播種誘発(seeded induction)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/03 09:43 UTC 版)
「プロテオパチー」の記事における「播種誘発(seeded induction)」の解説
いくつかのタンパク質は、疾患を引き起こすコンフォメーションに折り畳まれた同じ (または類似の) タンパク質への曝露によって、異常な集合体を形成するように誘導でき、これは「播種 (seeding)」または「許容テンプレート化 (permissive templating)」と呼ばれるプロセスである。このようにして、罹患したドナーから罹患組織抽出物を導入することにより、易罹患性宿主に疾患状態を引き起こすことができる。そのような誘導性プロテオパチーの最もよく知られている形態はプリオン病であり、これは、疾患を引き起こすコンフォメーションの精製プリオンタンパク質に、宿主生物を曝露することによって感染する可能性がある。現在、Aβアミロイドーシス、アミロイドA(英語版) (AA) アミロイドーシス、およびアポリポプロテインA-IIアミロイドーシス、タウオパチー、シヌクレイノパチー、およびスーパーオキシドジスムターゼ-1 (SOD1)、ポリグルタミン、およびTAR DNA結合タンパク-43 (TDP-43(英語版)) の凝集を含む、他のプロテオパチーが同様のメカニズムによって誘発されるという証拠がある。 これらの例のすべてにおいて、タンパク質の異常な形態自体が病原体であるように見える。場合によっては、あるタイプのタンパク質の沈着は、おそらくタンパク質分子の構造的相補性のために、βシート構造に富む他のタンパク質の集合体によって実験的に誘発されることがある。例えば、AAアミロイドーシスは、絹、酵母アミロイドSup35、大腸菌 (Escherichia coli) 由来のカーリー線維 (curli fibrils) などの多様な高分子によってマウスで刺激される。さらに、アポリポプロテインA-IIアミロイドは、βシートを豊富に含む様々なアミロイド原線維によってマウスで誘発され、脳タウオパチーは、凝集したAβを豊富に含む脳抽出物によって誘導される。また、プリオンタンパク質とAβとの交雑播種 (cross-seeding) の実験的証拠もある。一般に、このような異種播種は、同じタンパク質の破損した形態による播種よりも効率が悪い。
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