家事調停の沿革とは? わかりやすく解説

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家事調停の沿革 (日本)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:00 UTC 版)

家事調停」の記事における「家事調停の沿革 (日本)」の解説

日本では1898年明治31年7月民法第四編(親族)、第五編(相続)が施行されたが、政府は、1919年大正8年7月臨時法審議会に対して日本古来淳風美俗即した改正要綱諮問した。同審議会は、1922年大正11年6月に「家庭争議訴訟形式によって判断していては、古来美風維持できない道義を本として温情をもって円満にこれを解決する制度設けるべきだ。」との趣旨中間的答申提出した。 これ以来家事審判所創設し家事紛争非訟手続調停解決することが検討され1927年昭和2年10月には家事審判法案が仮決定されたが、実体法である親族法相続法改正作業進まないために、家事審判所創設も進まなかった。 しかし、1937年昭和12年7月日華事変発生し戦没将兵遺家族間で恩給扶助料等を巡る紛争続出したことは、調停制度導入にとっては追い風となった。つまり、家庭内紛争速やかに解決することが重要な戦線支援の一つであるとの説明説得力増したことにより、1939年3月昭和14年)に人事調停法成立し同年7月施行された。 人事調停年間の新受件数は、施行初年半年間で5200件余りに達しその後減少続けたものの、1944年昭和19年)に年間3736件の新受があり、1946年昭和21年)でも年間3851件の新受があった。事件類型をみると離婚事件圧倒的に多く女性からの申立て全体の7割近く占めていたと推測され女性調停委員選任されていた。第二次世界大戦の影響市民紛争起こす余裕さえ失っていたことを考えると、人事調停制度は相当活用されていたと言えよう。つまり、人事調停法は、少なくともその建前においては法令個人の権利よりも「古来美風」を優先する紛争解決志向するものであり、前近代的な家族観から民法批判する勢力にとっても受け容れやすい制度設計がされていたが、実際に司法による紛争解決合理化する方向運用されていたといえる第二次世界大戦終結後大日本帝国憲法改正作業進み1946年昭和21年11月3日日本国憲法として公布された。これに伴って親族法相続法改正作業加速し臨時法調査会及び司法法審議会家事審判制度の創設促したことを受けて家事審判法及び同法施行法国会で成立し1948年昭和23年1月1日から施行された。 これらの法律により、地方裁判所特設支部として家事審判所創設されるとともに人事調停制度代えて家事調停制度創設された。そして、家事審判法は、家事調停制度が「個人の尊厳両性本質的平等を基本として、家庭の平和と健全な親族共同生活維持を図ることを目的とする」と規定し同法1条)、家事調停名実ともに新たな家族法秩序実現志向する制度であることを明らかにした。 裁判所法改正により、1949年昭和24年1月1日家事審判所少年審判所とを統合して家庭裁判所創設されると、家事調停運営家庭裁判所移管された。また、1951年昭和26年4月1日家庭裁判所調査官1954年昭和29年6月1日改称前家事調査官制度創設された。家庭裁判所調査官は、医学心理学社会学経済学などの専門的知識活用した事実調査行い家庭裁判所調査結果及び意見報告するとともに家事調停の期日出席して意見述べることができるとされた(家事審判規則7条の2~7条の4)。 1974年昭和49年)には調停委員高齢化新陳代謝不活発による弊害対応することを目的として、任命資格手当に関する改正が行われ、2003年平成15年)には家事調停官の制度導入された。 2013年平成25年1月1日家事審判法及び家事審判規則廃止されるとともに家事事件手続法施行された。家事調停に関する主な変化挙げると、家事審判法規定構造家事審判法民事調停法準用し、民事調停法非訟事件手続法準用していただけでなく、家事審判規則にも重要な規定散在していた。)を改めて、家事事件手続法及び同法3条に基づく最高裁判所規則家事事件手続規則平成24年最高裁判所規則第8号)で家事調停に関する基本的規定網羅している。また、家事事件手続法は、申立書写し相手方送付することを原則とすると定めるほか、電話会議システム及びテレビ会議システム利用する調停手続公認している。これは、家事調停においても当事者の手保障(各当事者主張立証機会公平に保障すること)を重視する趣旨規定である。さらに、家事事件手続法は、手続行為について行為能力自己の名前と判断法的意味を持つ行為有効に行えること)の制限受けた者のために手続代理人制度新設している(231項2項2521項)。これも、家事調停により重大な影響を受ける者の手保障重視する趣旨規定である。

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