船首部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 10:03 UTC 版)
日本語での「舳先」(へさき)に相当する船首の先端部は特にStemと呼ぶ。船首(Bow、バウ)は「おもて」(艏、舟偏に首)に相当する。船首部の、上が広がった形態はフレア(Flare)と呼ばれる。船首部の上甲板が船首方向に行くに従ってなだらかに持ち上がっている形態はシアー(Sheer)と呼ばれる。シアーによって船首部の乾舷(かんげん、水面からデッキまでの高さ)を高くとることでバウ・ダイビングや青波(Green water)を減らす効果が期待できる。シアーや船首楼とは別に、船首上端にフレアの一部として付けられた波除けの板はブルワーク(Bulwark)と呼ばれる。 船体外板はシェル・プレイティング(Shell plating)とも呼ばれる。 甲板は船の主要な構成部分で強度部材の1つであり、船体上にあって水平に広く取り付けられた木や金属製、FRP製の板材であるとともに、上部構造物を含む全ての船内空間の床板である。ただし船底の床だけは甲板とは呼ばない。見張り台の様な足場は甲板には数えない。 上甲板(上部甲板、Upper deck)は水密構造となっている船体のすぐ上にあって船首から船尾まで続く甲板であり、浮体としての船体のフタを構成している甲板といえる。上甲板は他の多くの甲板と同じく船体強度を保つ重要な構造材の1つである。船全体を地上のビルに例えれば上甲板は地上1階の床面に相当し、上甲板より下の部分は地階に、上部構造物のそれぞれの階はビルの地上階に相当する。 風雨に曝される甲板は露天甲板(ろてんかんぱん)と呼ばれ、多くの貨物船などでは上甲板は通常、露天甲板であるが、自動車運搬船や大型客船などは上甲板の露天部分はほとんどない。 上甲板から水面までを乾舷(Freeboard)と呼び、水面から船底下面までを喫水(きっすい)と呼ぶ。 錨を繋ぐ鎖を入れておく鎖錨庫はチェイン・ロッカー(Chain Locker)と呼ばれる。 錨鎖(ホーサー、Hawser)を通す管は錨鎖管(ホースパイプ、Hawsepipe)と呼ばれ船首側面や、まれに船首正面の錨鎖孔(Hawsehole)に開口している。小型船を除けば、錨鎖孔は錨を引き込んで格納するベルマウス(Bell mouth)となっている。 船首部上甲板には多数の係船用装置類が並んでいるのが普通である。詳しくは本項目の#係船装置を参照のこと。 船首部の上甲板上にある両舷に渡ってつながった構造物は、船首楼と呼ばれる。 船首楼の上甲板より上に位置する部屋は、ボースンズ・ストア(Boatswain's Store)と呼ばれる。 船首部の上甲板より下に位置する空間のタンクは、フォア・ピーク・タンク(Fore Peak Tank)と呼ばれる。 船首部とそれに続く船体とを隔てる船首隔壁はコリジョン・バルクヘッド(Collision Bulkhead)と呼ばれる。船首隔壁は同時に第一隔壁である。
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