日本のゲームセンター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 22:35 UTC 版)
「ゲームセンター」の記事における「日本のゲームセンター」の解説
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風適法」)第2条では、性風俗関連特殊営業以外の風俗営業を第1号から第5号までの5種類に分類しており、ゲームセンターはこのうちの「第5号」に属する。ゲームセンターを運営するにあたっては、一定規模未満のシングルロケを除いて、監督官庁である公安委員会の許可を要する。 2021年時点で許可を受けている営業所数は3,882軒で、1986年の2万6,573軒をピークに、1993年を除き毎年減少を続けている。ただし、この営業所数には、ゲーム喫茶やカジノバー、あるいはアミューズメントパークなど、ゲームセンターとは異なる業態も含んでいるため、実際にはこれよりもさらに少ない。警察庁は許可を受けている営業所のうち、ゲームセンター単独で営業している店舗を「専業店」、パチンコ屋などに併設され、かつ一定規模を超えた店舗を「併設店」として区分している。なお、同じ遊技業であるパチンコ屋は「第4号営業」に属しており、ゲームセンターの営業とは、行える行為や禁止行為が一部異なっている。日本アミューズメント産業協会では、風適法の許可を受けている営業所とシングルロケの合計数を公表しており、2019年度における風適法の許可を受けている営業所とシングルロケの合計数は、1万2,212店となっている。 2008年以降、オンラインソーシャルゲームの影響から市場が減少しており、帝国データバンクの調査によれば、2007年の6,780億円をピークとして2018年の市場規模は4,550億円と、11年で約40%減となっている。 スクウェア・エニックス・ホールディングスの当時の社長であった和田洋一は2009年2月に行った2009年3月期第三四半期の決算発表において、子会社であるタイトーならびにゲームセンター全体の不振について言及し、「構造的な問題がある」とコメントした。さらに和田は構造的な問題点として、「景気がいいと全員が同じところに走ってしまう」という点を指摘。「リーマン・ショックまでは業界全体で店舗や機械の供給過剰が起きていた」「同じ物件でも、ゲームセンターと他業種では賃料が違っていた」「筐体自体の原価高騰により、それに伴って運営者の損益が悪化し、融資を受けられなくなった運営者は撤退するという悪循環に陥る」と指摘した。このためタイトーは、フランチャイズ店展開を一時中止していたほか、タイトー、ナムコ(のちのバンダイナムコアミューズメント)、セガ(2012年10月にGENDA GiGO Entertainmentへ事業移管)は2008年から2009年にかけて大幅な店舗削減を実施した。中でもGENDA GiGO Entertainmentの店舗は、セガ アミューズメント運営時代末期である2004年9月時点には463店舗あったが、2021年現在は200店舗を割り込んでいる(ゲームセンター以外の店舗も含む)。2008年から2009年にかけては、アリサカが2008年6月に会社更生法適用を申請したほか(事業は他社へ譲渡、アリサカの受け皿会社であったアール・アール・ビーも2014年12月に破産手続開始決定)、2009年1月には大長商事(のちのルルアーク)が民事再生法適用を申請するに至った(大長商事は事業を継続しながら自主再建を図り、2013年1月に民事再生手続結了)。アトラス(旧社)も、2009年12月にゲームセンター事業をNEWS(のちのレジャラン)へ譲渡して撤退した。 ほとんどの施設では100円など「ワンコイン」で遊べる設定にしているため値上げが難しく、2014年4月の消費税増税分は価格転嫁がほとんどできておらず、2015年に赤字決算となった企業は41.8%であった一方で、増収に転じた企業は2016年以降増加している。2021年における主要運営企業(株式上場企業や決算を公表している企業など)における決算は、新型コロナウイルス感染症の影響により、ほとんどの企業が減収・営業赤字・最終赤字となり(ゲームセンター事業以外の事業も含む)、ほとんどの企業で純資産額や自己資本比率が減少した。カプコンのゲームセンター事業ならびに共和コーポレーションは減収・営業黒字となったほか(カプコンは他部門も含めて最終黒字、共和コーポレーションは最終赤字)、コーエーテクモウェーブは前年から増収に転じた。その一方で、ラウンドワンとイオンファンタジーは自己資本比率が前年から大きく下回ったほか、GENDA SEGA Entertainmentは純資産額が前年の3分の1にまで減少した。 日本アミューズメント産業協会が取りまとめた2019年の「オペレーション売上構成比」によれば、売上の55%がクレーンゲームで占めている。一方で、1993年に売上の34%を占めていたビデオゲームによる売り上げは、2019年にはわずか12%にまで減少したほか、メダルゲームによる売り上げも、2006年の28%から2019年には16%にまで減少した。特にビデオゲームにおける売上の低下は大きく、1997年以降はクレーンゲームに、2001年以降はメダルゲームにそれぞれ売上で下回っている。 2019年におけるオペレーション売上構成比は、割合が高い順に以下の通りとなっている。 クレーンゲーム - 55% メダルゲーム - 16% ビデオゲーム - 12% アミューズメントベンダー(1995年に統計開始)- 5% キッズカードゲーム(2003年に統計開始)- 5% 音楽ゲーム(1997年に統計開始)- 4% 乗り物 - 1% その他AM機 - 1% ガチャガチャ(AM施設内のみ、2013年に統計開始)- 1% 風適法の許可を受けている営業所における店舗別の筐体設置台数に関しても、101台以上を設置している店舗は増加傾向にあるほか、11台~50台を設置している店舗は横ばい傾向にある。反対に10台以下の店舗ならびに51台~100台の店舗は毎年減少を続けている。特に2016年に31.1%を占めていた10台以下の店舗は大幅な減少が目立っており、2017年以降は101台以上を設置している店舗の割合が一番多い。このように近年では、店舗の大型化を進めているメーカー系や株式上場企業など大手企業と、ビデオゲーム中心の店舗や100台以下の小規模店舗が中心となっている中小企業との差は拡大傾向にあり、特にビデオゲーム中心の店舗や100台以下の小規模店舗は淘汰傾向にある。 店舗展開に関しても、「スペースインベーダー」がブームとなった1970年代後半は駅前型の小規模店舗が多かったが、1980年代から1990年代にかけて、大規模小売店舗法の緩和に伴い、ロードサイド店舗が増加した他、2000年代には郊外型ショッピングセンターへの出店が増加したと同時に、駅前型の小規模店舗は衰退の一途を辿った。2006年にまちづくり3法が改正されたのを機に、タイトーなどの大手企業が駅前型の都市型大規模店舗を相次いで開業させるなど、駅前型の店舗は回帰傾向にある。 2019年9月時点におけるゲームセンターの倒産件数は、2014年4月の消費税増税後では2番目に多い11件に上っており、ケイ・キャット(破産)やザ・サードプラネット(民事再生法、事業はスポンサー企業が設立したサードプラネットへ譲渡)などが倒産した2015年の14件に迫る勢いとなっている。2020年4月には、エターナルアミューズメントが過去最大となる約84億円の負債で経営破綻(破産)するに至った。業界における自己資本比率は、2020年現在で平均26%となっている。 2020年に入ると新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛などの影響で客足が激減し、さらに店舗が減少した。このため、バンダイナムコホールディングスとセガサミーホールディングスはゲームセンター事業も含めたアミューズメント関連事業の構造改革を行っており、バンダイナムコホールディングスは前述の通り、北米におけるアミューズメント関連事業をアーケードゲーム機販売事業のみとすることを発表したほか、セガサミーホールディングスも、セガグループの子会社であり、業界3位であるセガ エンタテインメントの株式85.1%が2020年12月30日にセガグループからGENDAへ譲渡されたと同時に、セガサミーグループは日本国内におけるゲームセンター事業から撤退した。セガサミーホールディングスは他にも、海外事業においても、セガの子会社であり、欧米地域でアーケードゲーム機の販売を手がけていたSega Amusements International Limited全株式も2021年3月に経営陣へ譲渡され、セガの欧米における事業はコンシューマ事業のみとなった他(アーケードゲームの現地の販売代理店への供給は継続)、セガの台湾子会社であるSega Amusement Taiwanも、前述のとおりゲームセンター事業をGENDA SEGA Entertainmentの台湾子会社である台灣聚思怡股份有限公司へ譲渡する事を発表している。日本国内においてゲームセンター事業を継続するバンダイナムコホールディングスと、日本国内におけるゲームセンター事業並びにダーツライブが手掛けている事業を除いて海外におけるアミューズメント事業から撤退したセガサミーホールディングスとの対応が分かれている。
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