家事調停の期日 (日本)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:00 UTC 版)
「家事調停」の記事における「家事調停の期日 (日本)」の解説
調停期日では、「別席調停」が事実上の原則となっている。家事調停委員が調停室に待機し、出席当事者が交互に調停室に入室して、互いに顔を合わせずに家事調停委員を介して協議をする。日本では、家庭裁判所も当事者も代理人となる弁護士も、当事者が相手当事者に遠慮せずに本音を話せるという別席調停の利点を重視している。威圧的な言動をする当事者から他の当事者を保護して当事者間の公平を図ろうという家庭裁判所側の国親思想(くにおやしそう。公権力は市民の良き導き手であるという思想)と、公権力に対して比較的従順な日本の風潮とが上手くかみ合ったとも言える。 その反面で、当事者が解決策の立案調整を調停委員会に依存しがちになり、当事者自身の自発的な工夫による創造的解決に向けた動機付けが弱まってしまうという問題が生じる。また、自称「被害者」の未検証の言い分を調停委員会が信じ込んでしまう危険性が高まる。そのような危険性が現実化せずに客観的には妥当な手続進行や結論が得られたとしても、当事者の主観においては、相手当事者の主張の詳細や根拠が分からず、自己の主張が正確に相手当事者に伝えられているのか、相手当事者の主張が正確に自己に伝えられているかも分からないまま、結論を受け容れるか否かの判断を迫られたという不満が残りやすい。すなわち、自発的合意なので自発的履行を期待できるという調停の利点を損なう可能性が高まることになる。 家事事件手続法の施行を一つの契機として、第1回調停期日冒頭での同席手続説明(当事者が同席して調停委員会から調停手続の進行に関する説明を受けること)、調停期日終了後の「終わりの会」(当事者が同席して調停委員会から当日の協議のまとめ及び次回期日までの準備事項に関する説明を受けること)、ホワイトボードの利用など、調停手続の透明性を高める工夫が各地の家庭裁判所で試みられている。 親権や監護権、面会交流や子の引渡しなどが争点になる事件においては、調停に際し、調停委員会の決議により、調停に家庭裁判所調査官が立ち会ったり、家庭裁判所調査官による調査が行われ、当事者間の合意形成を図る事案も多い。家庭裁判所調査官の調査報告書については、調停不成立になった場合においてもその後の家事審判や訴訟の重要な資料として活用されることが多い。
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