播種船(はしゅせん)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:14 UTC 版)
「シドニアの騎士」の記事における「播種船(はしゅせん)」の解説
移民・戦闘用の世代宇宙船。ガウナによって地球を失った人類の手でシドニアを含む約500隻が建造され、出航していった。多数の民間人を擁する移民船であるが、少なくともガウナの接近を許さないために多数の武装と艦載機が施された軍用艦でもあるため、最高責任者は艦長と呼ばれる。 シドニア(Sidonia) 本作の主な舞台となる播種船。 共通紀元2384年8月2日に出航。天然資源採掘坑・シドニア内部で消費される資源を補充する、小惑星ほどの岩塊を八角柱が貫通した形状をしており、船殻は「構造体」と呼ばれる高強度の物質で構成され、通常の物質には無い強度を備える。表面は厚い氷の層に覆われており、長期間の航行・戦闘を続けているため、衝突痕などが無数に存在する。船体周方向の直径は6km、船体の軸方向中心を貫通する主芯軸重質量砲の砲身長だけでも28kmに達する大きさであり、内部には周方向内径5kmの居住区と呼ばれる居住スペースが広がり、50万人程度の船員を収容できる。主な設備は居住区外周部と船殻の間にある厚さ1km以上のスペースと船尾に配置されている。惑星ナインでの補給後は、採取した資源を船外に壁状に並べるなどの改修により外観が変化している。 船内後部には軸方向前後を上下とするための重力場発生装置が搭載され、慣性航行中でもこの装置により1Gが保たれる。エンジンを前後に6基(後部にメインエンジン4基、前部に逆噴射用2基)備え、約3光年を数年で航行できたことから、亜光速に近い速度で航行できる能力を持っていることが示唆されている。スラストベクタリングによる旋回も可能だが、船内にかかる力に対して重力場発生装置により軽減可能なのは軸方向に対して1G程度であるため、緊急時に急旋回を実行した場合、軸方向に対して斜めに作用する力を十分に軽減できず、船内では大きな被害が発生する。そのため、シドニアが急加速や急旋回する際には船内に重力警報が発令され、船員は安全帯を手すりに取り付けて備える必要がある。 主装備の運動エネルギー弾を用いる重質量砲に加え、誘導兵器には惑星を破壊可能なものもあり、その他の固定兵器として一種のビーム兵器である高出力ヘイグス粒子砲を搭載するが、艦砲射撃は衛人による防衛が難しい場合の最終手段である。それでもガウナ本体には傷一つ与えられないため、カビ無しではガウナに対抗する手段は無い。航行中に開発された重力子放射線射出装置により、重力場のビームを船内・船外から発射する能力が付加された。防御装置と呼ばれるものも存在する。 船内には有機物を循環利用する有機転換炉や海洋生物を繁殖する海水槽なども備え、照明・熱源として機能するヘイグス灯や人工降雨・降雪器により、一個の生態系として機能するようになっており、長期間の航行にも十分に耐えうる能力を持つ。中にはシドニア固有の新種も発生している。文字表記をはじめ、人名や商業施設等全般に日本的な要素が多く見られるほか、経済活動も行われている。政治体制の詳細は不明だが、艦長や一部の上級船員に強い権限が付加されている。最大の目的は「人類の播種」であるため、植民可能な惑星と5万人以上の希望者という条件が揃えば、物資と技術を提供する原則がある。 ガウナの侵攻以降、多数の播種船が太陽系脱出に成功したが、シドニア出航紀元1009年(共通紀元3394年)11月25日現在、シドニアは完全孤立状態にある。第1話時点では「レム恒星系」に向けて航行を続けてきたが、ガウナとの遭遇を事前に回避するために進路を変更することもあり、最終的な到達目標は未定。 大シュガフ船総攻撃の際、レム恒星系・惑星ナインで攻撃の機会を得ていたが、作戦中に連結型シュガフ船の攻撃を受けて海水層と居住区天蓋を破壊され、船体の1/4を失うという大破に至る。指令機能も喪失し、防衛隊各機・各攻撃艦隊は自己判断による作戦遂行を余儀なくされている。新シドニア シドニアの古い船体を改修したのかどうかは不明だが再建造され、船員の半分を連れて新天地を目指して旅に出る。 外観は天然資源採掘坑がなく、船首部分が八角錐になっている。出発の際に一瞬で視界から消え去った事から新機軸の推進機関を搭載している物と見られる。大きさについては比較対象が無いが、宇宙ステーションより巨大な船体である事がうかがえる。 アポシムズ シドニアから最も近い位置を航行していた恒星間宇宙船。2691年2月26日に届いた通信を最後に連絡が途絶えており、消息不明。画像では角柱状のシドニアとは異なった錐状の外観をしている。 作者の次作『人形の国』は、同名の巨大人工天体が舞台となっている。
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