくためには、各水道事業者等において、長期的な視点に立ち水道施設のライフサイクル全体にわたって効率的かつ効果的に水道施設を管理運営することが必要不可欠であり、これらを組織的に実践する活動がアセットマネジメント(資産管理)である。 厚生労働省は、「水道施設の計画的な更新等について(法第22条の4、施行規則第17条の4)」水道施設 の計画的な更新に努め、厚生労働省令で定めるところにより、水道施設の更新に要する費用を含 むその事業に係る収支の見通しを作成し、これを公表するよう指導をしており、その推進として、アセットマネジメントの実施率の引き上げとともに、精度の低い簡略型から精度の高い型への移行 が必要としている。全国水道関係担当者会議資料(令和2年3月)の内容によれば、アセットマネジメント結果の公表率は約19%であり、水道法改正を踏まえ、公表率の引き上げが必要としている。 厚生労働省では「アセットマネジメント「簡易支援ツール」」を提供し、こうした取組を支援している。※2020年度にリニューアル更新 水道事業のアセットマネジメント記事(北海道石狩市)では、アセットマネジメントの視点に立った事業体(北海道石狩市)における、管路のベストミックス取組の手法が、一例として紹介されている。 ※アセットマネジメント「簡易支援ツール」'では「管路の更新基準の設定の一案の考え方」が示されており、管種ごとに「実使用年数の数値例」が記載されている。 [以下、2020年3月までのものについての記載] ただしここでは、"客観的な正しい数値が示されているわけでは無い"ので特に注意が必要である。文中にも「一案である」とされている通り「標準的な更新基準を示しているものではない」事を念頭に、各事業者にて更新基準を設定した上で実施する必要がある。各管種の協会資料やメーカー技術資料などを参考に各々設定をし、「実使用年数の設定例」に記載の数値のままで検討を行わないよう、注意をして運用したい。特に「ダクタイル鋳鉄管 耐震継手を有する」については旧来のNS形(1種、3種)、薄肉のNS形E種、外面耐食仕様のGX形(1種、S種)など肉厚や塗装種類、ポリエチレンスリーブの有無などにより様々な品種があり、区分けをする必要があるにもかかわらず「耐震継手を有する」の欄で一括りにされている。アセットマネジメントを実施するコンサルタント、事業者においては管種の特性により実耐用年数の設定を設定する必要がある。(政令指定都市では東京都、大阪市、横浜市、(鋳鉄管の設定値)、新潟市(ダクタイル鋳鉄管、配水用ポリエチレン管の設定値)、のように独自の検証に基づいて実耐用年数の設定を行っている事業体がある一方、大規模事業体においてもこの「簡易支援ツールの数値」をそのまま使用しアセットマネジメントを行われている場合も散見される。注意をしたいところである。) [2020年4月 バージョンup] 2020年度にはツールが見直しされ、上記の注意事項についても改善されている。主に操作性が改善されており、マクロや関数で必要となるパラメータ(設定値)を「初期設定」シートで一元管理出来るようになり、使い勝手が大幅に向上している。内容についても、企業債(新債)発行額と水道料金に改定率の自動算出処理ができるようになっているほか、「水道管」については更新基準についての設定例について参考資料が大幅に改新されている。 参考資料 更新基準の設定事例について、老朽化する既設管路については全国の事業体の設定例を2例示し、今後の更新に使用する管種については「耐震管」に区分されている3管種について、第三者の評価が得られている管材の耐用年数等関連情報として例示されている。前回までの設定例では耐震管に区分されるダクタイル鋳鉄管の参考値として80年が示されていたが、管厚、塗装などの違いが混在しており、今回の資料は耐久性について業界団体からきちんとしたデータが示されているGX形のみが、耐用年数の参考値として掲載されている。この表によれば、小口径から大口径までの耐震管に区分される新設管(ダクタイル鋳鉄管GX形管、長寿命形水道鋼管、水道配水用ポリエチレン管)については、アセットマネジメントにおける更新基準の設定値は、一律で100年を設定値として参考使用することができる。以前の設定例に比べると根拠が明確になっており、事業体として参考としやすいものになった。もちろん、「あくまでも設定例ですので目安と考え、水道事業者等の実情(施設の重要度、 劣化状況、維持管理状況、管路の布設環境等)を踏まえた設定を心がけてください。」とあるように、事業体ごとの判断により運用をすることが必要である。 ※ 簡易支援ツールマニュアルはHPの直リンクでは「簡易支援ツールを使用したアセットマネジメントの実施マニュアル Ver.2.1」となっているが、資料の一括ダウンロードファイル内では「簡易支援ツールを使用したアセットマネジメントの実施マニュアル Ver.3.0」になっている。(どちらもほぼ同じ内容でVer.2.0からは大きく変更されました)
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