監督官庁移管とは? わかりやすく解説

監督官庁移管

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 05:34 UTC 版)

日本発送電」の記事における「監督官庁移管」の解説

太平洋戦争日本にとって次第極めて不利な戦局陥ったこの中で政府戦時体制維持のためにさらなる物資動員目指したが電力例外ではなく軍需産業用に莫大な電力量要求した。特に軍部要求したのは戦闘機増産のための電力供給である。1941年真珠湾攻撃や翌1942年昭和17年)のミッドウェー海戦などにより航空戦重要性海軍などで重要視され制空権確保し戦争有利に進めるためには戦闘機増産不可欠であった。この軍部意向電力行政直ち反映され1943年7月には従来の「電力五ヵ年計画」を見直した昭和一八年度生産力拡充計画」が策定された。ここで1947年昭和22年)までの五年間水力135キロワット火力16キロワット新規電力開発決定された。ところがこの計画決定されたわずか一ヵ月後、再び新規電力開発計画変更が行われた。この「緊急電拡充非常対策」で1945年昭和20年)までのわずか二年間水力・火力併せて200~250キロワット緊急に拡充する定められのである。 「緊急電拡充非常対策」を着実に実施するため、東條内閣電力行政軍需行政直接監督下に置く方針打ち出した。そして国家総力戦遂行貫徹するため1943年11月1日首相大臣兼任する形で軍需省設置された。これと同時に電力行政従来逓信省から軍需省へと移管され、日本発送電監督官庁であった逓信省電気局は軍需省電力局として編入された。編入後の翌12月には閣議によって軍需省電力行政方針打ち出され戦闘機増産主眼においた「電力動員緊急措置要綱」を策定し戦時体制維持図ろうとしたのである同時に民間への電力供給鉄道通信家庭用電力といった必要最小限供給絞りここにおいて電力事実上軍部掌握する状態になった。 だが日本発送電新規電力開発能力先に述べた通り五ヵ年計画」でも一割程度実績しかなく、「要綱自体非現実的であった。かつ物資欠乏のため施工中発電所についても進捗滞る有様であった。しかし政府新規電力開発による戦闘機増産急ぎ人海戦術による急ピッチで建設促進図ったこの中で中国人朝鮮人労働者敵対していた連合国軍捕虜などをダム・発電所工事使役し過酷な強制労働従事させるという事態も発生した長野県平岡発電所天竜川)や広島県滝山川発電所滝山川)などで見られたほか、北海道雨竜発電所雨竜川)では劣悪なタコ部屋労働強いた。また工事従業員対す安全確保もずさんであり、富山県黒部川第三発電所黒部川工事では雪崩トンネル内の高熱による火薬爆発事故などで多数労働者殉職するなど、日本発送電が関わった工事では多く労働者命を落としており、現在ダム近傍には慰霊碑建立されている。 また、本来は地域開発のために実施される河川総合開発事業についても軍需省による介入があり、広島県の広発電所黒瀬川)は呉海軍工廠のために建設され愛媛県柳瀬ダム銅山川)では愛媛県徳島県協議によって廃止した水力発電事業強引に復活、さらに水利権巡り福島県群馬県の間で係争状態であった尾瀬沼分水問題強引に利根川水系分水させた。神奈川県相模ダム相模川)では横須賀海軍工廠への電力供給目的にしていたことから、ダム建設反対する地元住民に対して小磯国昭杉山元荒木貞夫など陸軍首脳地元乗り込み陸海軍合同閲兵式開き示威行動を行うなど戦時体制維持のためになりふり構わぬ姿勢見せた。 しかし日本戦況日を追う毎に悪化一途をたどり、物資欠乏決定的となった1944年昭和19年8月小磯内閣は「決戦非常措置要領」を発令全ての物資戦時体制維持のために軍需徴用する方針打ち出した。この結果施工中水力発電所建設続行不可能になり、ほとんど全ての事業中断追い込まれた。また空襲によって火力発電所変電所破壊され発電・配電機能喪失し残った水力発電所酷使老朽化補修できないため事故続発発電能力戦前60パーセント程度にまで減衰した。こうした中で終戦迎えたが、電力需給バランス崩れたままであった

※この「監督官庁移管」の解説は、「日本発送電」の解説の一部です。
「監督官庁移管」を含む「日本発送電」の記事については、「日本発送電」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「監督官庁移管」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「監督官庁移管」の関連用語

監督官庁移管のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



監督官庁移管のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの日本発送電 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS