犬山祭の車山行事とは? わかりやすく解説

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犬山祭の車山行事

名称: 犬山祭の車山行事
ふりがな いぬやままつりのやまぎょうじ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 犬山祭保存会
指定年月日 2006.03.15(平成18.03.15)
都道府県(列記): 愛知県
市区町村(列記): 犬山市
代表都道府県 愛知県
備考 公開日 毎年4月第一土曜日とその翌日
車山13台が昭和39年愛知県指定有形民俗文化財
解説文:  犬山祭の車山行事は愛知県犬山市の針綱【はりつな】神社の祭礼行われる行事で、氏子枝町魚屋町下本町中本町熊野町新町本町練屋町鍛冶屋町、名栗町寺内町、余坂町外町あわせて一三町内からからくり人形をのせた車山出され鵜飼町坂下大本町、内田三町内から練り物出される
 犬山市愛知県最北端にあり、木曽川挟んで岐阜県各務原かがみがはら】市と境を接する地にある。江戸時代には名古屋藩附家老成瀬家城下町として栄えた町で、針綱神社犬山地区産土神うぶすながみ】を祀る神社である。祭り寛永年間一六二四~四四)に神輿渡御氏子練り物出して参列したのに始まり以後慶安年中一六四八五二)には時の領主成瀬正虎の命により犬山惣町中が参加するようになった伝えられその後現在のように車山練り物出される祭りになったといわれている。
 この行事毎年四月第一土曜日とその翌日行われる一日目試楽しんがく】と呼ばれ一三町内から車山出され針綱神社前の広場集結し、昼ころから駅前組に属する組から順番針綱神社鳥居前進みからくり奉納するからくり奉納がすむと神社組はそのまま鳥居前広場残り駅前組の魚屋町熊野町本町練屋町寺内町外町六町内は名鉄犬山駅西口広場移動する夕方になるとそれぞれ車山提灯を灯した後、曳き出し式を行う。その後、各町内に曳いて帰り町内とも夜十時ころまでにはこの日の行事終了する
 翌日本楽ほんがく】で、各町内とも太鼓や鉦、鈴などをたたきながら町内まわって出発知らせる。その後傘鉾前にして町内出発した車山午前十時ころまでに針綱神社前の広場に曳き込まれる傘鉾車山先導する朱塗傘で傘の下には作り物大福帳などが下げられており、車山神社到着すると各町内ごとに本殿通じ石段両側立てる。
 各町内車山神社前の広場に揃うと本殿例祭神事が行われる。これと前後して鵜飼町大母衣、坂下大本町の小母衣、内田の子供競子【こどもけいこ】の練り物到着する神事終了後、各町内車山からくり奉納するからくり奉納枝町魚屋町下本町の順に行われ、この三つ町内からくり奉納すれば祭り成立したことになるとされている。からくり奉納終了する車山後退させる際に「どんでんが行われる。「どんでん」は車山の曳き役を担当するテコの力の見せ所で、前【まえかじ】を担いで車山持ち上げたまま一八〇度回転しそのまま曳いていくもので、どこまで一気に曳けるか競い合いのようになる。これがすむと車山は余坂町に向かう枝町魚屋町新町練屋町寺内町、余坂町の北組と出来町に向かう下本町中本町熊野町本町鍛冶屋町、名栗町外町の南組に分かれそれぞれの場所に向かう。練り物神前での奉納がすむと車山行列混じって一緒に退出する
 針綱神社から退出した車山は、北組、南組それぞれの決められた場所に到着すると夜車山準備取りかかる。各町内から提灯運び込み車山取り付けて点灯すると、それぞれ坂町外町先頭出発する。この夜車山では途中町内車山下本町交差点を通ることになっており、ここで「どんでん」が披露される車山が町内に戻ると各町内では次年度当番交代する行事が行われてその年の行事終了する
 犬山祭車山三層造りで、上山唐破風屋根四本柱支えここにからくり人形がのる。中山下山四方を幕で覆い下山には囃子担当する人たちが乗る唐破風屋根前後にはボーデン梵天)と称する御幣取り付けられている。車輪四輪車山外側取り付けられている。三層四輪形式で、中京地区からくり人形をのせた山車中でも犬山型と呼ばれる類型典型例となっているものである犬山祭からくり人形をのせた犬山型の山車登場する祭りとしてもよく知られている。
 下山囃子演奏するために乗る自体下山といい、笛と太鼓担当する。笛は若い衆小太鼓は子どもが担当する若い衆も子どもも初め車山乗ることを初上【はつあ】がりといい、盛大に披露する習わしがある。子どもが着る金襦袢は嫁の実家が贈るものとされており、大変な負担となっていたが、現在では町内で金襦袢用意しておき、初上がりの子どもはこれを着ることにしている町内もある。

犬山祭

(犬山祭の車山行事 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 07:57 UTC 版)

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犬山祭
Inuyama Matsuri
車山の曳き回し
イベントの種類 祭り
開催時期 毎年4月
初回開催 1635年
会場 愛知県犬山市
公式サイト
犬山城と車山
13台の車山が揃う
奉納からくり人形
車山の展示(どんでん館
犬山の町を巡行する車山、写真は梅梢戯

犬山祭(いぬやままつり)とは、愛知県犬山市にて、毎年4月の第1週の土曜日、日曜日に行われる、針綱神社の春季祭礼である。祭礼は国の重要無形民俗文化財に指定されている。犬山祭保存会によって組織化して運営されている。

祭の概要

1日目を「試楽(しんがく)」、2日目を「本楽(ほんがく)」と呼ぶ。城下町であった13の(縦横の通りの1ブロック毎に下本町、中本町、魚屋町、寺内町などの名称がある)各町より、犬山では「車山」と書いて「やま」と呼ばれる13輌の山車が曳き回される。「試楽」では、車山が針綱神社へ向かい、からくりを奉納する。その後1年分を表す365個の提灯に載せ変え、早い町内では18時30分から21時30分ごろまで提灯に火を点して町内を巡る。夜の部については「夜車山(よやま)」と呼び分けている。「本楽」は針綱神社で神事が行われ、13町の車山と共に3町(内田、坂下大本町、鵜飼町)の練り物も同神社へ集結する。また、曳き手(手古衆)達が力を合わせ車山の一方を持ち上げ一気に半回転することは「どんでん」と呼ばれる。

2006年平成18年)3月15日には「犬山祭の車山行事」として国の重要無形民俗文化財に指定されている。また車山(山車)13輌は、1964年昭和39年)に愛知県の有形民俗文化財に指定されている。
2016年(平成28年)12月1日には、「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録された。

車山(やま)の構造

車山」とは他地域の祭における山車や曳山のことで、他では2層が多いが、犬山では3層の構造となっている。これは「犬山型」とも呼ばれ、下層がお囃子所、最上層にはからくりが置かれ、中層は「中山」と呼ばれて最上層のからくりを動かす層となっている。1964年(昭和39年)に愛知県の有形民俗文化財に指定され、犬山駅東口のロータリーにはこの車山をイメージしたオブジェが置かれている。

各町の車山の名称は、枝町(愛娜街):遊漁神、魚屋町:眞先、下本町:應合子、中本町:西王母、熊野町:住吉臺、新町:浦嶌、本町(第一街):咸英、練屋町:國香欄、鍛冶屋町:壽老臺、名栗町:綘英、寺内町:老松、余坂町:寳袋、蘇登町:梅梢戯 である。なお、蘇登町→外町、壽老臺→寿老台のように、簡略化されて表現することもある。

起源

愛知県の資料によると、同市北部に所在する針綱神社の祭礼に対して、1635年寛永12年)より下本町、魚屋町からの練り物が出されたことに始まったとされている。1641年(寛永18年)には、同・下本町により「車山」が出され、からくりが奉納された。車山は、1644年(寛永20年)より魚屋町、後には1649年慶安2年)の頃、犬山城成瀬正虎によって奨励されたこともあり[1]、他の城下各町村においても出されるようになった。

犬山お城まつりと犬山祭

「犬山祭」は当初、針綱神社が移転した旧暦の8月27日(試楽)・28日(本楽)に開催されていたが、1898年明治31年)に新暦4月27日・28日へ変更され、1907年(明治40年)に同17日・18日、1908年(明治41年)に4月7日・8日へ変更された。

「犬山お城まつり」は、財政的かつ人的により多くの支援を求める形で、1996年(平成8年)より3月下旬に開催されるようになった。これは犬山祭保存会、犬山観光協会、犬山商工会議所、(社)犬山青年会議所が主催四団体となり発足された。犬山祭はその一環事業という位置づけ(最終2日)となる。この組織が立ち上がったことにより、針綱神社祭礼としての犬山祭の運行計画も変更された。たとえば、試楽祭(土曜日)では、「駅前組」「神社組」に分かれることにより、毎年土曜日に挙行されていた神社前広場での夜車山総ぞろえが姿を消すことになった。2004年(平成16年)の例では、「春の犬山お城まつり」が3月20日にオープニングセレモニー、犬山祭試楽祭が4月3日、本楽祭が4月4日に開催された。

1998年(平成10年)からは10月にも「秋の犬山お城まつり」が開催されるようになり、数輌の車山巡行と「からくり夢競演」と題して13町内のからくりと有志によるからくり披露が針綱神社前広場で実施されていた。2003年(平成15年)の初日(10月25日)には車山13両、2004年(平成16年)にも車山を12両が針綱神社に集結するなどの豪華な祭が行われた(博覧会協会からも補助金が出された)。しかし2005年(平成17年)には財政難で秋の方は中止の危機に瀕し、市からの補助金に出来る限り依存しない「城下町秋まつり」へ変更された。車山の巡行は再び春のみに行われることとなっている。2007年(平成19年)、春の「犬山お城まつり」の一環として実施されていた犬山祭「宵まつり」を廃止し、その予算を原資として「城下町秋まつり」の一環事業のような形で秋季の車山揃えが実現した(10町内のみ参加)。

どんでん館

市内にあるどんでん館には4輌の車山が常設展示されており、祭礼以外でも間近で車山を見ることができ、祭りの雰囲気を味わえる。

車山の遠征

犬山市の友好姉妹都市である富山県中新川郡立山町にて、1987年(昭和62年)7月26日に行なわれた立山まつりで、2輌の車山を犬山以外では初めて練り回した。午後3時から天満宮での開会式のあと、途中で人形の逆立ちや、早変わりのからくりを披露しながら、曳き手の勇ましい掛け声、囃し手の子供達の笛、太鼓の音に合わせ、80人ほどによってゆっくりと電線を外した町中を練り回した[2]

  • 参加した車山 - 中本町(西王母)・外町(梅梢戯)[3]

脚注

  1. ^ 「年中行事事典」p58 1958年(昭和33年)5月23日初版発行 西角井正慶編 東京堂出版
  2. ^ 『姉妹都市・犬山市から参加 2基の車山に酔う』北日本新聞 1987年昭和62年)7月27日朝刊16面
  3. ^ 『立山まつりに犬山から車山 —来月26日、2基が特別参加—』北日本新聞 1987年(昭和62年)6月7日朝刊18面

関連項目

参考文献

  • 『犬山祭 (三百五十年の歴史をもつ)』(犬山祭山車保存会冊子委員会 編、犬山祭山車保存会、犬山市商工観光課、犬山市観光協会)1983年(昭和58年)2月23日発行

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