抗争アングル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 09:35 UTC 版)
「アングル (プロレス)」の記事における「抗争アングル」の解説
対立関係や概念を設定することにより、試合を単なる点として終わらせず、連続的に展開させるためのもの。シリーズで展開する場合は主にタッグマッチで展開し、一進一退の勝利の奪い合いを行って、決着戦への流れを作る。逆にシリーズ前に最終戦での試合をあらかじめ発表しておき、シリーズ途中で対立関係を醸成するという方法を取ることもある。 個人抗争: 二者間による軋轢を展開する。着後、両者によるチーム結成や、軍団抗争へと派生するなど、個人抗争はアングルの基本である。対立関係を設定するためには以下の様な方法を使うことが多い。 インタビュー: 主に専門誌やテレビなどを起点とする。インタビューで他選手に対する批判や中傷を行う。格上のものであれば「提言」や「説教」といった含みを持たせる。これに反発させ、舌戦を展開することにより、試合への物語を作っていく。テレビの場合、インタビュー中に対立関係にある相手が乱入する、という演出が施される場合もある。 乱闘: 後述の軍団抗争や団体対抗の中で用いられる。不透明決着を発生させ、それに対して不満を持つ形で複数名が入り乱れて乱闘する。その中で、手を出すなどの接触を起こし、両者間に「因縁」や「遺恨」といった対立関係を設定する。事故の形を取ることが出来るため、両者間に格の差があっても対立させやすいことがメリット。 タイトル戦: ベルト保持者(王者)の防衛戦相手を決める場合に、シリーズ中のタッグ戦などで王者からフォールを奪ったり、王者と同格クラスの選手に勝たせることで格を上げ、次期挑戦者をアピールすることで選ばれることが多い。 軍団抗争: 主に団体内でのグループ間による争い。反乱を起こすグループと、起こさなかったグループ(正規軍と称される)間の戦い。三つ以上のグループが争う場合もある。グループ同士の抗争を中心とし、内紛や裏切って他グループへ移籍する、などの展開が定番である。試合編成上の都合上、同グループに所属する選手が試合を行う場合は「結束・信頼を確認するために」といった目的を設定して行われることが多い。基本的に完全決着は無く、新しい軍団の結成により分布図を再編成して続けていく。特に日本のプロレスで発展したアングル。団体によってはヒールターン・ベビーフェイスターンの時期、新団体の結成の時期がなぜか毎年同じ時期になることが多い。 世代闘争 デビューから数年経って実力をつけてきた新世代の若手・中堅のトップ候補のレスラーとトップレスラーとして君臨する旧世代の中堅・ベテランとの間で抗争を繰り広げる、古くから現在まで多くの団体で展開されているアングル。自団体の次世代を担うことを期待されるレスラーをトップ戦線に参入させるために多用されるアングルで、かつて付き人を務めていたレスラーが師匠に対して世代交代・新旧交代を掲げて反旗を翻すパターンが多く見られる。ただし新世代側の勝利によって旧世代との力関係が逆転するような例はなく、主力選手の退団(天龍源一郎らのSWS移籍、三沢光晴らの全日本退団〜ノア旗揚げ、橋本真也、武藤敬司の新日本退団など)、アントニオ猪木の政界進出、ジャンボ鶴田の闘病による離脱、三沢光晴の死亡事故など、何らかの事情の発生によって旧世代側の主力選手が離脱するに応じて次世代のスター候補がその穴を埋めてゆく形で、世代交代は自然な形で進められる。 団体対抗: 異なるプロレス団体(興行会社)間での業務提携。会社単体では行えない試合編成が可能。エース同士の試合が行われ、初戦で敗退したエースの所属する団体は「格下」とされ、早晩活動停止に陥る場合が多い。しかしながらエースが敗退せざるを得ない状況になっている時点で、その団体は経営的に何らかの問題を抱えている場合がある。トップクラス同士の対戦は、1勝1敗のイーブンスコアで終了したり、30分1本勝負で時間切れ引き分けにすることが基本。これにより、両者は互角であるとされ、格の低下を避ける。 団体対抗の利点は、団体の通常運営において活躍の場を与えられない、あるいは人気の低いレスラーを再利用できることにある。中堅選手を他団体の選手と戦わせることにより、「隠れた実力者」「重鎮」といったギミックを付与させることが出来るためである。また、北斗晶は対抗戦時に他団体の選手を「全女の練習についてこられなかった落ちこぼれども」と挑発し、選手間の個人的な感情をそのまま対立軸設定に活かした。 また、他団体へ参戦する前にはチャンピオンベルトを他の選手に引き渡して、他団体で敗北した際にベルトの価値を傷つけないようにするといった配慮がなされることが多い。対抗戦が乱発される時期は、団体経営が傾き終息に向かう兆候である。日本での近年の成功例としては新日本プロレスとUWFインターナショナルの対抗戦。提携終了後に単独興行の観客動員数が落ち込むことがある。
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