改正の沿革と批判とは? わかりやすく解説

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改正の沿革と批判

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 21:19 UTC 版)

デジタルミレニアム著作権法」の記事における「改正の沿革と批判」の解説

DMCA成立前史は、民主党クリントン第1期政権下の1995年始まっており、この年デジタル著作物権利保護に関する白書作成されると、1998年までにはDMCAのほか、情報窃盗刑事罰規定した1997年電子窃盗禁止法英語版) (No Electronic Theft Act通称: NET法) や著作権保護期間延伸させた1998年ソニー・ボノ著作権延長法成立し17 U.S.C. が改正されている。これらの改正立法背景には、著作権ビジネス (コンテンツビジネス) 業界からのロビイングがあったとされるデータキャッシュウェブホスティング検索エンジンオンラインデータベース事業者対しウェブサイト投稿され著作権侵害コンテンツ削除保護強化訴えたのである。なお、二大政党制米国においては特に民主党対し、コンテンツビジネスの一翼を担うハリウッド映画業界からの政治的圧力が強いことが知られている。その中でも特にクリントン個人的なポップカルチャーファンであり、大統領選第1期目の選挙戦間中には既にハリウッド業界擁護姿勢打ち出しハリウッドから民主党多額寄付金流れた。 こうして1998年成立したDMCAであるが、主に2つ側面から批判浴びることとなる。それは、(1) 表現の自由保障する憲法修正第1条、そして (2) フェアユース法理定めた17 U.S.C. 第107条 (著作権者無断著作物第三者利用できる条件規定) を根拠したものである。 これを、批判対象となるDMCA条文別に見てみる。まずDMCA 第1章 (TPM回避禁止) であるが、著作権者強力な支配権独占過度に認めた結果、その反動著作物利用する側の自由が損なわれ権利者利用者間の利益バランス崩しているのではないかとの懸念有識者および利益団体から呈されている。なお、ここでの「表現の自由」が意味するものは広義であり、一例挙げると、デジタル社会権利擁護団体である電子フロンティア財団 (EFF) は、DMCAによってリバースエンジニアリング制限かかったことから、他者の「アイディア」から学んで新たな技術研究「表現」する自由が奪われたとして、憲法修正第1条論拠DMCA違法性主張している (#電子フロンティア財団対米国政府裁判後述)。当裁判扱った英国大手新聞ガーディアンは「America's broken digital copyright law」(米国デジタル著作権法崩壊している) と形容した。また上述のとおり、TPM回避禁止例外規定17 U.S.C. 第1201条に盛り込まれており、かつ一般原則たるフェアユース (17 U.S.C. 第107条) 以降には個別例外規定定めた108条 - が続くが、これらの個別例外規定だけでは不十分であり、フェアユース法理反するとの批判一部にある。 「アイディア・表現二分論」も参照 続いてDMCA 第2章によって追加され17 U.S.C. 第512条 (ノーティスアンドテイクダウン手続DMCA通告) であるが、その目的一つに、オンラインサービス事業者ユーザ起因による著作権侵害脅威晒されることなくインターネット社会における繁栄を可能とすることが挙げられている。そして、第512条の存在価値一定程度認め有識者もおり、一般的にはオンラインサービス事業者は第512条を「成功」とみなしているとされる (2020年現在)。しかしながら違法コンテンツのユーザ・アップロードに技術的な対抗策が十分取られていないことから、「もぐら叩きゲームだ」(whack-a-mole problem) との苛立ちの声も上がっている。YouTubeを例にとると、2014年のみで1億8000本の動画権利侵害削除されたとの報告もある。2015年公開映画ヘイトフル・エイト』は違法視聴130回を上回ったとも言われている。また2020年著作権局 (USCO) 調査報告書によると、オンラインサービス事業者全体受け付けDMCA通告件数は、日次100万件を超える見られている。 こうした批判DMCA制定以降長く続いており、2010年から2012年 (民主党オバマ政権下) にかけては著作権法改正法案が複数提出されるも、激し反対運動発展している。これら抵抗にあって廃案追い込まれ改正法案には、オンラインにおける権利侵害および偽造防止法英語版) (COICA)、オンライン海賊行為防止法案 (SOPA) や知的財産保護法案 (PIPA) が含まれる2018年10月にはDMCA以来著作権法大型改正立法として、マラケシュ条約実施法 (MTIA)、および音楽著作物限定した音楽近代化法(英語版) (MMA) が成立し20年ぶりにDMCA以降大幅更新図られた。しかし未だに課題残っており、17 U.S.C. 第512に関する2020年5月調査報告では「当事者間利益バランス欠いている」とUSCOは結論付けている。これを受けて上院司法委員会知的財産小委員会では、さらなる法改正検討入っている。2020年5月現在の512条は「画一的アプローチ」(one-size-fits-all) であると問題指摘されオンラインサービス事業者タイプ別、また著作権侵害重犯対す個別規定設定など、より細分化した改正立法必要だとUSCOは提言している。さらにUSCOに著作権侵害啓蒙活動といった責務負わせるなど、法改正だけに依存しない包括的なアプローチ必要性唱えられている。

※この「改正の沿革と批判」の解説は、「デジタルミレニアム著作権法」の解説の一部です。
「改正の沿革と批判」を含む「デジタルミレニアム著作権法」の記事については、「デジタルミレニアム著作権法」の概要を参照ください。

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